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信用創造について質問です。

ab_initioの回答

回答No.13

>企業の借金返済の流れが止まらないのならば、まだ当分はデフレ圧力のかかる局面が続くということですね。 きちんと調べたら実は2010年現在は企業は借金返済を完了していました。 一番下の添付図は日銀の資金循環統計より作成した2008年度までの非金融法人企業の資産の変化を示しています。 3月末年度決算のですのでグラフの最終の2008年度とは直近の景気の底の時期です。 (政府は2009年3月が景気の底だと最近認定しました) 株式・出資金について: 「株式・出資金」の定義は非金融企業の総時価総額を指します(正確には未公開株や特殊法人の出資金なども含みます。)。バブル崩壊までの安定成長では株式・出資金は一本調子で上昇しており、バブル崩壊後は上下を繰り返し2006年度にはバブル期を越えています。デフレ期においても株式の信用創造は変動はしても平均すれば維持できたと言えます。 日経平均はたしかにバブル期に遠く及びませんが、2006年度のTOPIXとJASDAQなどの時価総額を全部を足せば、実はバブル期の総時価総額を超えていたということです。 純資産 - 株式・出資金について: 「純資産」の定義は資産-負債です。日銀の資金循環統計にある資産には現金・預金だけでなく、他社の株式、証券、金融派生商品なども含みます。負債には借入、自社の株式・出資金、自社の証券(社債)などが含まれます。ここで重要なのは、企業が作成するバランスシートでは、他社の株式は資産ですが、自社の発行株式は「返済義務のない負債=資本」です。それゆえ、企業からみた純資産とは日銀の純資産と異なります。「企業からみた純資産=純資産 - 株式・出資金」が成立します。 「純資産 - 株式・出資金」が黒字なのはバブル期以前では1988年のみです。その後のバブル崩壊で「純資産 - 株式・出資金」の赤字は増大しましたが、1997年から借金返済により赤字が縮小し、2003年度に黒字達成、以降は現在まで黒字です。株価が底値を示した直近の2008年度でさえ、黒字です。つまり株価変動があっても企業は常に黒字を達成できるだけの純資産を手に入れたのです。 預金・現金 - 借入について: 「預金・現金 - 借入」はバブル崩壊までは一貫して赤字が増大し、バブル崩壊までは伸び悩み、1997年から借金返済が始まって赤字が縮小し、ついに2006年度を境に停滞もしくはほんの僅かな赤字拡大に反転しています。つまり、企業は2003年度以降の「純資産 - 株式・出資金=黒字」の中で借金返済を止めたのです。特に最も株価の低かった2008年度でさえ赤字は微増しています。 これは企業で「純資産 - 株式・出資金=黒字」であれば借金返済をしないという暗黙の了解が成立したと言えます。この暗黙の了解は、自己資本比率(自己資本/総資産≒時価総額/総資産)がある程度あればそれ以上は借金返済を行わないという、昨今のバランスシートの風潮と一致します。 最後にバランスシート不況について: 日本の直接金融比率では企業が受け入れられる借金(預金・現金 - 借入)はバランスシート調整で現在の200兆円程度がはじめから限界だったのです。しかし間接金融が発達しすぎたので銀行は企業にバブル崩壊の1990年までに400兆円に達するまで貸付を続けてしまったのです。 400兆円に増えた企業の借金は1990年から1997年の期間はフリーズしましたが、この期間はまったく無駄な期間でした。1997年から2005年にかけて借金は200兆円までに返済されましたが、政府が国債を通じて肩代わりしたからです。 一方で株式は1990年から現在まで一環して総時価総額は400~600兆円を変動しながら推移しました。仮に時価総額が何らかの理由で上がることができていれば、あるいはもっと早くに政府が国債発行を増やしていればバランスシート不況はもっと早く終わっていたはずです。これから先の日本では、企業がバランスシート調整を覚えてしまった以上は借金してくれる量は時価総額がどれだけ上がるかで決まります。 バランスシート不況は後世に以下の教訓を残すことになります。 ・バランスシートを重視した間接金融では貨幣の総量は政府保障を除けば直接金融が既定する。 ・そのため、肥大した間接金融の信用収縮は政府がケインズ主義を完遂するか、間接金融から直接金融への流動が起こるまで解決しない。 ちなみに信用創造って英語で”Money creation”だそうです。 笑ってしまいますよね。 実体経済と貨幣経済は永遠に交わらない平行線のようです。 お金のおかげでここまで社会は進歩できましたが、金自体には意味はありません。 お金について正しく理解してお金に振り回されない社会であってほしいものです。

hondawara
質問者

お礼

>2010年現在は企業は借金返済を完了していました。 >「純資産 - 株式・出資金=黒字」であれば借金返済をしないという暗黙の了解が成立したと言えます。 おおお、そうなのですか。その暗黙の了解を前提とすれば、信用収縮の流れは一応止まったと見てよいのですね。 >バランスシートを重視した間接金融では貨幣の総量は政府保障を除けば直接金融が既定する。 株式上場ブームが一段落した今、直接金融の信用の増加は実体経済如何にかかっていますね。 とても重要な知見を与えて下さりありがとうございます。大変勉強になりました。

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