素早い？

質問

素早いは、なぜ素速いではないのですか？
動作の速度が速いということだから、素速いではないのですか？

回答No.4

kine-ore

「素」は呉音漢音とも「ソ」だが、呉音で「ス」と音読する場合は＜強調＞ひいては＜卑蔑語＞の意味での接頭語に当たります。
例）
素早い：大変に早い、素放(すっぽ)かす：全く放念する
素っ頓狂：頓狂がひどい、素浪人：しがない浪人の分際で。

「はやい」には一定の時間内での動作量にかかわって「迅速」「速攻」を意味する速(はや)いという形容詞遣いと、短時間での終了を指す「速成」「速乾」という速(すみ)やかさを指す名詞遣い、さらに時間内の運動量を多くする意味の速(はや)めるという動詞遣いがあります。
一方の時間的に時期が先である意味での早(はや)いという形容詞遣い、時間が少ししか経過していない「早速」「早々」「早見表」など、さらには時期的に早める・早まるなど、速いと早いにはかなりの重複用法が伺えます。

ですから新聞用語集では「早：主として時間関係」「速：主として速度関係」と区分していますが、実際のところ「すばやい（素速い）」は「素早い」にまとめるように指示しています。
また、常用漢字表でも漢字遣いは「素早い」だけになっています。
ただ、漢字規制のない時代では、この「素速い」の他にも「敏捷(すばや)い」や「素捷(すばしこ)い」「神速(すばしこ)い」とも記しています。