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※ ChatGPTを利用し、要約された質問です(原文:もし全ての電力会社を国営にしたら困りますか?)

もし全ての電力会社を国営にしたら困りますか?

kenchinの回答

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  • kenchin
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回答No.9

No4さんの回答が秀逸ですし、元職から見ても大半が「その通りだな」と感じます。 ただ屋上屋のようですが少々。 ご質問のなかに「地域独占」とありますが、これをもう少しブレークして考える、また、世界の流れ(経験等)も踏まえて考える必要があるのかな?と感じます。 まず「地域独占」について。 これはGHQによって敷かれた態勢で、それまで国有であり、No4さんが言われるところの「民間のチェックが入らない体質を持っている国営企業=経済の根幹調整機能を国が持っている。」を崩すために、地域ごとに送電・発電を垂直統合して「民間として民主主義に従った株主及び市場のチェックが入る態勢」としました。 しかし電力は国の経済の基幹でもありますので不安定要素の低減の必要性が他産業に比べて非常に厳しい。 倒産するなどは論外ですし、予測を元にして十分な量の設備を準備しなくてはならない、それらの稼働率が悪くても容認しなければならないと、市場原理に晒すことは許されないことだった。 だからこそ「垂直統合したうえで地域独占を許す。」という飴を与えつつ「供給義務=求められたらどんな場合でも供給しなければならない義務を負う」としたわけです。 つまり、市場や株主のチェックを可能としながら、責任論においては「国が運営している=国内最高の責任」と同等とするために供給義務と地域独占がセットで与えられたのであって、国が運営性も同等の物が出来るなら国営でも機能面では問題が無いと言えます。 ただ、ここで諸外国の状況を見る必要があるでしょう。 よく「発送電分離や発電の自由化が行われると競争原理が働いて云々」が言われていますが、ちょっと誤解されていると思うんですね。 結論から言うと、発送電分離にしても発電事業の自由化にしても、競争原理の面でも安定供給の面でも、成功している事例は世界的にホボ皆無と言って良いと思うんです。 まずアメリカの例。 アメリカは発電会社と送電会社に分かれており、更には発電会社は自由参入性となっています。 送電会社は需給予測を電力取引市場に提示して各発電会社がそれに応札し、安い金額を提示した会社から送電を行うという形を取って、電力コストの低減を図っているんですね。 2003年8月14日に北米で29時間以上の停電が発生して、主として金融関係を中心に被害総額40~60億ドル(約7,000億円)の経済被害が出たと言われています。 幸いなことに最高気温が30℃程度で、かつ比較的短時間に復旧したので人的被害は報告されていない様子です。 事故原因として事故調査委員会が出した結論は「電力事業の小規模独立事業者への分割:規制緩和による電力の自由化により小規模の独立事業者の参入が増加して、電力の安定供給や信頼性維持が軽視された。」とありますね。 (参考:米国における電気事業は、歴史的経緯から多くの中小規模の事業者(私営約230社、協同組合営約890社、地方公営約200社など)により運営されており、もともと電力流通の広域化に対応した設備投資が行われにくい環境にありました) 同じようなことが2001年のカリフォルニアでも「カリフォルニア電力危機」として停電が頻発しました。 (現在でも同様の危機が潜在していると言われており、それに対する対応が州知事選の争点の一つにもなっていますね。) 原因としては、「カリフォルニア州は発電事業者に割高な自然エネルギーを一定割合買い取るよう義務付けていた。(日本と同じ)」ことと、電力会社の市場販売価格に上限が付けられていたために、ある一定以上を販売すると電力会社は逆ザヤとなる状況であったこと、好景気によって急激に電力消費が伸びたこと、この三つが重なって電力不足が生じました。 結果としては、州が税金を投入して電力会社の逆ザヤを解消してやることでその年は回避しましたが、根本的な改善(新しい適切な枠組み)が見いだせていませんね。 しかも、実勢価格を見て見ると、自由化前と後では殆ど料金が安くなっていない(むしろ若干高くなっている)。 欧州にも同様の例があります。 スペインでは太陽光による参入については自由化を行い、かつ非常に高い価格でも買い取り義務を電力会社に義務付けました。 その結果としてスペインでは「太陽光を作ればもうかる!」として非常に多くの太陽光が作られて「太陽光バブル」という状況になったのですが、当然として買い取る電力会社の経営を圧迫してしまい、あわや倒産(=停電)となりました。 この時も政府が税金を投入(電力会社の赤字補てんと、ペイしていない太陽光事業者への補てん)を行うと共に、買い取り価格を従来電源と同程度に抑える事で新規参入を困難にして解決しています。 とまぁ、競争力を働かせようとして世界では色々やっていますけど、どこの国も言うほど安くなっていないというか、見掛け上は安くなっても裏では税金で補てんしているとか、その反面としては停電の可能性が高くなっていたり、先行した設備投資がなされないので停電が頻発し始めた(特にアメリカが酷いです。)だとか、供給義務が外れたために社会的弱者への送電が停止されただとか、色々と問題が出ているのも見ると、電力会社の体質(の一部)は問題であるかもしれないし競争原理が働けばいいのかもしれませんが資源も何も無くて工業製品の安定輸出で外貨を稼いで食糧・エネルギーを輸入しなければならない日本。そのためには社会インフラとしての電力は恐ろしくハイレベルで安定しなくてはならない。」と基礎を置いた場合に、具体的にどうしたらいいの?は未だ見いだせていない(≒世界でも例が無い)と思うんですよ。 ここからは蛇足ですが。 地域独占で安定して収益を得ていましたが、電力会社って借金も恐ろしく大きいんですね。 それこそ各社数兆円規模。 現在は地域独占に支えられていますから各設備の簿価も非常に高く算定できますから債務超過には陥っていませんけど。 電力が巨大な利益を上げているってのは、ある種の会計上のマジックだと痛感しますし、その利益は結局市場に還元される(利益だけでなく、電力に入る殆どのお金もそう)、つまりは国内景気の底支え役を長年務めてきたんだと思います。 実際、不景気になると真っ先に政府から電力に「景気対策として設備投資して!」と裏要請が来ますもん。 ここから考えると、質問者様の「実質国営」というのは的を射ていると思います。 自由化されると「売れるかどうか確証のない設備」の簿価は下がるので、既存・新規参入問わずに「電力ってのは余り儲からない」って状況になるんだろうなと、相当な確信を持って感じます。(儲かるのは電気代が高い場合か、停電リスクの高まりを無視して設備メンテナンス費用を安く抑える場合でしょう。) 孫さんが打ち出した「太陽光プロジェクト」も、利益算定の元になっているのは小売(各家庭の電気単価)より遥かに高い買い取り義務価格ですしね。 「国営化したら、競争原理を働かせたら、発送電分離したら、発電自由化したら、国民に利益が出るのか?」 表面的な電気代としては安くなる可能性もあるでしょうし、「電力会社なんて巨人が潰れるのはスカッとする」と感じる人もおられるかもしれないです。 ただ、相当に方法を煮込む、それこそ新規参入に対しても供給義務を課す(となるとコストが上がりますが)だとか、技術的にも法的にも検討をしないと、停電リスクや経済の混乱というリスク、引いては税金投入という状況が相当高い確率で(他国の実績からも)発生するでしょう。

inmarsat
質問者

お礼

とても詳しく解説して頂いて、本当に有難うございました。 電力会社の実態や世界の情勢が理解できたように思います。 今、検討されている買取法案ですが、ソフトバンクが考えているように「高く買って、そこそこの値段で売らせる、その赤字分は電気料金の値上げか税の投入でカバー」なんて事を実際に行なえば、一体何のための自由化なのか意味が分からなくなります。 よく日本企業は世界一高い電気料金に悩んでいると聞きますが、更に値上げとなると一体日本はどんな社会になるのでしょうね。 日本は国鉄や電電を民営化してサービス向上に成功した実績がありますので、電力に関しても何とか対応できると良いなと願っています。 ただ失敗すると停電が頻繁に発生するような「電力が高額にして不安定国家」に陥る恐れもあると心配しています。

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