• ベストアンサー
※ ChatGPTを利用し、要約された質問です(原文:悪意の取締役の行為によって損害が生じた場合)

悪意の取締役による損害と共有土地の保証問題

law_amateurの回答

回答No.5

 会社法429条(旧商法266条の3)の話は,とても難しくて,簡単には答えられないものです。この前の質問の最後で,詳しいことを書かずに,簡単に流してしまったのは,そういうことからです。今回の質問にも,的確に答えるのは,とても難しいことに思えます。  その上で,話を整理してみます。  まず,主債務者に対する求償権は,考えのとおりです。  しかし,会社法429条の考え方は違います。損害賠償請求を考えるときは,基本的に,行為・因果関係・結果(損害)という枠組みで考えなければならないのですが,そう考えると,兄が「実質的に債務超過である」と言ってきたことは,あなたに損害を与えた「行為」にはならないと考えられます。すなわち,この言葉が真実であれば,あなたは,金融機関に根抵当権を実行されて競売の売却によって土地持分を失ったときに確定的に損害を被っているわけで,そのあとで,兄に何を言われようが,それは損害の発生とは無関係ということになるからです。  補足で,計算書類が虚偽であることが429条に当たると考えておられるようですが,計算書類が虚偽であったが故に,あなたが土地の持分権を失うことになったという関係には立ちませんので,この場合には,429条の責任の根拠として,計算書類の虚偽をいうことは難しかろうと思います。(何かの理屈の立てようはあるかもしれませんが・・・)  そうすると,この場合の,あなたの損害を発生させた原因となった「行為」は,相続の開始時には空いていた根抵当権の枠を使って,親族からの借入れを返済するための新たな借入れをしたこと,に求めるしかないように思います。この借入れ行為が,あなたの損害を発生させる原因となった「行為」であり,この行為について,会社の役員等に,会社法429条の「悪意又は重過失」があることが,429条の責任を発生させる要件となるわけです。  具体的な事実関係いかんでは,これと異なる考えもありうるとは思いますが,質問から推測できる限りでは,このようになると思われます。  ところで,会社法429条にいう「悪意又は重過失」とは,直接加害行為(第三者に対する詐欺など)の場合はともかく(このような類型では,会社法を持ち出すまでもなく,民法の不法行為で解決できることが多い。),しばしば問題となる間接損害(会社の経営を悪化させて債権者に対する支払を不能として,債権回収ができなくなる損害を与えた)の場合には,この「悪意又は重過失」は,取締役などの役員の,役員としての注意義務に反することをいうとされています。  「役員としての注意義務」とは,株主からの委任に応えて,会社を儲かるように経営することとでも言うのでしょうか,基本はそのことで,これに,最近では,コンプライアンスなど,社会的責任からの注意義務も加わるようになってきました。  これから,先の「行為」を見た場合,この「行為」が,金融機関に根抵当権を実行させ,問題の土地に対するあなたの共有持分を実質的に失わせることをもっぱらの目的として行われたとすると,確かに「悪意」に当たりそうです。しかし,常識的に考えて,真実はそうであっても,訴訟で責任を追及した場合に,そのような事実を認めるはずがありません。会社の取締役は,会社経営のため,広範な裁量権をもっています。会社の運転資金をどこから借り入れ,債務をどのように返済するかも,そのような裁量の範囲に入ります。部外者的に考えても,「親族からの借入は,経営を担っている親族に負担をかけているので,空いている担保枠を使って金融機関からの借入に切り替えて,親族借入を減らし,親族に余裕をもってもらって,いざ会社が危機に瀕したときに,その余裕から運転資金を融通してもらうことにした。」という弁解は,当然出てくると思われます。  ですから,429条の請求が成り立つためには,このような言い訳だか本当だか分からない主張を打ち破るだけの証拠が必要になるのです。  429条の訴訟は,証拠が相手方(被告となる取締役や会社)の手の内にあって,容易にアクセスできないところに大きなネックがあります。そういう意味で,弁護士を委任したとしても,大変難しい訴訟であるということができます。  学生に問題を解かせる場合には,事実はこうだと決めてかかれますが,訴訟の場は,そういうわけにはいきません。証拠の優劣によっては,真実と違い事実が認められる可能性もあるということは,十分に考えておかなければならないことです。特に,証拠が相手方の手の内にある場合はそうです。  この点は,十分に理解してもらいたいと思います。  ですから,あなたの質問に対する答えは,429条の請求が成り立つ可能性はある,その場合には,どの「行為」を捉えて「悪意又は重過失」があると主張するかを,よく考えなければならないし,実際に訴訟を起こした場合には,証拠が相手方の手の内にあるので,立証に苦労することになり,その点で敗訴する可能性がある,ということになります。  あと,いろいろの質問が出ていますが,会社法428条の関係では,債務の弁済は,自己取引になりませんので,親族債務の弁済であっても,自己取引にはならず,会社法356条の株主総会の議決は必要でないと考えられます。  仮にこれが必要であっても,会社は株主名簿の記載に従って議決権を行使させれば足ります(会社法130条からの解釈)ので,遺留分減殺請求で株式の共有持分を取得したとしても,大抵は,その時点で,遺言で株式をもらった人の名義に株式の名義か書き変わっていますので,現実に議決権を行使することはほぼ不可能と思われます。他の答えにあるように,株式の共有の場合には,代表者を通じてしか権利を行使できません(会社法106条)ので,遺留分減殺請求で敵対的に株式の共有持分を取得した場合には,代表者を決めることは不可能ですので,株主名簿の書き換えすら簡単にいきません。遺留分減債請求で,株式の持ち分割合を確定し,さらに株式の共有物分割を行って,取得株数を確定しないと,株主名簿の書き換えはできないということになります  それから,求償権の金額は,あなたが債務の弁済のために支出した額になりますので,競売で土地の所有権を失った場合には,競売の売却額のうち債務の弁済に充てられた額の所有権持分の割合になります。これは確定した数字です。求償権を元に,競売で配当を受けることはできません。物上保証人の求償権は,競売で売却されて初めて発生する権利です。  ちょっと長くなりましたが,私の答えはこんなところです。

wencyan
質問者

お礼

大変ご丁寧なお答えありがとうございました。 また、進捗状況をご報告させていただきます。

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