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赤紙(召集令状)と入営通知書の違い

pem42391の回答

  • pem42391
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回答No.6

No.2、3、4、5の回答者です。質問者さんにおかれては、今でも興味を持っていただいて嬉しいです。しかも補足でリンクされた中に面白い史料が出てきて、新しい発見がありました。 > 日露戦争時は召集令状を郵送していたようです。 > 「日露戦争・召集令状送付のエンタイア」 > http://blogs.yahoo.co.jp/yobnag/25331126.html この赤い封筒は <召集令状を入れて応召員に郵送したものではない> と考えるべきです。封筒の宛名を見てピンと来ました。くずし字の住所は私の能力では読めませんが、宛名は「国枝源吉 殿」の上に書いてあるのが「巡査」という文字で間違いないでしょう。召集されて軍隊に行く人に送っているのではなく、召集業務に関与している警察の一員に送った封筒です。 1899(明治32)年10月制定の陸軍召集条例施行細則(陸軍省令第29号)を見ればよくわかります。第5条に「(前略)其ノ事務ニ係ル文書[令状ヲ除ク]ヲ発送スルニハ動員用封筒[第三様式]ヲ用ウヘシ(中略)令状ヲ市町村長ヨリ各自ニ交付スルニハ普通ノ封筒ヲモ用ヰサルモノトス」となっています。つまり、何か動員に伴う令状以外の書類を送ったときの封筒でしょう。わざわざ <召集令状は除く> と条文に書いてあるのですから。下記リンクから条文と封筒の様式を見てください。色指定といい、第3様式の封筒がまさにそれです。 http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2948175/1 http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2948175/3 > 「動員令の電報」 > http://fumisan822.exblog.jp/11768352 動員令というのはわかりやすくいうと「師団の編制を大きくしろ」という命令で、回答No.4で挙げた『赤紙と徴兵』59頁によれば、陸軍省から師団に向けて下令されるものです(戦争が本格的になれば大本営が設置され大本営から師団へ下令)。師団はそれを連隊区司令部に「動員令が来たから召集をやれ」と伝え、連隊区司令部は市区町村役場に「動員令が来たから召集をやる」と伝えます。回答No.4で書いた予報というのも正確には「動員令予報」といいます。しかし役場から先は動員令は行きません。 <動員令は応召員(召集される個々人)に伝えるものではない、応召員が伝えられるのは召集> だというのがこれまで調べた私の解釈です。ですからこの電報を紹介するタイトル「動員令の電報」は間違いだと考えます(ここでも「招集」と誤記しています、そのレベルの人たちが付けたタイトルです)。この電報は正しくは「召集を伝達する電報」ですね。 差出人を大阪歩兵第8連隊としているのも間違いです、連隊が応召員に電報なんか打ちません。差出人は電報文の最後に「カミイ」と出てますよ。では「カミイ」とは誰か? 電報送達紙の上のほうに「エツチウ カミイチ」と書いてあります。調べたら越中の富山県に上市町というのがあります。上市町役場が差出人でしょう、「カミイチマチヤクバ」とするには文字数の余裕が足りなかったのだと推測します。町役場から令状を代理で受け取った人物が電報の差出人なら「チチ」とか「オジ」とか、自分の名前「ヒロシ」とかにするでしょう。「動員により」という書き出しや「旅費のことはその地の役場に聞け」とか慣れている人っぽい文面だと思うのは気のせいでしょうか。私の考えが間違っていないなら、この電報こそまさに回答No.4で書いた陸軍召集規則第43条の「適当ノ方法」による「召集ノ旨ヲ伝達」の実例史料になりそうです。部隊到着日までたったの1日という極端な場合だからこそ役場が電報を打ったと考えます。 しかし9月14日に山形県で電報の通知を受けて、15日の午後1時に大阪に到着するのはムチャクチャな日程ですね。こういう場合は陸軍召集規則の第48条2項に「令状又ハ召集ノ通報ヲ受ケタル日時ノ関係上指定ノ日時ニ到着地ニ至ルコト能ハザル者ハ所在地ノ憲兵又ハ警察官吏ニ就キ令状又ハ召集ノ通報受ケタル日時ノ証明書ヲ受ケ」と書かれているので、応召員はさっそく天童町(当時)でそのような手続きをして、大阪に向かったことでしょう。 この召集の事例はもうひとつ興味ぶかいことがあります。召集令状が富山県上市町の役場からその町に本籍があるクツワダヨシオさんに行くはずだったと仮定してのことですが、それならば大阪の歩兵第8連隊に召集というのが気になります。本籍富山県なら富山連隊区の扱いであり、金沢に司令部がある第9師団のどこかの部隊に入るのが普通でしょう。大阪は遠すぎるし、歩兵第8連隊は第4師団です。ひょっとすると、この応召員は予備役か後備役の下士官かもしれません。第4師団の部隊は関西風というのか士気があまり高くないので、下士官のなり手(現役下士官は志願者を候補者にして育成)が少なく不足していた、時には他の地方の現役や予備役下士官を異動させて加えた、という話を読んだことがあります(ソース失念、申し訳ない)。 > 徴兵検査は8月にも実施されていたようです。 徴兵検査は日本国中で1年間に何百と行われていたでしょうから、例外もあるだろうとは思いました。ただ一応4月16日から7月31日までと、1927(昭和2)年の兵役法施行規則(陸軍省令第24号)第103条で決められているので、それをどうするのか不思議でした。「陸軍なんて何でも横暴にやりたい放題だった」と考えている人もいるでしょうが、軍隊だって役所の一つですから <法律や規則によって動く> んです。なにしろ1943(昭和18)年の学徒出陣のときには普段と違って10月以降に学徒の徴兵検査を行うので、わざわざ昭和十八年臨時徴兵検査規則(陸軍省令第40号)というものを制定したほどです。 http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2961523/3 徴兵検査8月実施は上述の兵役法施行規則第97条の1で、7月31日までに「終了シ難シト認ムルトキハ」と初めから8月以降の検査も容認していると考えれば良いのか、第109条で、「伝染病ノ流行其ノ他災害等」により期日までに徴兵検査ができないときは日時の変更ができると定められているので、そのへんの拡大解釈か、あるいは何度も細かく改正されている規則のどこかに、私が見落とした変更があるかもしれません。時間かけて改正を調べたんですけどねぇ・・・。 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1112389/68 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1112389/72 (つづく)

yoshinobu_09
質問者

補足

詳細な解説ありがとうございます。 大変参考になります。 > 「日露戦争・召集令状送付のエンタイア」 > http://blogs.yahoo.co.jp/yobnag/25331126.html 加茂郡肥田瀬駐在所  巡査國枝玄吉殿 加茂郡肥田瀬村は現岐阜県関市肥田瀬。 裏面が不明ですが、郵趣記事にもなっていることから 「召集令状送付」とどこかに書かれていると思ったのですが。 「召集令状封筒」と広告する根拠は何か。 それにしても配達証明も速達もない、3銭切手を貼った普通郵便。 この時代は自動車がないので、軍部も重要でない書類は 郵便制度に頼っていたのでしょう。 >30通以上束にしてあった のなら、同一巡査宛でしょうか。 > 「動員令の電報」 > http://fumisan822.exblog.jp/11768352 宛名:天童町鎌田温泉稲荷湯方    クツワダ ヨシオ殿    至急 官報 『動員のため九月十五日午一時大阪歩兵八聯隊に召集  旅費のことはその地の役場にて聞け カミイ』 電信局:越中上市 日付:昭和13年9月14日 指定:ウナ 指定略符号ウナは至急電報。 「発信人居所氏名蘭」がないのが不思議です。 pem42391様の解釈で間違いないと思います。 三島由紀夫の電報は官報でした。 当時三島由紀夫は群馬県の中島飛行機小泉製作所に遠方勤労動員されていて、 軍部が動員したわけですから、三島の所在地を把握できていたわけです。 このような場合は役場から、郵送か、電報で知らせたのでしょう。 郵送の例はこちら↓でしょう。 昭和18年、書留、配達証明で22銭ぶんの切手を貼っています。 http://blog-imgs-12.fc2.com/i/s/o/isokaze/20091027043628191.jpg

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