朝鮮半島は、日本の侵略がなければ独立を保持し、近代化できたか？

質問

朝鮮半島の人たちは『日本の侵略がなければ独立を保持し、近代化できた』と考えているのでしょうか？
嫌韓派の人たちの回答はご遠慮願いたいと思います。

回答No.7

harepanda

日本の侵略がなければ、朝鮮半島はロシア領になっていた可能性が高いと思います。近代化も非常に困難だったでしょう。明治初期に日本から特使を李氏朝鮮に送り、朝鮮も西欧に対して開国したほうが良いのではないかという提言をしているのですが、李氏朝鮮はそれをはねつけましたから。「なぜ日本の王が天皇などと皇という字を使うのだ。朝鮮が認める皇は中国の皇帝だけだ」というおまけまでつけて。確かに皇は王の中の王という意味で、本来なら中国の皇帝しか使ってはいけない字なんですけど。

しかし、これでは、「朝鮮は清と道づれでヨーロッパに植民地化されることを決めた」と言っているようなものです。日本で江戸時代後期には、アヘン戦争で清が簡単に敗れたとか、北海道でロシア人とのこぜりあいが発生したとかの知らせを聞いて危機感を強め、北方（間宮海峡やサハリンなど）を含む精密な地図の作成を急いだり、林子平『開国兵談』を正しい意見としながらも発禁処分にして一般人の危機感をあおらないように気をとがらせていたのと比べると、危機感に差がありすぎます。

インドも中国も、帝国主義時代には、ヨーロッパ列強に対抗できるだけの力を持つことができませんでした。朝鮮半島は中国の延長上にありますから、当然、ロシアとかイギリスとかフランスとかが攻めてきます。そして、日露戦争は、朝鮮半島を舞台とする戦争であったことを指摘できます。どうやっても朝鮮半島が独立と近代化を達成するのは、困難な状況だったわけです。

では、朝鮮には独立と近代化は不可能だったのか？と言われれば、「まれに見る素晴らしい人物が登場すれば、不可能とは言わない」というのが私の応えです。日本が独立を維持したのは、極東というヨーロッパ列強から見た場合、一番遠い場所に位置していたため、日本への本格的な侵略が始まる前に、日本側に近代化の準備期間を持つことが出来たという事情もあるでしょう。本当の意味で西洋列強と正面衝突し、独立を維持のうえ近代化に成功した国はひとつしかありません。トルコです。

オスマントルコはヨーロッパが近代化してくるころには国力のピークを超え、徐々に領土を奪われていくのですが、最後になって第一次世界大戦にドイツ側に立って参戦して敗戦国となり、一気に国の存亡の危機にさらされるのです。イズミールにはギリシャ軍が、首都イスタンブールへつながる要所のチャナッカレにはイギリス軍が、東方からはロシア・アルメニア連合軍が攻めてくるという状況の中、世襲君主にしてイスラム宗教指導者のスルタンは無策のまま。その時、ケマル・パシャという無名の軍人が突如として頭角をあらわし、イズミールのイギリス軍を撃退したほか、各地を飛び回っては「トルコ人であることは幸いである」をモットーに、それぞれの地域にできたトルコ人組織をまとめ上げ、現在のトルコ領であるアナトリアを死守したました。ケマル・パシャはさらに、イスラムこそがトルコの近代化の邪魔者であるとして、スルタンを追放して共和国制度を導入、政教分離の徹底、女性参政権の確立（なんと日本より早いのです）、文字改革などの近代化策を矢継ぎ早に打ち出していったのです。

ケマル・パシャ級の人物がいれば、朝鮮も独立の維持と近代化に成功したでしょう。しかし、こういう人物は、あまり出てくるものではありません。しかも、当時は帝国主義時代。オスマントルコには、アルメニア人大虐殺という人道上の罪を犯してしまいました。新生トルコ共和国もアルメニアとの関係は良好ではありません。ケマル・パシャなら言うでしょう。「アルメニア人がロシアと一緒になって攻めて来るなら、当然、防衛のために戦う」と。これが帝国主義時代の現実というものだと思います。