- ベストアンサー
ガロア拡大でない例について
ガロア理論を勉強しています。ガロア拡大については、ある程度理解できたつもりなのですが、有理数体Qに2の3乗根を添加した体Q(3√2)がQのガロア拡大でない理由がわかりません。 (複素数体Cが実数体Rのガロア拡大になっていることはわかります。) もしもわかられる方がおられれば、お教えいただければ幸いです。
- みんなの回答 (4)
- 専門家の回答
質問者が選んだベストアンサー
「Gal(Q(2^(1/3))/Q)={1}」 Gal(Q(2^(1/3))/Q) というのは、多分、Q(2^(1/3))の自己同型全体から成る群という意味なのでしょうね。また、これが {1} に等しいというのは、恒等写像以外に自己同型が存在しないということでしょうね。 恒等写像以外に自己同型が存在しないことの証明は、簡単です。 記号が煩わしいので、 α = 2^(1/3) ω = e^(2πi/3) とします。また、σを、Q(2^(1/3)) = Q(α)の自己同型とします。Q(α)の任意の元は、適当な有理数 a, b, c を使って、a + bα + cα^2 と表すことができます。これがσによってどういう元に移るかを考えます。 σ( a + bα + cα^2 ) =σ(a) + σ(b)σ(α) + σ(c)σ(α)^2 =a + bσ(α) + cσ(α)^2 です。よって、σ(α)が分かれば、σが完全に決定されることになります。一方、 α^3 = 2 ですから、 σ(α)^3 = 2 となります。すなわち、σ(α)は、方程式 X^3 = 2の根です。よって、σ(α)は、α、αω、αω^2のどれかです。ところが、αωとαω^2は、Q(α)の元でないので、σ(α)がこれらに一致することは不可能です。よって、σ(α)=αでなければなりません。そこで、上の式に戻って、 σ( a + bα + cα^2 ) = a + bα + cα^2 を得ます。すなわち、σは、恒等写像です。 「τ(τ:a+b(2)^(1/3)→a-b(2)^(1/3))は何故Gal(Q(2^(1/3))/Q)に含まれないのでしょうか?」 パスします。a+b(2)^(1/3) や a-b(2)^(1/3) が何を指しているのか分かりません。
その他の回答 (3)
- ramayana
- ベストアンサー率75% (215/285)
「L^Gal(Q(2^(1/3))/Q)=Qは何故言えるのでしょうか?」 質問の意味が分かりません。 Q(2^(1/3))/Q がガロア拡大でないことが分かっているのだから、まさか、 Gal(Q(2^(1/3))/Q) はガロア群だ、というのではないでしょうね。 また、L は、体のようにも見えますが、もしそうだとしても、どんな体なのか分かりません。
補足
すみません、質問にすべき内容を間違えておりました。 Gal(Q(2^(1/3))/Q)={1}と、「環と体の理論(共立出版)p109」に書かれておりますが、Gal(C/R)={1,σ} (σ:z→zの共役複素数)となるのに対し、τ(τ:a+b(2)^(1/3)→a-b(2)^(1/3))は何故Gal(Q(2^(1/3))/Q)に含まれないのでしょうか?
- ramayana
- ベストアンサー率75% (215/285)
Q(2^(1/3)) が Q 上の正規拡大でないからです。 ガロア拡大というのは、正規拡大であり、かつ分離的拡大であるということです。体 K が Q 上の正規拡大であるというのは、K の任意の元の Q 上の最小多項式の根が、すべて K に含まれているということです。 2^(1/3) の Q 上の最小多項式を f(X) とすると、f(X) = X^3-2 で、f(X) の根は、2^(1/3)、2^(1/3)e^(2πi/3)、2^(1/3)e^(4πi/3) の 3 個です。このうち、後の2つは虚数ですから、Q(2^(1/3)) に含まれません(Q(2^(1/3)) が実数体に含まれることに注意)。したがって、Q(2^(1/3) は、Q 上の正規拡大でなく、したがって、ガロア拡大でないことになります。
お礼
お教えいただき、有り難うございます。上記の説明で、理解することができました。 ところで、L^GをLのGによる固定体とするとき、L^Gal(Q(2^(1/3))/Q)=Qは何故言えるのでしょうか?
x^3-2=0がいくつ解をもつだろうか。
お礼
大変丁寧にお答え頂き、有り難うございました。 おかげさまで、理解を深めることができました。