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高浜原発の停止について

kagakusukiの回答

  • kagakusuki
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回答No.3

 長い期間運転を続けた後で停止した直後の原子炉の危険性は、運転中の原子炉と比べて危険性は少し低いだけで大した違いはありませんが、それに対して数年間に亘って停止し続けた原子炉の危険性は運転中の原子炉と比べて大幅に低くなります。  原子炉の内部にはウランやプルトニウムなどの核分裂性物質を収めた燃料棒が多数納められています。  この核分裂性物質の原子核が中性子を吸収すると原子核が割れて、2個か3個の破片に分かれ、別の種類の物質の原子核となります。 【参考URL】  核分裂反応 - Wikipedia   https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A0%B8%E5%88%86%E8%A3%82%E5%8F%8D%E5%BF%9C  この核分裂によって生じた別の種類の物質の事を核分裂生成物と言います。  又、ウランやプルトニウムが核分裂を起こすと、核分裂生成物の原子核の他に、2~3個の中性子が放出されるのですが、この中性子が核分裂を起し難い物質の原子核に吸収された際にも、別の種類の原子核が生じます。  この様にして原子炉の内部では核反応が進むに従って原子炉内部に最初は存在していなかった物質が増えて行く事になるのですが、この様な核反応によって生じた物質は、放射性を持つ物質となる場合が多いのです。  放射性物質とは、その原子核がエネルギー的に不安定な状態にある原子核となっている物質の事で、その原子核はエネルギー的に不安定であるが故に高エネルギー粒子を放出する事でエネルギーを放出し、安定な状態になろうとします。  この放射性物質の原子核が放出する高エネルギー粒子が放射線の正体です。 【参考URL】  放射線 - Wikipedia   https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%94%BE%E5%B0%84%E7%B7%9A  原子核が粒子を放出すると原子核内に含まれている陽子や中性子の個数が変わったり、エネルギー状態が変わったりする事により別な種類の原子核に変化します。  つまり、放射性物質は放射線を出せば出すほど別の物質に変わって行きますので、元の放射性物質の量もまた放射線を出せば出すほど減って行く事になります。  この様に放射性物質の原子核が放射線粒子を放出して別の種類の原子核に変化する事を「崩壊」と言います。 【参考URL】  放射性崩壊 - Wikipedia   https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%94%BE%E5%B0%84%E6%80%A7%E5%B4%A9%E5%A3%8A  放射性物質が放射線を出して別の物質に変わって行く速度は放射性物質の種類によって異なっており、短い時間で多数の原子核が崩壊する種類の放射性物質もあれば、多数の原子核が崩壊するには何十億年もかかる様な放射性物質もあります。  放射線粒子の数は崩壊した原子核の数に比例しますから、短い時間の間に多数の原子核が崩壊する種類の放射性物質ほど放射能が強くなる傾向があります。  逆に言えば、強力な放射性物質ほど、速い速度で減って行くという事です。  そのため、数年間に亘って停止されて来た原子炉の内部に残っている放射性物質は、同じ量で比べた際に放射能が極端に強いものは、既に殆どが崩壊し尽くして無くなっているため、運転中の原子炉と比べて放射能の強さが非常に弱くなっているのです。(「停止中の原子炉の放射能など大した事は無い」という事ではなく、「運転中の原子炉の放射能が、停止中の原子炉など比べ物にならない程、極端に強力」という事です)  さて、放射線の粒子は高エネルギーを持った粒子なので、放射線が物質の中の原子核などに吸収されると原子の運動エネルギーが増加する事になります。  原子の運動エネルギーが増加するという事はその物質が持っている熱エネルギーが増加するという事です。  これは放射性物質を含んでいる物質は発熱し続けるという事を意味します。  この放射性物質が崩壊する事によって発生する熱の事を「崩壊熱」と言います。 【参考URL】  崩壊熱 - ATOMICA -   http://www.rist.or.jp/atomica/dic/dic_detail.php?Dic_Key=1209  運転中や運転停止直後の原子炉の燃料棒には非常に強力な放射性物質が大量に含まれていますから、例え原子炉を緊急停止させて核分裂反応が起きない様にしたとしても、燃料棒は放射性物質の崩壊熱によって莫大な熱を発生し続けます。  実際、福島第一原子力発電所の原子炉は東北地方太平洋沖地震の地震波が到達した際に、地震の揺れを感知するセンサーに連動する安全装置の働きにより、自動的に炉心内に制御棒が差し込まれて緊急停止したため、連鎖核分裂反応は完全に停止していましたが、強力な放射性物質を大量に含んでいた燃料棒は莫大な崩壊熱を発生し続けており、それにもかかわらず地震の影響で送電網が使用出来なくなったため、他の発電所から電力を送ってもらう事も出来ず、さりとて停電の際に電力を供給するための非常用ディーゼル発電機も津波で押し寄せた海水を被った事により使用不能となっていたため、燃料棒の冷却用の水を循環させるための電動ポンプを動かす事が出来なくなり、冷却が不十分な状態になった燃料棒は自らが発する崩壊熱によって高温となり、メルトダウン(←原子炉内部の核燃料が融ける事)を起して原子炉圧力容器の底部に溶け落ち、更にはその高熱によって原子炉圧力容器の底部すら融かして穴を開け、核燃料が圧力容器の外に流れ出すメルトスルーを起しました。 【参考URL】  福島原子力発電所等の事故の発生と進展   http://www.kantei.go.jp/jp/topics/2011/pdf/04-accident.pdf  福島第一原子力発電所事故の経緯 - Wikipedia   https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A6%8F%E5%B3%B6%E7%AC%AC%E4%B8%80%E5%8E%9F%E5%AD%90%E5%8A%9B%E7%99%BA%E9%9B%BB%E6%89%80%E4%BA%8B%E6%95%85%E3%81%AE%E7%B5%8C%E7%B7%AF#CITEREF.E5.8E.9F.E5.AD.90.E5.8A.9B.E7.81.BD.E5.AE.B3.E5.AF.BE.E7.AD.96.E6.9C.AC.E9.83.A82011  炉心溶融 - Wikipedia   https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%82%89%E5%BF%83%E6%BA%B6%E8%9E%8D  この様に、運転中の原子炉は大規模災害時にメルトダウンを起こす危険がある訳です。  それに対して、停止させてから数年程度を経た原子炉の核燃料は、特に強力な放射性物質の殆どが崩壊し尽くして実質的に無くなっているため、放射能の強さが格段に弱くなっており、そのため例え冷却水が循環していなくともメルトダウンを起す様な高温になる恐れがほぼ完全に無くなっています。(水に浸けておけば、その水を循環させなくても温度は100℃未満にしかなりません)  メルトダウンを起さなければ原子炉の外に放射性物質が大量に飛散する事などありませんから、運転中の原子炉の危険性と比べれば、停止してからある程度の年月が経過した原子炉はかなり安全だという事が言える訳です。

morizumu634
質問者

お礼

段階を踏んでの説明、ありがとうございます! 運転中と停止後ではそんなに違いがあったのですね。

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