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権力とは?国家とは?

ghostbusterの回答

回答No.6

すいません。新学期になって忙しくて遅くなりました。 > もっと強力かつ積極的に規格化をおこなうのであって この規格化というのは、normalization だから、「規範化」と訳しても全然問題はありません。「規範」ではなくて「規範化」です。中山さんの本には「規範化」とされています。 だけど、 > 詳細な規範を規定して個体の身体まで管理化する。条件反射的に「規範」に従うように作り上げられる というのは「規範」と言っちゃうと、少しちがうかな、という印象を受けます。 「規範化」あるいは「規格化」というのは、監禁システムの目標です。つまり、人間の身体を、ある型に合わせて完全に矯正しようとする、ということです。 17世紀の兵士というのは、遠くからでも見分けのつくような、立派な身体であることが理想とされていました。ところが18世紀も公判になると、兵士の身体は「作り上げられるもの」とみなされるようになる。農民であっても、「規範化」「規格化」によって、兵士とすることができる。 この「規範化」「規格化」を可能にする方法がディシプリン(規律)です たとえば時間管理を分単位、秒単位で精密化する。時間厳守が鉄則となり、身体は時間に拘束されて動くようになる。 あるいはまた、椅子のすわり方やペンの持ち方、筆順など、「上手な字」を描くための身ぶりが規定される。 こうした規律によって、身体は「規格化」されていくのです。 ディシプリン(「規律」と訳されている場合もあります)と「規格化」の関係はこのようなものです。だからこの文章では「規律」とか「ディシプリン」と言った方がいいかな。 用語というのはむずかしいものです。 でも、囲碁にしても将棋にしても、ルールを覚え、定石を覚え、言葉を覚えながらやっていくものでしょう? 哲学とか、思想とかもそれと同じだと思うんです。 慣れないうちは「何だ、これ」と思うかもしれないし、いたずらに難解な言い方をしているように思うかもしれないけれど、全部理由がある。楽しく碁が打てるようになるためには、そんなややこしいプロセスを省略するわけにはいかない。わかりにくいから、と、自分の使いたいように用語を使うのは、そういう考え方をしない人もいるでしょうが、わたしはちがうかな、と思います。だから、がんばってみてください。 > フーコーの訳語で「戦略」という言葉も良く使われてますね。 戦略というのは、戦術と対にして考えるとわかりやすいかもしれません。 「戦」とあるように、もともとこれは戦争に関連する用語でした。戦争に勝つために作戦を立てる。個々の作戦を立てる前に、総合的・長期的な見通しが必要ですね。それが「戦略」です。戦術というのは、その戦略をもとに、具体的・実際的に立てていくものです。 「戦術核兵器」が、部隊や陣地など軍事目標を攻撃する核兵器であるのに対し、都市や軍事施設・工場密集地帯などの戦略目標を攻撃するのが「戦略核兵器」というでしょう? そこから転じて、日常語でも「我が社の販売戦略」「顧客戦術」みたいな使い方をします。 さて、フーコーの本には、戦略という言葉がよく出てきます。 「権力という語によってまず理解すべきだと思われるのは、無数の力関係であり、それらが行使される領域に内在的で、かつそれらの組織の構成要素であるようなものだ。耐えざる闘争と衝突によって、それらを変形し、強化し、逆転させる勝負=ゲームである。」(p.119『性の歴史I 知への意思』) このように権力を勝負、ゲームととらえているから、「戦略」という言葉が出てくるんですね。 こんな箇所はどうでしょうか。 「性とそれを引き受ける真理の言説に話を戻せば、解決すべき問いは、従って、かくかくの国家的構造である以上、いかにして、また何故、〔国家〕権力が性についての知を制度として作りださねばならないのか、という問いではない。…… そうではなくて、その問いはつぎのようなものだ、すなわち、性に関するかくかくの型の言説において、歴史的に、しかも特定の場所に現われる真理の強奪のかくかくの形において(少年の身体のまわりに、女の性に関して、産児制限の実行について等々)、そこで作動する、最も直接的で最も局地的な権力の関係とはいかなるものか。…… どのようにして、これら権力の関係が、ある一つの総合的戦略に論理に従って互いに結びつけられるのか、しかもその戦略は、翻って見ると、性に関する統一的でかつ積極的に介入する政策の様相を呈するのであるが。」(p.125-126) この三世紀というもの、性に関しての言説は一種の爆発を見せている。それは、権力が、人びとに、性について語ること、告白することを要請したからだ。なぜ、そういうことが要請されるようになったか、という文脈に置いてみると、この「戦略」ということもとらえやすくなってくるのではないでしょうか。

4219hidepon
質問者

お礼

「さらにそれが進行していけば、パノプティコンすらも存在する必要はなくなります。囚人たちはパノプティコンを内在化することによって、規律正しい主体となっていく。」というように別の解答欄の所で述べておられますが、これって、フーコーにとって「権力」というのは、ある「規範と価値」を作りだし、それを、個々人の身体に内在化(主体化)する。いいかれれば、「社会に内在する力」が、個々人に対して条件付けるというか無意識を身体化するところのものが、「権力」というように言っているように思うのですが。 1、これって、俺の勝手解釈かな? 2、「権力とは権利主体の行使する権威ではなく、社会に内在する力であり、規範(規格化)と価値の産出を体言する」ものであれば、日本社会においては、その最たるものは、マスメディア(=知識人)ということになりますね。規範と価値という言葉を産出する一番の力というか影響力を持っているものですから。 3、小沢秘書問題も検察という「権利主体」が、マスメディアの規範と価値を代行しているってことになりませんか?法的には全く問題にならないものであって問題化している「権力」ってことになりませんか。勿論、社会における関係性の総和によって権力が行使されるものであってもですが。まあ、簡単明瞭に図式的にいってしまっておりますが。又、お時間のあるときにでもレクチュアお願いしたいです。 有難うございます。

4219hidepon
質問者

補足

有難う御座います。戦術との比較では大変「戦略」という意味はよく判りました。しかし「そこで作動する、最も直接的で最も局地的な権力の関係とはいかなるものか。…どのようにして、これら権力の関係が、ある一つの総合的戦略に論理に従って互いに結びつけられるのか、しかもその戦略は、翻って見ると、性に関する統一的でかつ積極的に介入する政策の様相を呈するのであるが。」(p.125-126) 1、「直接的で最も局地的な権力の関係」って、性という次元、男女関係とか家族関係という次元の話なのでしょうか? 2、「これら権力の関係(男女関係の次元と家族関係の次元?)が、ある一つの総合的戦略に論理に従って互いに結びつけられるのか(一般的な権力概念に結び付けられる?)」ってことでしょうか? 3、ここでの戦略というのも上手く理解できません。 お時間あれば、よろしく!!

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