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行政事件訴訟法36条

法律初学者です。 「行政事件訴訟法36条:無効等確認の訴えは、当該処分又は裁決に続く処分により損害を受けるおそれのある者その他当該処分又は裁決の無効等の確認を求めるにつき法律上の利益を有する者で、当該処分若しくは裁決の存否又はその効力の有無を前提とする現在の法律関係に関する訴えによつて目的を達することができないものに限り、提起することができる」にある 「当該処分若しくは裁決の存否又はその効力の有無を前提とする現在の法律関係に関する訴えによつて目的を達することができないものに限り、提起することができる」 の部分における以下の意味につき、やさしく具体的に教えてもらえませんでしょうか。 ※当該処分若しくは裁決の存否 ※その効力の有無 ※~を前提とする現在の法律関係に関する訴えによつて目的を達することができないもの

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  • spaider01
  • ベストアンサー率59% (16/27)
回答No.3

もっと上手い事例、いい表現があったかも知れず、前回とあまり変わらないかもしれないです・・・ ○事例1、事例2などは最初の回答のものをいいます。ただし、事例はあくまでも比較対象を満たすための便宜です。 ○前提問題として、裁判制度の大まかな分類について確認します。 訴訟は、民事訴訟、刑事訴訟、行政訴訟 に分けることができます。 民事訴訟は、AがBに自動車を売って引き渡したのに、Bが残代金を払ってくれない場合に、カネ払えという請求をするように、ABという一般国民相互の財産的であったり家族関係に関する争いを扱います。 刑事訴訟は、Aが強盗犯として逮捕・起訴され、はたしてAがそのような犯罪を行ったのか、行ったとすればどのような刑罰に処すべきかということを扱います。 行政訴訟は、Aが自動車を国道で走行中、法定速度で走っているにも関わらずオービスのカメラが光って3カ月後に警察に呼び出され、結果、罰金と免許停止処分を受けた場合に、その処分を争うようなことを扱います。 行政訴訟が具体的にどのような場合を扱うか、その訴訟の進め方はどのようになるか、訴えを提起するためにはどのような条件を満たさなければならないのかなどは、行政事件訴訟法という法律に規定されています。 その中で、行政訴訟の種類として、取消訴訟などのいわゆる「抗告訴訟」があり、ほかの種類として「無効等確認訴訟」があります。 そして、無効等確認訴訟を見ていくと、そのような訴訟を提起するための条件があり、それは同時に無効等確認訴訟の内容でもあります。訴え提起の要件(訴訟要件)を見ていくことにより、どのようなことが無効等確認訴訟になるのかということについて基本的なことがわかるという関係にあります。 ○前提問題として、行政行為の効力について少し確認します。 取消訴訟で取消されない限りは、取消されるべき欠陥のある行政行為にも一応従わなければならない(従わせることができる)という効力を公定力といいます。 ex) Aは自動車の運転免許の取消処分を受けた。だからAは一定期間   は免許を再取得することができず、免許がないから運転できない。   しかし、本当はAの免許取消しの手続きに欠陥があり、免許の取   り消しという行政処分は取消されてしかるべき状態にある。   だから、本来であればAは免許を有しており、運転もできるべきで   ある。   しかし、Aが免許取消し処分を取り消させない限りは、その免許取   消処分は一応効力があるものとして取り扱われ、いくらAが「本当   はこういう理由によって免許取消し処分の方が取り消されるべき   なのだ」と言っても、Aが自動車を運転すれば無免許運転になる。 このように、処分が取り消されない限りは欠陥のある処分も一応有効として動いてしまうことを「行政行為には公定力がある」と表現しています。 そして、行政行為を争って裁判で取消すためには、行政事件訴訟が指定する裁判所に行政事件訴訟法によって取消訴訟をしないといけない、それ以外は認められないということを「取消訴訟の排他的管轄」と言います(※1)。 これは、取消しという言葉よりも、行政行為を裁判上で争うには行政事件訴訟でやらないといけないのだという独占性として捉えた方が早いかもしれません。たとえば、上の例のAが勤めているB社で、B社の営業車を無免許運転して警察に捕まったことによりB社が運送業者として監督処分を受け、それにともないB社がそれを理由にAの給料を減給する処分をしたとき(そのような事実に対して減給すること自体は適法であるものとします)、AがBに対して民事上の問題として、自分の無免許状態は違法な免許取消し処分によるものなので、それを前提とする減給は無効であるとして争っても、免許取消処分は行政訴訟として取消訴訟を起こさない限りは一応有効(公定力)で、しかも本来行政訴訟で直接に争わなければならない(排他的管轄がある)問題を、民事訴訟(減給を争う)の前提問題として主張することはできないということです。行政訴訟で免許取消しが取り消されていない以上、民事訴訟を担当している裁判所は、そのような免許取消しが有効に存在することを前提としなければならず、勝手にそれが効力がないという判断をすることもできません。これが取消訴訟の排他的管轄です。 その上で、取消訴訟には訴えを提起できる期間が定められており、その期間を経過すると、行政側が自発的に取消す場合を除いて取消すことができなくなります。これを「行政行為には不可争力がある」と表現します。 つまり、行政行為には公定力があり、争うとすれば排他的管轄があり、提訴期間を経過してしまえば、不可争力を生じて効力が確定してしまいます。 しかし、欠陥の程度がもはや不可争力を認めることのできないような重大なものであれば、取消すまでもなく、”はじめから当然に無効”だと考えていきます。 そして、無効であることの確認を求めて提訴することができることになります。そして、当然に無効は「最初から」行政処分が一度も効力は発していないので、一度は効力を生じたことを前提とする行政処分の取り消しという問題を生じません。だから、無効確認を求めるのにあたって「取消訴訟の排他的管轄」という制約にはかからず、行政訴訟でなくても民事訴訟の中でも前提問題として効力を否定してしまうことができます。 ○ 無効確認訴訟 無効確認訴訟は、はじめから無効であると言っていくので、取消しを求めるものではありません。ですから取消訴訟が提訴期間の経過によってできなくなったとしても、行政事件訴訟法に定める無効確認訴訟の要件を満たすのであれば無効だという訴えを起こすことができます。 その訴訟要件の一つに、 「現在の法律関係に関する訴え」で争えるものは無効確認訴訟はできないというものがあります。 もともと、当然に無効なのですから、本来であればわざわざ行政訴訟をやらなくても、その有効であることを前提とした民事などの法律関係を争う前提問題として、その行政処分が無効であることを認定してもらえば済む話です(排他的管轄がないので可能)。 それが、事例1です。 事例1についての前提となる理解 AB間で土地を売買するのには、通常、売買契約をすれば済みます。それだけでAからBへ土地の権利が移転し、Bが所有者となっていきます。 ところが、その土地が農地である場合は、別途、農地法という法律が適用されます。農地法では、行政庁の許可がないと農地の譲渡は有効にならないとしています(確認したら農地法3条4項でした)。このため、AB間で売買する土地が農地である場合は、農地法にしたがって、売買契約+行政上の許可を得てはじめて契約の効力を生じ、Bにも所有権が移転していきます。もし、売買契約しかしておらず、許可が得られていなければ、売買契約は「成立しても効力は生じていない」状態だということになります。 AがBに、許可も受けて農地を売ったが、「B」の事情により本来であれば許可が得られるべきものではなかった、そして、それは無効であると言えるほど欠陥の著しいものだった。 とすると、当然に最初から無効なのですから、許可がない売買だったので売買も無効だったということになります。 だから、AからBに所有権は移転していないから、農地を返せという話になっていき、AはBに土地を返せという訴えを起こしたという流れです。そして、その訴訟は民事訴訟です。 この民事訴訟の中で前提問題として農地法の許可が無効であることが認定されれば(取消を求めるものではないので排他的管轄に拘束されない)AB間の争いは解決可能な話であるため、わざわざ、一旦、Aが農地法の許可が無効であるとする行政訴訟を提起して無効確認を得て、改めてBに対して土地を返せという民事訴訟を起こすまでもないと言えます(※2)。 そして、この場合、むしろ行政訴訟でわざわざ無効確認訴訟を起こすようなことは「するな!」ということまで言われるわけです。 このAB間の民事訴訟が「現在の法律関係に関する訴え」に当たり、その訴えで間に合うものは、行政訴訟の無効確認は起こせないということです。 これが、「現在の法律関係に関する訴えによつて目的を達することが“できないものに限り”、“提起することができる”」という要件です。 事例2の場合は、事例1のように、現在の法律関係に関する訴えというものが見当たりませんので、「現在の法律関係に関する訴えによって目的を達することができないもの」に該当して、無効確認訴訟を提起できるということになります(※3)。Cの利益は法律上の利益だとします。 ○存否/効力の有無について これは、文字通り、存在と不存在、有効と無効の両方です。一般には、行政によってなされた処分を争うことの方が多いと言えますし考えやすいので、説明においては不存在と無効が事例としてあげられると思いますが、 ある行政処分が存在することや有効であることの確認も理論上、確認の利益がある限り否定される理由もありません。なぜかというと、そこに法的な紛争が存在して、その紛争に関して訴えがあり、訴えの利益がある限りは裁判を行うのが裁判所の役割だからです。 たとえば、事例2の場合で、B市が、A社が落札したにもかかわらず、契約前に建設業許可の有効性に疑いをもって契約を渋りだしている場合を考えると、A社は建設業許可が有効であることの確認を求めることができてもいいはずです。 ※1 PCについてメーカーへ問い合わせをしようとしています。しかし、問い合わせ内容によって窓口が複数あり、購入に関する問い合わせはA、技術的な問い合わせはBとなっている場合、もし技術的な問い合わせをしたいのであれば、絶対に窓口Bに電話をかけなければならず、Aに電話してもBに電話してくださいと要望は「却下」されることになります。この場合、「技術的なお問い合わせ」については、窓口Bに「排他的管轄」があります。 ※2 ※1の例で、技術的なお問い合わせ(行政行為の瑕疵に相当)ではあるものの、それは購入に関しての仕様や周辺機器との相性などの問い合わせに過ぎないのであれば、窓口Aに問い合わせてもいい(Bの排他的管轄がない)、いや、むしろ窓口Aに問い合わせるべきだ(Bへの問い合わせ要件として、窓口Aに問い合わせるべきもの以外であることが要求される)ということになります。 ※3 B市が市内の施設建設を行うことになり。その工事を民間企業に頼みたいと思っています。そこで、手をあげてくれる業者を逆オークションをかけて、一番「安い」金額でやってくれる業者にハンマープライスします。ハンマープライス(落札)したら、落札した業者が辞退しなければX市と落札業者が工事の請負契約をします。ただ、建設業許可が必要な工事であるため、そもそも逆オークションに参加し、契約できるのは建設業許可を受けた業者でなければなりません。 このとき手を挙げた業者Aと業者Cがあり、Aが落札したものの、Aの許可は本来であれば取消されるべきものであり、しかも、その欠陥の重大性から無効と考えられるものだとすると、本来であればCが落札して受注できていたことになるので、CはまずAの建設業許可が無効であることの確認を求めることが考えられます。一方、AC間には原則として「現在の法律関係に関する訴え」に相当する法律関係がありません。

tenacity
質問者

お礼

ご回答いただき、本当にありがとうございました。 お礼が遅くなり、何卒、ご容赦願います。 大変失礼しました。 改めまして、御礼申し上げます。 本当に、申し訳ありませんでした。

  • spaider01
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回答No.2

失礼しました。土日にまだ質問が開いてましたら、違った表現で書きなおしてみます。

tenacity
質問者

お礼

本当にありがとうございます。

tenacity
質問者

補足

「失礼しました。」→とんでもございません。 「土日にまだ質問が開いてましたら、違った表現で書きなおしてみます。」→よろしくおねがいします。 ※「当該処分若しくは裁決の存否」の「存否」というのは、「『存在すること』または『存在しないこと』」といったことではなく「不存在」ということでしょうか。 ※「その効力の有無」というのは、「『効力があること』または『無効であること』といったことではなく「無効であること」ということでしょうか。

  • spaider01
  • ベストアンサー率59% (16/27)
回答No.1

[1] <事例1> Aが農地を所有しており、これを農地としてBに売却する場面を考えます。 農地法によって、農地を他人に売却する場合はそのことについて農業委員会や知事などの許可を得なければならないとされています。そして、この許可がないと売買が有効になりません。売買が有効であるためには有効な許可がなければならないという関係にあります。 cf. 農地法 3 条    効力は判例だったか条文だったか忘れてしまいましたが確認しとくと    勉強になるはずです。 [2] Aは農地法の許可が無効であったので、売買は無効であり、Bに所有権は移転していないという訴訟を提起したいと考えています。これは民事訴訟です。しかし、争点は許可という行政処分の有効性でもあり、その意味では行政訴訟として許可の有効性を争うこともできるのではないか、行政事件訴訟法には無効確認訴訟があるじゃないかということも言えます。 はたして売主は、農地の移転許可が無効であるとして、許可処分の無効確認という行政訴訟を提起することができるのでしょうか。 [3] 結論は、行政事件訴訟法はその可能性を先手を打って封じており、できないとしています。そのことが「当該処分若しくは裁決の存否又はその効力の有無を前提とする現在の法律関係に関する訴えによつて目的を達することができないものに限」るという表現で規定されています。 [4] その規定にこの事例を当てはめると、 当該処分(農地法の許可)の存否又はその効力の有無(無効であること)を前提とする現在の法律関係(農地の売買によってAからBに農地の所有権が移転した関係)に関する訴え(所有権確認および土地返還訴訟)によって目的を達することができないものに限り・・・ となり、 Aは、農地法の許可が無効であるとしても、「農地法の許可が無効であることを前提とするAB間の所有権確認等の訴訟によって目的を達することができ」るのだから、許可の無効だけを取り上げて行政訴訟(無効確認訴訟)を提起するということはできない、ということになります。このような民事訴訟を争点訴訟といいます。 [5] ご質問に対応させると、 ※ 当該処分若しくは裁決の存否   : 農地法の許可若しくは審判請求裁決の存否 ※ その効力の有無   :農地法の許可あるいは審判請求裁決の効力の有無 ※~を前提とする   : 以下のような事例2 <事例2> 建設業者Aが建設業の許可を得て営業している。Aは地方公共団体Bの公共工事の入札に参加し落札した。  公共工事の入札には同業者Cも参加したが、このままいけば当然Aが工事を受注することになる。 しかし、Cは諸般の事情からAの建設業許可は本来取消されるべきものだったことを知った。ところが、取消請求が可能な期間を経過してしまっており、取消訴訟を提起できないこともわかった。しかし、取消しどころか、そもそも無効なものだと考えられることがわかったことから、Aの建設業許可処分の無効確認を主張しようと考えた。そうすれば、そもそもAの入札参加資格がなくなって、AはBと契約できず、おのずとCが受注できる公算となるからだ。 [補足] 「現在の法律関係に関する訴え」は、行政行為の瑕疵を先決問題とする行政訴訟以外の訴訟であると考えておけば一応いいと思います。 無効確認等訴訟であるべきか争点訴訟であるべきかは、時代とともに複雑で微妙な問題になっているようです。通常は争点訴訟として考えられるものであっても、背景次第では無効確認等訴訟とされる場合があります。 判例としては、換地処分の無効を前提とする土地の返還請求は単純には争点訴訟になるようにも見えながら、これを行政訴訟だといっているものがあり、行政法の教科書には大抵載っているようですね(最判昭62.4.17)。 [ご注意] なお、この事例2でCを原告とした無効確認訴訟になるというのは私の私見で、ここでの回答のためにとりあえず想定してみたものですから突っ込みどころは放置しています。争点訴訟の場合と考え方の違いを示したものでしかありません。 がんばってね、勉強。

参考URL:
http://www.hiraoka.rose.ne.jp/C/870417S2.htm
tenacity
質問者

お礼

ご丁寧な回答及び激励いただきありがとうございました。 ただ、当方の読解力ではかなり難く、じっくりと理解に努めたいと思います。

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