●以前、某メーカーの開発耐久実験業務に携わっていた者です。
●まずはATF(オートマチック・トランスミッション・フルード)について・・・
人間の任意のタイミングで手動でギアを変えるMT(マニュアル・トランスミッション)に対し、AT(オーマチック・トランスミッション)は運転者のアクセルの踏み込み量・路面の勾配・積載量等々、それら全てを機械で計算し、非常に複雑かつ密集した蟻の巣の様な油路をバルブで切り替え、自動でギアを変速する構造になっています。
その潤滑油・作動油であるATFが、走行を重ねる事により劣化し不純物(磨耗鉄粉等)が増えると、油路のバルブの動きがスムーズでなくなり変速ショック(=ギヤが変わるときに前に比べるとカクンという感じになるときがある)が大きくなってきます。又、バルブやギアを動かす時の摺動抵抗も増大する為、燃費も悪くなり、冷却性能も低下するので、急加速の繰り返しや高回転を連続的に使用する高速道走行時に、オーバーヒートを起こしやすくなります。
この劣化したATFを交換せず走行を続けると、更に不純物が増え潤滑性能が低下する為、バルブやギアの磨耗が進行し、その磨耗した部分を劣化したATFが埋める様に入り込み、部品と部品とのクリアランス(隙間)を正常保つ役割をする様になります。
この様な状態が進行した状態でATFを新品に交換すると、磨耗した部分を埋めていた劣化したATFが洗い流され、クリアランスが正常に保てなくなり、部品と部品とのクリアランス過大によりバルブが正常に作動しなくなったり、油路に血栓の様に固まった不純物が取れ他の油路を塞いだり…等々、様々な不具合が発生してしまうのです。
従ってこの、部品の磨耗が進行する前の状態。
=2~3万キロ(車種やメーカーにもよる)走行毎の交換が必要、という事なのです。
*その車の説明書、又は整備記録簿を参照方。
●ATFを交換しないとどうなるのか・・・
ATFを交換しないとどうなるかは上記の通りですが、今の国産車ならば全く交換しなくても、10万キロまでは変速ショック増大や燃費悪化等の症状は出るものの、普通の走行をしている限りATが壊れる事はまずありません。
あなたの車はすでに11年目・75,000kmという事なので、もし今まで1度もATFを交換していないのであれば、交換しない方が良いと思われます。
ただ、交換しないにしても、ATFの量が規定量入っているかの確認はしてもらいましょう。
もし交換しない選択をされたのなら、優しい運転(急発進・急加速・超高速走行をしないという意味)を心掛け、ATへの負担を軽減させてあげると良いと思います。
交換した方が良いかは、信頼のおけるディーラーの整備士に直接(営業マン等を介さず)聞きましょう。
●ATFの種類
ATFは必ず純正品で、且つその車種に指定されているオイルを使用して下さい。
(車と同メーカーのディーラーなら、そのオイルを使用してくれます)
理由は、非常に緻密な構造のATの部品や性質に合ったATFを使用しないと、故障や早期劣化等のトラブルを引き起こす可能性があるからです。
*粗悪な社外品(車用品店等のATF)と交換して起きたトラブルは、メーカー保証外です。
純正オイルは、過酷で多様な耐久試験にも合格した、最も信頼性の高い物なのですよ。(しかも安価)
●ホンダディーラーでATFを交換した場合、オイル代、工賃は如何ほどかかるのでしょうか?
車種によって違うので一概には言えませんが、オイル代+工賃で7000~18000円位です。
ホンダのディーラーに電話して車種と型式を伝えれば確実な価格が分かりますよ。
値段を比較したいとか妥当な価格か知りたいのでしたら、数件のディーラーへ電話し同じ質問をすれば大体の見当は付くでしょうね。
*ディーラー間では、価格に大差はありません。
お礼
まず、専門的なお話、有難うございます。 うまく書けませんが新車から乗って暫くたったのちの交換ならいいですが距離が多い場合は逆に悪くなってしまうのですね。 確かに変速ショックはかなり感じています。 そのこともあって考えてたのですが。 あとイメージとしては血管みたいな感じでしょうか? 通りをよくはしたがその際、詰まっていたものが脳血管で血栓を作ってしまう。ような。 やはりオイル関係は純正が一番なのですね。 カー用品店は好きではないですが値段でやってもらってたので。これからはディーラーさんにお願いすることにします。 今度、ディーラーに行ってメカニックさんを捕まえて聞いてみます。そして確認作業して頂きます。 すごいアドバイスを有難うございました。 勉強になりました。