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もし全ての電力会社を国営にしたら困りますか?
- 福島の事故以来、日本中の電力会社に基本的な問題があるのが指摘されるようになりました。競争原理が働かず、大きな事故が無ければ利益を得続ける状態になっています。
- もし日本中の電力会社を国営や公営にした場合、一般庶民にとってどんな不利益があるのか考える必要があります。
- 水道が公営であるように、電力も公営にすることは考えられますが、その場合に何が問題となるのか考えるべきです。
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No4さんの回答が秀逸ですし、元職から見ても大半が「その通りだな」と感じます。 ただ屋上屋のようですが少々。 ご質問のなかに「地域独占」とありますが、これをもう少しブレークして考える、また、世界の流れ(経験等)も踏まえて考える必要があるのかな?と感じます。 まず「地域独占」について。 これはGHQによって敷かれた態勢で、それまで国有であり、No4さんが言われるところの「民間のチェックが入らない体質を持っている国営企業=経済の根幹調整機能を国が持っている。」を崩すために、地域ごとに送電・発電を垂直統合して「民間として民主主義に従った株主及び市場のチェックが入る態勢」としました。 しかし電力は国の経済の基幹でもありますので不安定要素の低減の必要性が他産業に比べて非常に厳しい。 倒産するなどは論外ですし、予測を元にして十分な量の設備を準備しなくてはならない、それらの稼働率が悪くても容認しなければならないと、市場原理に晒すことは許されないことだった。 だからこそ「垂直統合したうえで地域独占を許す。」という飴を与えつつ「供給義務=求められたらどんな場合でも供給しなければならない義務を負う」としたわけです。 つまり、市場や株主のチェックを可能としながら、責任論においては「国が運営している=国内最高の責任」と同等とするために供給義務と地域独占がセットで与えられたのであって、国が運営性も同等の物が出来るなら国営でも機能面では問題が無いと言えます。 ただ、ここで諸外国の状況を見る必要があるでしょう。 よく「発送電分離や発電の自由化が行われると競争原理が働いて云々」が言われていますが、ちょっと誤解されていると思うんですね。 結論から言うと、発送電分離にしても発電事業の自由化にしても、競争原理の面でも安定供給の面でも、成功している事例は世界的にホボ皆無と言って良いと思うんです。 まずアメリカの例。 アメリカは発電会社と送電会社に分かれており、更には発電会社は自由参入性となっています。 送電会社は需給予測を電力取引市場に提示して各発電会社がそれに応札し、安い金額を提示した会社から送電を行うという形を取って、電力コストの低減を図っているんですね。 2003年8月14日に北米で29時間以上の停電が発生して、主として金融関係を中心に被害総額40~60億ドル(約7,000億円)の経済被害が出たと言われています。 幸いなことに最高気温が30℃程度で、かつ比較的短時間に復旧したので人的被害は報告されていない様子です。 事故原因として事故調査委員会が出した結論は「電力事業の小規模独立事業者への分割:規制緩和による電力の自由化により小規模の独立事業者の参入が増加して、電力の安定供給や信頼性維持が軽視された。」とありますね。 (参考:米国における電気事業は、歴史的経緯から多くの中小規模の事業者(私営約230社、協同組合営約890社、地方公営約200社など)により運営されており、もともと電力流通の広域化に対応した設備投資が行われにくい環境にありました) 同じようなことが2001年のカリフォルニアでも「カリフォルニア電力危機」として停電が頻発しました。 (現在でも同様の危機が潜在していると言われており、それに対する対応が州知事選の争点の一つにもなっていますね。) 原因としては、「カリフォルニア州は発電事業者に割高な自然エネルギーを一定割合買い取るよう義務付けていた。(日本と同じ)」ことと、電力会社の市場販売価格に上限が付けられていたために、ある一定以上を販売すると電力会社は逆ザヤとなる状況であったこと、好景気によって急激に電力消費が伸びたこと、この三つが重なって電力不足が生じました。 結果としては、州が税金を投入して電力会社の逆ザヤを解消してやることでその年は回避しましたが、根本的な改善(新しい適切な枠組み)が見いだせていませんね。 しかも、実勢価格を見て見ると、自由化前と後では殆ど料金が安くなっていない(むしろ若干高くなっている)。 欧州にも同様の例があります。 スペインでは太陽光による参入については自由化を行い、かつ非常に高い価格でも買い取り義務を電力会社に義務付けました。 その結果としてスペインでは「太陽光を作ればもうかる!」として非常に多くの太陽光が作られて「太陽光バブル」という状況になったのですが、当然として買い取る電力会社の経営を圧迫してしまい、あわや倒産(=停電)となりました。 この時も政府が税金を投入(電力会社の赤字補てんと、ペイしていない太陽光事業者への補てん)を行うと共に、買い取り価格を従来電源と同程度に抑える事で新規参入を困難にして解決しています。 とまぁ、競争力を働かせようとして世界では色々やっていますけど、どこの国も言うほど安くなっていないというか、見掛け上は安くなっても裏では税金で補てんしているとか、その反面としては停電の可能性が高くなっていたり、先行した設備投資がなされないので停電が頻発し始めた(特にアメリカが酷いです。)だとか、供給義務が外れたために社会的弱者への送電が停止されただとか、色々と問題が出ているのも見ると、電力会社の体質(の一部)は問題であるかもしれないし競争原理が働けばいいのかもしれませんが資源も何も無くて工業製品の安定輸出で外貨を稼いで食糧・エネルギーを輸入しなければならない日本。そのためには社会インフラとしての電力は恐ろしくハイレベルで安定しなくてはならない。」と基礎を置いた場合に、具体的にどうしたらいいの?は未だ見いだせていない(≒世界でも例が無い)と思うんですよ。 ここからは蛇足ですが。 地域独占で安定して収益を得ていましたが、電力会社って借金も恐ろしく大きいんですね。 それこそ各社数兆円規模。 現在は地域独占に支えられていますから各設備の簿価も非常に高く算定できますから債務超過には陥っていませんけど。 電力が巨大な利益を上げているってのは、ある種の会計上のマジックだと痛感しますし、その利益は結局市場に還元される(利益だけでなく、電力に入る殆どのお金もそう)、つまりは国内景気の底支え役を長年務めてきたんだと思います。 実際、不景気になると真っ先に政府から電力に「景気対策として設備投資して!」と裏要請が来ますもん。 ここから考えると、質問者様の「実質国営」というのは的を射ていると思います。 自由化されると「売れるかどうか確証のない設備」の簿価は下がるので、既存・新規参入問わずに「電力ってのは余り儲からない」って状況になるんだろうなと、相当な確信を持って感じます。(儲かるのは電気代が高い場合か、停電リスクの高まりを無視して設備メンテナンス費用を安く抑える場合でしょう。) 孫さんが打ち出した「太陽光プロジェクト」も、利益算定の元になっているのは小売(各家庭の電気単価)より遥かに高い買い取り義務価格ですしね。 「国営化したら、競争原理を働かせたら、発送電分離したら、発電自由化したら、国民に利益が出るのか?」 表面的な電気代としては安くなる可能性もあるでしょうし、「電力会社なんて巨人が潰れるのはスカッとする」と感じる人もおられるかもしれないです。 ただ、相当に方法を煮込む、それこそ新規参入に対しても供給義務を課す(となるとコストが上がりますが)だとか、技術的にも法的にも検討をしないと、停電リスクや経済の混乱というリスク、引いては税金投入という状況が相当高い確率で(他国の実績からも)発生するでしょう。
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- siege7898
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よく、生命に直結するなくてはならないものは公共サービスにするのが望ましいなどと言っている人がいますが、ならば電気よりももっとなくてはならない食糧はなぜ民間企業にほぼ自由に任されているのでしょう? つまり、電力供給ももっと分社化、分割して自由化することは可能なはずです。それに国営化するのではNTTやJRの逆を進むことになりますよ。 あと、まだまだ不十分ではありますが、一定規模以上の電力を消費する企業は電気を好きなところから買えるようになっています。そういう電力会社もいくつか出来てますし今後電力自由化の範囲も拡大していくでしょう。
お礼
有難うございました。 誤解があるのかも知れないですが、質問の主旨は「今の電力会社のあり方は国営企業そのものではないか? なら、国営にした場合、どんなメリット・デメリットが私たちに降りかかってくるのか?」というものでした。 表現が下手で申し訳ありません。 でも、たしかに食料は国営じゃないですね。 昔は米は全て政府が管理していたようですが、今は全く自由社会になっています。
- thank27
- ベストアンサー率19% (32/161)
一社独占は今までの世界の例で見るとすべてダメ。 特に電力は重要な公共的業種で他企業の利益に即関係しますので送配電会社で分けるのが当面の方法です 島国のため日本の電力は他国から買えないし 政官業癒着国家なので独占になりやすいと思います 国民の知識と意思表示は大切ですね 電力会社とて 今の利益体系を崩す根性など出せるわけがないです(一個人の感覚と同じなんです)
お礼
有難うございました。 今、審査している買取法案が成立したら、真の意味での自由競争社会になると聞きました。 ただ、電気料金も安くなれば良いのですが、報道では強制買取のために逆に料金が上がるようです。 だったら、今までの方が私たちにとって良かった事になりますよね。 何とかならないものでしょうか。
- key00001
- ベストアンサー率34% (2878/8340)
丁寧なお礼有り難うございました。 > では電力会社が民間企業である意味は? 競争相手は? そしてその国民的メリットは? と考えて、さて? と感じてしまっています。 確かに電力会社やガス会社は異常であり、健全な民間企業とは言えません。 ただ、あくまでご質問の「国営化」と比較した場合、たとえ現状の様な有り様であっても、民営と言うだけで、国営よりははるかにマシと言うことです。 質問者様が仰る様な、健全な民営化に向けて必要なのは、規制緩和や自由化など、立法の仕事です。 > 現代社会では電気も止められたら生死に関わると思います。 長い時間で考えると、質問者様が仰る通り、電気やガスも生命に影響します。 ただ、ここで言う「生死に関わる」は、あくまで臨床的(医学的)な観点での緊急度です。 緊急度が高いのは、空気・水・食糧の順であることは間違い無く、電気などは副次的なものです。 空気が無い状態ですと10分で致死率はほぼ100%で、水が無い状態ですと7日で致死率はほぼ100%です。 一方、食糧が無いだけですと、個人差はありますが、空気と水だけで1ヶ月程度は生存は可能です。 更に申しますと、質問者様がご指摘の、クーラーが停止して死に至るケースも、その概ねの主たる原因は、発汗による脱水であり、生命維持において、水が重要であると言うことに他なりません。 言い換えると、水が断たれた場合、生命活動を維持する上で、活動可能な時間は、3~5日しか有りませんが、高温等で発汗が促進された場合、更にその期間が短くなると言うことです。
お礼
何度もご意見を頂き、有難うございました。 たしかに電気が無くても、即、生命の危険につながる事はありませんね。 人類にとっては電気の無い期間の方がはるかに長いわけですし、言ってみれば、電気など無ければ無いで何とかなるように思います。 あと国営についてですが、先の回答者様のご意見にもあったのですが、今審査している買取法案が成立すれば真の意味での自由競争原理が働くようですね。 それだと健全な形の民間企業になるわけで、今さら国営なんて時代に逆行しますね。 とても勉強になりました。 感謝します。
- Mumin-mama
- ベストアンサー率45% (1140/2503)
「総括原価方式」 http://www.youtube.com/watch?v=Jt3eUl2-kec 「発送電分離」 「再生可能エネルギーによる電力の一定買い取り価格の設定」 「官僚の天下り廃止」 これらが法律により改正されたり成立すれば、日本の電力業は自由競争がはじまり、欧米の様に自分の好きな電力会社から電力が買えるようになります。 首都圏でも東電前社長の停電の時に、自家発電を持っていて余剰電力がある企業がいくつもあったようですが、送電線が無いので、東電に電気が売れなかったそうです。 また、東電からは話も来なかったそうです。 また、岩手県の葛巻町と云う所は、電気を全部再生可能エネルギーでつくっていて、180%もあるので、隣町に売りたいと思っても、地元の電力会社の送電線の問題でそれが出来ないそうです。 もし、国営にした場合。 喜ぶのは官僚と、原発城下町選出の議員と関連企業です。 ただ、国民は今ままでどおり、総括原価方式によって、お金を彼らに巻き上げられるだけです。
お礼
有難うございました。 今討論している買取法案が成立すれば、私が言っているような本当の意味での自由競争原理が働くというわけですか。 それだと、民間企業であった方が私たちにメリットが出ますね。 期待します。
- key00001
- ベストアンサー率34% (2878/8340)
経済の原理原則で言えば、「民間で出来ることは民間で」です。 国営企業や専売公社などは、それこそ競争原理が働かず、役人根性により腐敗や悪事の温床にしかなりません。 例えば、現在の電力不足の様な状態で、実際に停電が発生した場合、民間企業であれば、監督省庁が企業に対し、原因調査や対策を要請出来ますし、その結果、電力会社が赤字になれば、株主総会で追及したり、場合によっては株主代表訴訟なども可能です。 しかし国営などをした場合、停電の責任はたちまち国なので、原因究明などは行われず、「どうしようも無かった」で終わりになります。 現在の経産省と電力会社でさえ、両者の癒着構造により「本当の原因」などは判りにくいですが、国営になれば、完全なブラックボックスと化します。 たとえ本当の原因が、職員の怠慢とか、原子力発電推進目的などであっても、真実は闇の中です。 水は生命の維持に必須であり、私企業の営利基準で水道供給を停止すれば、国民の生死に関わるから、公営であるべき理由があるんですよ。 ただ、水道や河川の管理運営事業は、清掃・ゴミ事業などと同じく、ブラックボックスであり、腐敗や悪事の温床になってます。 電気や水道は、料金未払いで停止されても、直ちに生死には関わりませんので、民営であるべきかと思います。
お礼
有難うございます。 いつもお世話になっています。 今回に限り、反論というわけではないのですが、例えば東電の株主総会でも多くは自治体や大手企業が大手株主になっていて、たとえ東電に不手際があったとしても、シャンシャンで終わってしまうように感じられます。 また、最も「これが民間企業と言えるのか?」と感じるのは、1社独占で価格も一方的に決められている事です。 私は関西に住んでいますが、関電が気に入らないとか料金が高いからとかの理由で隣の電力会社から買おうとしても不可能です。 消費者に選択肢が無いわけです。 民間企業のメリットは「競争原理が働いて、その結果、消費者の利益につながる事」が一番に挙げられると思います。 国鉄がJRに、また電電公社がNTTになった事を考えれば分かると思います。 随分とサービスが向上したはずです。 その理由は、それぞれに強力な競争相手が存在するからです。 消費者に納得してもらわなければ企業として存続しなくなるからです。 では電力会社が民間企業である意味は? 競争相手は? そしてその国民的メリットは? と考えて、さて? と感じてしまっています。 すみません、反論がもうひとつ。 現代社会では電気も止められたら生死に関わると思います。 エアコンに扇風機、冷蔵庫など生活必需品の全てが機能しなくなります。 特に今のような猛暑なら普通の人なら3日でアウトになるのではないでしょうか。 この辺、更なるご意見を頂ければ幸いです。
- Mokuzo100nenn
- ベストアンサー率18% (2123/11344)
国営化=天下り公務員は喜ぶ。
お礼
東電や関電にも(我々が払った電気料金で維持されている)天下り法人や、下請け・孫請け企業が無数にあると思うのですが ・・・ 国営企業と明らかに違うところは、どこでしょうか?
- itaitatk
- ベストアンサー率38% (751/1976)
・今の天下り先がまた増える。 ・電気代が上がる だから電気の電気網だけを国が管理し、発電は民間の競争原理を導入すればいいと思う
お礼
有難うございました。 天下りですが、今の東電や関電に多くの官僚が天下っていると思いますし、またそれらが作った無数にある特殊法人にも天下りの連中が多いと聞きます。 電気代についても、現状でも電力会社から請求された料金を払わなければ電気を止められますよね? 一般民家が交渉して安くしてもらえるとか、関西に住む人間がたとえば四国電力の方が安いからそこから電気を買うとか、一切できません。 これで民間企業と言えるのでしょうか?
- comattania
- ベストアンサー率23% (840/3549)
今でさえ、電力料金が高いのに、国営にされたら、天井知らずに高くされます。 電力会社は、大企業じゃなく、中小企業が乱立してこそ、電気代も適正価格となるでしょう。 今の電力料金は、最悪の事態を想定して、全く赤字が出ず。役員は7千万以上の年収を確保し、社員も千万の年収を平均値とし、関連会社も、黒字になる予算を立てて、それを電気代として計算してるのです。
お礼
有難うございました。 > 社員も千万の年収を平均値とし、関連会社も、黒字になる予算を立てて、それを電気代として計算してるのです ・・ ですよね? つまり競争原理なんて存在しない企業ですよね。 例えば私が住む関西では関電の電気を、それも関電が一方的に決めた料金で買うしか方法がありません。 車なら、例えばトヨタが嫌いだから日産を買うという方法がありますが、電気の場合はそれが一切ありません。 料金も言われ放題です。 だったら民間企業として存在する意味が無いように思うのですが ・・
お礼
とても詳しく解説して頂いて、本当に有難うございました。 電力会社の実態や世界の情勢が理解できたように思います。 今、検討されている買取法案ですが、ソフトバンクが考えているように「高く買って、そこそこの値段で売らせる、その赤字分は電気料金の値上げか税の投入でカバー」なんて事を実際に行なえば、一体何のための自由化なのか意味が分からなくなります。 よく日本企業は世界一高い電気料金に悩んでいると聞きますが、更に値上げとなると一体日本はどんな社会になるのでしょうね。 日本は国鉄や電電を民営化してサービス向上に成功した実績がありますので、電力に関しても何とか対応できると良いなと願っています。 ただ失敗すると停電が頻繁に発生するような「電力が高額にして不安定国家」に陥る恐れもあると心配しています。