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●誰がこの土地は誰の物と決めたのか?●
fujic-1990の回答
> 勝手に「ここは私の土地と明言して」農業をやった人?ですか? ですからね、、、 (1) 明治維新後、国家から近代的な「土地所有権」が認められて、たしか「地券」とか言ったと思いますが、権利書みたいなのをもらいます。代わりに国に「地租」というのだったと思いますが、税金を払うわけです。 勝手に「ここがオレの土地」と言って囲い込んだわけではありません。 (なぜ地券がもらえたかは長くなりますし、後にふれるように地券をもらった人と『現在土地を多く持っている個人の方』とは全然関係ない人たちなので省略します。) (2) ところが、例えば土地の生産額とは無関係に課税されたので、税金が払えない人が続出したわけですよ。税金が払えない彼らは、土地を売らなければならない。 その一方で、才能に恵まれて、例えば商売で儲けた人などがいました。彼らは、売りに出された土地を買いました。 彼らも土地を、お金を出して買ったのであって、「ここは私のもの」なんて勝手に決めたわけではありません。 彼らは自分で耕作するには広すぎる土地を買い集めてしまったので、小作人に耕作させて、できた米の何割かを年貢として取り立てていました。 (3) ところが、第二次世界大戦後、つまり、今からほんの50~60年前の話ですが、GHQが「農地解放」という政策をやりました。大地主に、「自分で耕作していない土地は、実際に耕作している小作人に(ほとんどタダで)渡せ」と命令したのです。 それにより、小作人(大半は小作もする自作農民)が耕作していた土地の所有者(小規模な地主)となりました。小作していた人は、日本中に大変たくさんいたので、小規模地主も大変たくさん生まれたわけです。代わりに大地主は没落しました。 これも国が認めて、そうさせたのですから、小作人・自小作農民が「ここは私のもの」なんて決めたわけではありません。 小作人・自小作農民は江戸時代にはほとんど土地をもっていなかった人たちです。ですから、この時点で、江戸時代や明治時代に土地を持っていた人とは関係ない人たちが「土地所有者」(小規模地主)になった、と言えます。 つまり現代日本の土地所有に、「先祖代々」なんて言葉はほとんど関係ないのです。 江戸時代から今まで続く地主なんて人もいるかもしれませんが、日本は「3代相続が続くと財産はなくなる」と言われるくらいの超累進課税の国。江戸時代からの地主なんて、ほんの、数えるくらいの人たちです。 (4) 戦後の高度成長期、大おじいちゃん・大おばあちゃんの世代の話。 土地所有者の中にも、一儲けたくらんで、商売を始めるために土地を売って小規模地主でなくなったり、 商売を始めては失敗して土地を取られ、小規模地主でなくなったり、 民法の条文通り土地を相続人に土地を分配して、小規模地主でなくなったり、 相続税を払えなくて、土地を手放し、小規模地主でなくなったり、 とにかく、地主でなくなる人がたくさんたくさんいました。 ですから、今は小規模地主はグーンと少なくなりました。だから目立ちます。でも、調べてみれば曾祖父が小規模地主だった、いまは全然違うけど、という人は日本中に大勢いるはずです。当人は知らないだけ。 どういう人が小規模地主のままでいるのかというと、売って商売を始めなかった人、失敗するような商売を始めなかった人、相続人を説得して土地を分配しなかった人、節約して相続税分を貯めた人・・・ たちです。 言い換えると、農業を愚直にやっていた人たちです。農業は、アル程度農地がまとまっていないとやれない仕事ですから。 節約して、お金をためて、農地を買った人は土地を増やしたかもしれません。でも、ここ4~50年の間の話です。つい最近のこと。 縄文時代には、「ここは私のもの」なんてことを言った人もいたかもしれませんが、戦国期には他人と戦争して自分の土地にしたはずですし、特に明治期以後、日本のどこにも、「ここは私のもの」なんて決めることのできた人はいません。 そういう言葉が出てくるのは、アメリカ開拓史の話です。アメリカに移住してきた彼らは、まだ政府はなく、「自分たちの目の前には、誰のものでもない土地が広がっている」と信じていましたからね。
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