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個体の識別

ruehasの回答

  • ruehas
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回答No.3

こんにちは。 #1です。回答をお読み頂き、ありがとうございます。 >とすれば、何らかの同種だというコミュニケーション手段があったのでしょうか。 我々動物の「同種間コミュニケーション」といいますのは、生得的な本能行動の選択により、他種とは遺伝的に線引きされていると考えて良いと思います。 コミュニケーションといいますのは外界との接触です。そして、本能行動を発生させるために外界から与えられる刺激入力を「信号刺激」といいます。「信号刺激」といいますのは、特定の刺激入力に対する反応の規準というものが遺伝的に定められており、これが本能行動を選択するための切っ掛けとなります。 どのような行動を選択すれば良いのかは遺伝的に決まっていますので、外敵からの信号刺激に接近行動を選択する動物はいませんし、同種に対して慌てて回避行動を行なう必要はありません。これだけで、「外敵」と「同胞」といいますのは遺伝的に線引きが成されていることになります。そして、それは行動として現れますので、同じ状況において同じ行動が選択されるならば、誰が号令を掛けなくてもそれは群れになります。極端な話ですが、鳥や魚の群れといいますのは、同じ反応ができで同じ速度で泳げるだけで簡単に成立してしまいます。 生殖行動の切っ掛けとなる性的刺激といいますのは同種の異性から得られる信号刺激であります。例えばそれは、性的に成熟した身体的特徴であり、性フェロモンの分泌であったりするわけですが、これらはその動物にとって特有のものでありますから、信号が違えば発情することはできません。ですから、生殖行動においては同種からの信号刺激に対する接近行動だけしか設定がされていませんので、当然のことながら他種の全ては反応の規準外ということになります。 このように、本能行動においては同種からの信号刺激に対する反応といいますのは多くのものが予め定められていますので、我々動物にとって同種間コミュニケーションが特別なものであることは様々な生得的な既定によって必然的に裏付けられていることになります。 これに加えまして、このような、反応の結果が生得的に定められた「信号刺激」に対して行なわれる学習を「プログラム学習」といいます。 雛鳥は親鳥の嘴の色や角度などに反応し、餌を求めて口を開きますが、これは単なる本能行動です。では、このような親鳥とのコミュニケーションによって行なわれるプログラム学習が「インプリンティング(刷り込み)」です。この場合、雛鳥は「同種からの信号刺激」によってその個体が自分の親であるという「位置付け」を学習することになります。 この特殊な学習は生後三十数時間という極めて短時間で急速に完了します。そして、一旦学習が完了してしまいますと、それ以外の個体を親と学習することはできなくなります。これがどういうことかと申しますと、特定の個体を親と位置付けることにより、雛鳥は「群れにいる者は全て親と同種」という判定基準を必然的に獲得してしまうということです。そして、その判定基準は生涯に渡って変更されることはありません。 インプリンティングは卵を孵す動物でははっきりとした行動として確認されていますが、哺乳動物には高度な学習能力とたっぷりの育児期間というものがあります。親と同種のものが外敵や食料であったりするわけがありません。動物にとってそれは同胞であり、生殖相手です。ですから、そこには産みの親が設定されるのが動物にとって最も安全であり、生物学的な利益に適っています。そして、この学習結果といいますのは「生得的に定められた信号刺激に対する反応の結果」として、その動物に与えられた遺伝子ときちんと繋がっているわけです。動物の行動学者は、このようなプログラム学習は動物の生後の同種間コミュニケーションにおいてたいへん大きな意味を持つと指摘しています。

dreamer121
質問者

お礼

こんにちは。更なる詳しい回答ありがとうございます。 お陰で、かなり深い理解ができて来ました。 こういうふうに洞察したのですがよろしいでしょうか。 即ち、その種が発生した時代が壮絶な弱肉強食の生存競争の時代で、言い換えれば卵から生まれた瞬間から自力で防御しないと生き延びていけないほど、外敵が多く修羅場であったなら、信号刺激に対する反応は、後天的に習得したのでは間に合わず、従って全てプログラムされて生まれてきた。従って同種、親兄弟(?)、危険な動物は判断できた。人間が蛇を初めて見ても恐れるのは、人間の祖先がこの時代にプログラムされていたのでしょうか。 その後、ある程度淘汰、棲み分けが進み、孵化後の安全が確保された時点で、どうもプログラムだけの情報では、大雑把で誤差が大きく間違いが発生しうる、たまに共食いもする、後天的に精度よく教育しないといけないということで、大脳皮質が発達しインプリンティングや、子育てが始まった。逆に言えば、プログラムの比率が下がった分、ひな鳥の刷り込み現象が起こったりするのでしょうか。この段階で、コミュニケーション(声か怒声か、においかなどの)能力が備わってきたということでしょうか。

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