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検察の起訴裁量について

buttonholeの回答

  • buttonhole
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回答No.10

>「本来は、検察官は起訴・不起訴の例に縛られるべき」という議論を行うことは可能でしょうか。  そのような議論はおかしいことではありません。検察官に広範囲な裁量を認めるとしても、直ちにそれが無限定であることを意味しないからです。私は検察官でも何でもないので、実務の内情はよく分かりませんが、検察官独立の原則といっても、実際には起訴不起訴処分にあたっては検事正や次席検事の決済を得ているようです。そうだとすれば、少なくても検事正等は、決済をするに際して何からの基準に依拠しているはずです。その基準は、長年検察官としての経験に裏付けられたものかもしれませんし、過去の起訴・不起訴例かもしれません。問題は、基準を過去の起訴・不起訴例にするとしても、判例の拘束力(それ自体も議論がありますが)と同例に考えるべきかは検討する必要があると思います。  判例の場合ですと、通常判例とは最高裁判所の判決(決定)例を指し、それがなければ高等裁判所の、それもなければ大審院の判決(決定)例というように序列といいますか、先例としての重要性に軽重があります。しかし、起訴するか否かの判断は、同じ地方検察庁(区検察庁もありますが)の検察官が行いますから、そのような序列というものがありませんから、どれに依拠すべきか問題になります。また、判例が社会の実情にそぐわなくなってきた場合、最終的には最高裁判所により判例変更が行われますが、起訴・不起訴例の場合は誰が変更するのかという問題などが考えられます。 >また、日興證券等よりわるいことをしていた企業がすべて見逃されているのに、堀江氏だけが立件され有罪実刑という不平等は許されるのでしょうか。  残念ながら、私には、そうであると判断できる材料を持ち合わせていません。日興證券に対する捜査がどのように行われて、どのような証拠が得られたのか分かりませんし、堀江氏の裁判も訴訟記録を読んだことがないからです。なお、新聞などのマスコミの報道されたことをもって判断することは危険だと思います。  日興證券事件あるいはカネボウの事件が堀江氏の事件より悪質なのかも知れません。しかし、事件の悪質性とそれを証明する証拠の量や質は比例するとは限りません。  最後に私見ですが、違法性の問題と妥当性(不当性)の問題を分けて考えるべきだと思います。御相談者のあげた「検察官の裁量の幅は本来狭く、裁量があると誤解しているため平等性に欠ける問題ある判断も多いが、明らかに不当なもの以外を裁判所がストップをすることはできない。」という裁判官の発言も、法的(刑事訴訟法の解釈論として)には検察官の訴追裁量権が広いことを認めざるを得ないことを前提にしていると思います。なぜなら、法的に裁量権が狭いもの(難しい言葉で言えば、覊束裁量)であれば、「明らかに不当なもの」でなくても、裁量権の逸脱として裁判所は、その公訴の違法性を指摘して公訴棄却判決をすべきだからです。  しかし、仮に「平等性に欠ける問題ある判断」でも、「明らかに不当なもの以外を裁判所がストップをすることはできない。」というのは、そのような判断は裁量権の範囲内であり、言い換えれば違法性はなく、単なる「当・不当の問題」だから裁判所は口出しできないのです。  「当・不当の問題」は、自主的に運用が改善されれば、それに越したことはありませんが、それに期待できなければ、立法措置によって何らかの制度を設けることが必要だと思います。  このことを痛感したのが裁判員制度が導入です。この制度の問題点は別にして、刑事裁判実務に与える影響は大きいと思います。あれほど検察官の手持ち証拠の事前開示や取調べの可視化(録音や録画)に消極的な立場を取っていた検察庁が、裁判員制度の導入により、その方針を転換せざるをえなくなりました。なぜそうなったかというと、一般市民が裁判員になりますから、審理のために長期間、拘束するわけにはいかないので、審理の短期化という長年の課題(根本的に解決するには、弁護士よりは、裁判官と検察官の増員が必要だと思いますが)を解決することが切実になったからです。

thinker123
質問者

補足

Bottonholeさん、度々ありがとうございます。私に言わせると、検察的な考え方の得意なTOMOさんも(全く皮肉ではありません。そのような考えを公明正大に述べてくれるTOMOさんは極めて貴重です)、コメント等あればお願い致します。 検察官の起訴に裁量がある根拠、検察官の起訴の裁量に限度があることの根拠はそれぞれ何でしょうか? 今までの議論を踏まえて以下に纏めました。それら以外に考慮すべき点はありますでしょうか。両者の比重によって裁量の範囲が変わってくるのだと思います。 検察官の起訴に相当の裁量がある根拠:刑事訴訟法247条で、特段の条件を定めずに検察官は起訴できるとしていること。 検察官の起訴の裁量に限度があることの根拠:第一に、憲法の保証する法の下の平等。第二に、刑事訴訟法248条の基準(これらは、不起訴にしてよい場合の基準であるが、起訴・不起訴には何らかの基準が存在することを示唆している)。第三に、検察庁や東京高検、地検等に公式・非公式の起訴の基準が実際に存在すること。これらに各検察官は完全に縛られるわけではないが、基準の有用性を示唆している。基準は、それからの大幅な逸脱を回避すべきという考えが前提となっている(そうでなければ、基準とはいえない)。 起訴・不起訴の前例は、判例と比較すると、序列がないことおよび、地検ごとに分権的に判断が行われているため、今すぐ、起訴・不起訴の前例を判例のような拘束力をもたせることはできない。しかしこのことは、正に、起訴されるべきでないものが起訴されていることを意味する(地域により規範に違いがある可能性。だたし、検察は全国一律の量刑の主導者であることに留意)。 ある程度、検察官が縛られるべき基準が必要だと考えると、検察庁がそれを積極的に確立してゆく努力が必要である。しかしながら、検察庁はある程度の基準は出すが、熱心ではない。当・不当の問題について、検察庁が取り組まないのであれば、立法措置で解決することが有益。しかし、そもそも検察が基準を確立し、積極的に公表していくということを行わないのは、検察が立法権を侵害することが一因かもしれない。 私は以下のように考えます。法務省がこのような立法をするとは思えないので、議員立法できないか、勉強してみます。

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