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今考えられる中で一番最悪のシナリオを教えてください

kagakusukiの回答

  • kagakusuki
  • ベストアンサー率51% (2610/5101)
回答No.7

>大規模なメルトダウンが起きた場合、再臨界する可能性よりも核燃料自体が蒸発し始める可能性の方が高いんでしょうか?  どちらが可能性が高いかと言えば、核燃料が蒸発する可能性がの方が一応は高いとは思いますが、それは、飛行機に乗った時に偶然に墜落事故にあって死ぬ可能性の方が、偶然に隕石に当たって死ぬ可能性よりも高いと言うのと似た様なもので、どちらも起きる可能性は低い事に変わりはありません。  臨界とは連鎖核分裂反応を持続可能になった状態の事ですが、そのためには、原子炉内部の中性子の数の密度が、あるレベル以上に保たれている必要があります。  今回の福島原子力発電所(第一と第二)では、地震が発生した段階で、自動的に制御棒が差し込まれていますから、連鎖核分裂反応に必要な中性子は、制御棒が吸収してしまい、核分裂を持続させるには、中性子の数が常に不足する状態になっています。  それに、原子炉用の低濃縮ウランは、融解して一塊に集まると、返って核分裂を起こし難くなる場合もあります。  ウラン鉱石から取り出される天然ウランには、中性子を吸収して核分裂を起こし易いウラン235は、僅か0.72%しか含まれておらず、残りの殆ど(99.27%)は中性子を吸収しても核分裂を起こし難いウラン238が占めています。  このままでは、核分裂させ難いため、濃縮と呼ばれる処理を行って、ウラン238を除去し、ウラン235の割合を高めて、核分裂し易くしたウランが、濃縮ウランと呼ばれるものです。  濃縮ウランには、用途によってウラン235の割合が異なり、原子爆弾に使われる兵器級ウランは、ウラン235が90%以上に濃縮されていますが、商業発電用の原子炉に使われる低濃縮ウランは、通常は2~4%程度に過ぎません。  原子核は一般的に中性子のエネルギーが低い方が吸収し易い傾向があるのですが、ウラン238は丁度、ウラン235の核分裂で放出される中性子が持つエネルギーの付近で、中性子を吸収する確率が増える性質があります。  このため、ウラン238を多く含む低濃縮ウランの塊では、中性子の多くはウラン238に吸収されてしまい、ウラン235の核分裂に使われる中性子の割合が低いため、中性子の数が次第に減ってしまい、核分裂反応が持続し難いのです。  原子炉では、低濃縮ウランで核分裂反応を持続させるために、ウランの燃料棒を間隔を空けて配置し、その間を水等で満たしています。  燃料棒から放出された中性子は、水分子を構成している水素の原子核と衝突する事により、効率良くエネルギーを失い、ウラン238の吸収確率が高いエネルギー領域よりも低いエネルギーになり、ウラン235に吸収される割合が増える様になります。(ウランの塊のままでは、中性子が水でエネルギーを失う前に、ウラン238に吸収されてしまう)  又、水という邪魔ものに衝突した中性子は、簡単には原子炉の内部からは出られませんから、水が無い場合と比べて、再び燃料棒に吸収される割合が増え、中性子の利用効率が増す訳です。  この様に、水は単なる冷却剤として以外にも、核分裂反応を持続させるためにも重要な役割を果たしています。  メルトダウンとは炉芯が高温で融解する事であり、燃料棒は液体の水が存在出来る程度の温度では融解しませんから、メルトダウンが起きるという事は、燃料棒の一部が水に浸かってないという事です。  燃料が水に浸かっていなければ、核分裂は持続しないのですから、メルトダウンの際には、むしろ再臨界は起き難くなると思います。  それに、福島原子力発電所では、ウランの濃縮度が低い事に加え、注入した海水には、中性子を吸収するホウ素が混ぜられていますから、臨界に達する可能性は無いと思います。  一方、原子炉の冷却を行わなければ、水蒸気爆発とメルトダウンは起きると思いますが、水蒸気爆発が起きたとしても、圧力容器と格納容器の双方が、水の大部分が流出する様な箇所から漏水する可能性は低く、水が残っていれば、融解して容器の底に落ちた核燃料も、再び冷やされて固体になりますから、水が蒸発して無くならない内に、外部から注水すれば、核燃料の蒸発や、炉外への流出は防げる筈です。

jointdry
質問者

お礼

お返事が遅くなってすいません。ご回答ありがとうございます。 再び臨界に達する可能性はほとん無いということですね。 詳しいご説明ありがとうございました。よく理解できました。

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