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核燃料中のウランなどの割合

再処理に関連してなのですが、軽水炉の核燃料中と使用済燃料中の、ウラン、プルトニウム、核分裂生成物などの割合はどのようなのでしょうか。調べてみたのですが、例えばプルトニウムは1%というのから60%というのまであって、いまいちはっきりしません。

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  • ベストアンサー
  • lo-tokai
  • ベストアンサー率75% (3/4)
回答No.3

 現在、国内の原子力発電所は、そのほとんどが、軽水型の原子炉を使用しています。ここで使う核燃料は、ペレットと呼ばれ、金属状に焼結した二酸化ウランです。このペレット(二酸化ウラン-UO2)は、約4%のウラン235(天然ウランの中には、0.7%程度しかウラン235は含まれていませんので、4%まで濃縮します)と約96%のウラン238で成り立っています。    核分裂をするのは、ウラン235です。ウラン238は核分裂はほとんど起こしませんが、核分裂の際に発生する中性子の吸収と、ベーター崩壊と言われる原子核の崩壊を2回することによってプルトニウム239に、物質が変化します。  原子力発電所で1年間運転した核燃料は、ウラン235は次第に減ってきて、プルトニウム239(厳密に言えば、プルトニウム240やプルトニウム241などの物質も発生します)が発生しています。  プルトニウム239も核分裂を起こします。従って、1年間運転した核燃料の成分(組成)の、核分裂を起こす物質の約1/3程度(30%程度)は、このプルトニウムによる核分裂によって発生した熱を利用することになります。  しかし、全核燃料の対しての割合は、4%の中の1/3ですから、1%ちょっとということです。  ここで、原子炉の形式について、もう少し詳しくいえば、国内の原子力発電所は、沸騰水型(BWR)あるいは加圧水型(PWR)と呼ばれる原子炉双方共に、「軽水型・熱中性子炉」と呼ばれる原子炉に分類される原子炉を使っています。  「軽水型」の他には、重水型、ナトリウム型、黒鉛型などがあります。  これは、核分裂の際発生する中性子(一つのウラン235の原子核が核分裂を起こすと、2~3の中性子が発生する)のスピードを減速させるための物質を示したものです。  ウラン235は、スピードが速すぎる中性子では、余り核分裂を起こさず、スピードの遅い中性子によって核分裂します。(原子核工学的には、「ウラン235は、スピードの遅い中性子に対し、核分裂断面積が大きくなる」と表現します)  「熱中性子炉」の他には、高速中性子炉があります。つまり、熱中性子炉は、低速中性子炉と呼べます。高速中性子炉では、プルトニウム239が約20%の組成の核燃料を使用します。  残りの成分は、大部分がウラン238です。しかし、ウラン238は、高速中性子炉では、かなり核分裂を起こします。(前述のような原子核的な表現を使うと「ウラン238は、熱中性子に対し、核分裂断面積は小さいが、高速中性子に対しては、核分裂断面積が大きい」といいます。核分裂断面積が大きいと、中性子を吸収し易くなり、核分裂がし易くなることを示します)  核燃料の組成は、以上のように、「全燃料に対して、ある物質が、何パーセントなのか」あるいは「ある物質に対して、核分裂を発生する物質が、何パーセントなのか」で数値が全く違ってきます。この点が混乱しやすい基になります。    ちなみに、原子力発電所で使用する核燃料の中のウラン235は組成割合(濃縮度)は、精々、数パーセントです。数十パーセントということは、絶対ありません。(この数値では、制御できません)  ウラン型原子爆弾は、ウラン235を99%近くに濃縮したものです。  ついでに、もう少し付け加えると、  「プルサーマル」とは、プルトニウムを熱中性子炉(サーマル・リアクター)で利用することです。この燃料は、「MOX燃料」と呼びます。これは、二酸化ウラン(ウラン235、ウラン238)と二酸化プルトニウム(プルトニウム239ほか)のように酸化(OXID)させた物質を、ミックス(MIX)した核燃料です。  原子炉の中で運転後に取り出した核燃料を「使用済み燃料」と呼び、プルトニウムなどがかなり含まれています。これを取り出して再度使用することを「再処理」と呼んでいます。        

piyo_1986
質問者

お礼

しばらくパソコンを離れており御返事がたいへん遅くなって申し訳ありません。また、詳細な御回答有り難うございます。 >プルトニウム239も核分裂を起こします。従って、1年間運転した核燃料の成分(組成)の、核分裂を起こす物質の約1/3程度(30%程度)は、このプルトニウムによる核分裂によって発生した熱を利用することになります。 >「熱中性子炉」の他には、高速中性子炉があります。つまり、熱中性子炉は、低速中性子炉と呼べます。高速中性子炉では、プルトニウム239が約20%の組成の核燃料を使用します。 >原子核的な表現を使うと「ウラン238は、熱中性子に対し、核分裂断面積は小さいが、高速中性子に対しては、核分裂断面積が大きい」といいます。核分裂断面積が大きいと、中性子を吸収し易くなり、核分裂がし易くなることを示します。 >原子力発電所で使用する核燃料の中のウラン235は組成割合(濃縮度)は、精々、数パーセントです。数十パーセントということは、絶対ありません。(この数値では、制御できません) そうなんですか。知りませんでした。 >核燃料の組成は、以上のように、「全燃料に対して、ある物質が、何パーセントなのか」あるいは「ある物質に対して、核分裂を発生する物質が、何パーセントなのか」で数値が全く違ってきます。この点が混乱しやすい基になります。 たぶん、これを取り違えていたんですね。 詳細な御説明を頂き有り難うございます。疑問だったことが、またそれ以外のことも含めて、たいへんよく分かりました。御礼の申し上げようもありません。有り難うございました。

その他の回答 (2)

  • sh6364
  • ベストアンサー率50% (26/52)
回答No.2

こんにちは。 軽水炉の燃料に関しては、燃焼度によっても若干差が出ますが、1トンの燃料のうち核分裂によって核分裂生成物となるものは30キログラム程度で、残存している235Uが10kg、238Uが950kg、Puが10kg程度です。使用前は235Uが30kg、238Uが970kgです。

piyo_1986
質問者

お礼

御返事が遅くなって申し訳ありません。 やはり、軽水炉の通常の燃焼ではプルトニウムは1%程度なんですね。60%というのは何か特別な場合の値のようです。だいぶ調べたのですがそれが何なのかが分からないのですが...。 御回答有り難うございました。

  • yakyutuku
  • ベストアンサー率14% (267/1890)
回答No.1

発電と核兵器(もしくわプルサーマル計画)がごっちゃになっているように思います。  通常原子炉ので使われているウランは3~5%と言われています。プルトニウムは反応にしたがってできるわけですが、それでも1%にみたないのではないでしょうか?次にプルトニウムを燃やす原子炉ですが、プル二ウム単独及びウランプルトニウム混合で燃やしている原子炉は、現在国内にないはずです。(これは実現寸前)なお米軍が運用する原子力船(空母、潜水艦)に搭載されている原子炉の燃料棒は、99%に濃縮されたウランが使われていると噂されています。理由はこれらの原子炉は、密閉型で後から燃料を足せないため、20年以上運用できるように危険性に目をつぶって極めて高濃度の燃料棒を使っていると考えられています。ちなみに燃料棒を足すときは、原子炉をぶった切って行います。  プルトニウムについては、もんじゅでプルサーマル計画(核分裂性プルトニウム生産計画)が計画されていましたので、そのときの計画値かもしれませんが、詳しくは知りません。その計画も、冷却材漏れ事故で頓挫しています。

piyo_1986
質問者

お礼

御返事が遅くなって申し訳ありません。 プルトニウム60%というのは核兵器またはプルサーマル計画なんですか。だいぶ調べてみたのですが、そのようなはっきりした記述は見つかりませんでした。でも、きっとそうなんですね。60%というのはいくら何でも大きすぎますね。 有り難うございました。

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