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検察の起訴裁量について

Tomo_GTの回答

  • Tomo_GT
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回答No.9

だんだんと質問者様がどのような答えを期待しておられるのか分からなくなってきた部分もあるのですが…。 >裁判官は、相当程度判例に縛られます。 そうですね、裁判官の判決は、過去の判例に縛られます。裁判官によって異なった判決が下されるのは著しく公平性に欠けるという考え方です。で、あたりまえの事ですが、検察官も、もちろん判例には縛られます。ですから、証拠上十分であっても判例違反となるような起訴は絶対にしません。少し古い例で、現在は削除された条文ですが刑法200条に規定されていた尊属殺が典型例です。最高裁の違憲判決の後、刑法が改正されるまでの間、条文上は尊属殺という刑が残っていましたが、違憲判決の後は尊属殺で起訴することがなくなりました。ですから、検察官が明らかな違憲や判例違反となるような起訴をすることはありません。 >「本来は、検察官は起訴・不起訴の例に縛られるべき」という議論を行うことは可能でしょうか。 不可能だと思います。検察官は、過去の起訴・不起訴の例を"参考"にはしますが、それに縛られたりはしません。極端な例ですが、起訴すれば有罪を得られる同じような事件であっても、関東のA地検では起訴、関西のB地検では不起訴(起訴猶予)ということが多々あります。まあ、検察には全国で統一的な起訴・不起訴の処理基準がなく、個々の地検単位である程度の基準を定めている程度ですので、当然と言えば当然ですね。個々の検察官の判断に委ねられます。ここで問題となっている検察官の裁量権ではなく、それこそ検察官の裁量です。 >今後検察官が「面子」にこだわり、医療事件をどんどん刑事事件化したりするようなことは許されるのでしょうか これは少し言葉が良くないと思います。 面子にこだわるのではなく、「胎盤を剥離すれば大量出血することは予見できたが、剥離を継続することが標準的な医療措置である。」という今回の判決で、まだ地裁レベルで先例に過ぎませんが、「○○をすれば患者が△△して死亡する危険性が予見でき、その手法・手技が標準的な医療措置でない場合は医師の過失を認めることができる。」ということが明確になった部分もありますので、それを今後の医療過誤事件の捜査に生かすと思います。 >罪を疑われた医者には多大な被害があります これは私見ですが、標準的な手法・手術であっても、そのレベルに達していない医師による手術によって死亡した患者は山程います。 死亡した患者やその遺族の被害の方が医師の被害なんかよりずっと大きいと思います。ですので、面子で事件化するとい言うべきでなく、今回の判決を教訓とし、これまで殆ど立ち入ることのできなかった医療過誤の分野へ、検察が積極的にメスを入れ、これまで見過ごされてきた被害者・遺族を救済すると言うべきだと思います。 ○○が見逃されているのに△△だけが起訴され、有罪となるのは不平等だという議論は不毛です。 身近な例として、交通違反を例にとっても、警察・検察は全ての交通違反を検挙し、検察は、反則行為でないものは全て起訴したいと思っています。でも、24時間・日本中の全ての道路で取り締まりをすることは物理的に不可能です。ですから、より悪質なものの方を取り締まらざるを得ないのです。警ら中のパトカーが1台で、赤信号無視をした車が連続して2台あった場合、パトカーはより悪質な後ろの車の方を検挙します。赤信号になってから進入した時間の遅い方がより危険で悪質だからです。これは不平等でしょうか?そうではないと思います。

thinker123
質問者

補足

あなたの意見は、多くの検察官がするものと類似しています。残念ながら、幾つかの点に賛成しかねます。Bottonholeさん等他の方々はどのように考えますか。 検察官は、過去の不起訴の例にとらわれなくていいと思っているから問題なのです。実態として、過去の例を「参考にする」が「縛られない」というのは、検察官が検察官的に刑事訴訟法を解釈しているからであり、それが唯一の解釈ではありません。過去の不起訴の例に縛られる「べき」という議論を説得的に組み立てることが不可能なわけがありません。私がやりますし、多くの先人が行っています。実際がそうでないのは自明です。 これは運用の問題です。法の下の平等を適切に考慮すれば広い裁量権が狭くなります。挑発的な言い方をすれば、検察官がもっとしっかり起訴・不起訴の前例を勉強し、ちゃんとした前例を積み重ねていくことで解決します。なぜ起訴するのかという点について、似た件で不起訴となったものとの違いを説明できるほど勉強している検察官はまれです。自分が判断していいことだ、とふんぞり返っているのが私の知っている多くの検察官です。 良心のみに基づいて判断していい裁判官でさえ、前例に縛られるのに、検察官が野放しではいけません。検察官は、過去の判例だけでなく、過去の検察が下した不起訴例に縛られるべきです。前者は多くの検察官が賛成しますが(これすら反対する人もいます。裁判所の判断は絶対ではないと)、後者は頭ごなしに否定します。ある裁判官は、検察官の裁量の幅は本来狭く、裁量があると誤解しているため平等性に欠ける問題ある判断も多いが、明らかに不当なもの以外を裁判所がストップをすることはできない。検察庁にこの問題を運用で解決する努力をしてもらうほかないが実際は野放しだ、といっていました。 「個々の地域である程度の基準を定めている」のなら、少なくともその基準に検察官は縛られているのです。ただ、大陸法的に定めた基準だけに縛られるのでなく、英米法的に過去の例に縛られるという側面も忘れてはいけません。 検察官は、謝らないので、面子といいました。医者だって無罪にもかかわらず、被害者に遺憾の意を表明しているのです。どうして、検察官は遺憾の意を表せず、尊大に裁判所に主張が受け入れられなかったことだけを遺憾というのでしょうか。許されません。被害者の救済も必要ですが、医者に対する配慮も少なくとも無罪になってからはすべきです。両者は二者択一ではありません。Tomoさんがまさしく言うように、検察が入れるメスが間違っていれば、医者同様謝る必要があります。 より悪質なものから検察は手をつけているとはいえません。私は堀江の味方でもなんでもありませんが、堀江と鐘紡、どちらが悪質な粉飾決算したでしょうか。答えは明白です。より悪質でないものから手をつけるから検察はダメなんです。これが多くの人間が検察を正義ぶっていると考える元凶です。 私は別にTomoさんに反論しているわけではありません。いろいろ教えていただいて感謝しています。著しく公平性に欠ける起訴が行われ続けていることはどう考えてもおかしい、それが続いているのは検察的な刑事訴訟法の運用がまかりとおっているからだ、という素朴な発想からです。

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