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アニメの美術性とブラック化について
- アニメは総合美術なのか?アニメ業界は何故ブラックなのか?日本の文化において、書道は美術として受け入れられるが、絵本、漫画、アニメ、映画、テレビゲームは距離を置かれている。美術(芸術)と娯楽の境界線はどこにあるのか?絵本、漫画、アニメ、映画、テレビゲームが美術としての地位を獲得するためにはどうすれば良いのか?
- アニメーション制作者の賃金が低いのはなぜか?日本のアニメ業界はブラックな労働環境であると言われている。最低賃金が保証されず、歩合制度が蔓延している。アニメーション制作者の仕事は趣味の延長として捉えられているのか?それとも何らかの歴史的経緯があるのか?
- アニメ業界のブラック化の背景には何があるのか?劣悪な労働環境が整えられていないためなのか、あるいは他の要素も影響しているのか。アニメーション制作者の給与が低いことも問題となっている。アニメ業界におけるブラック化の実態について、アニメの視点を持ったプロが報告書を読んだ場合、どのような視点に気付くのだろうか?
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質問内容が多岐にわたりすぎていて、どこから手を付けていいものやら… まあ当方も数年間、製作という立場ではなく、外野から業界を見る機会に恵まれたこともあり(20年ほど前の話)、現状に対する回答と言えるかどうかはわからないのですが、ちょっと"意見"になる部分もあるやもしれませんのでその辺は割り引いて、聞いてください。 まず、アニメーションの世界は、確かに一部に芸術的な味わいのある作品とかも出てきており、今後どうなるかは予想付かないのですが、現状でなら、言えることがあります。それは「お金もうけの手段」になっているということです。 まず、見てくれる視聴者層が主な出資者になります。彼らのいろいろな消費が、結果的に制作会社の懐に入っていくことになるわけで、「幾らになるかわからない/そもそも値段のことはどうでもいい」芸術作品とはこの部分からしても一線を画しています。 製作者側からみても構図は同じです。この場合、労働者が「安売り」をすることで利益を出しています。ではどうして、賃金が抑えられているかというと、「需給バランスが崩れて、供給過多になってしまっている」からにほかなりません。また、「請負」制度にすることで、残業代などの余計な労務費を支払わないで済ませられるような、契約体制になっていることも影響しています。 内幕をちょっと垣間見れば、お金が渦巻く、どろどろした業界なわけですが、これで芸術に昇華できるとお思いでしょうか… 私は、今後、動画作家の中から、芸術に相当するものを作り上げてくる人が出てくると予想しています。もちろん、銭金抜き、評価も気にしない、まして商業ベースに乗せることすら念頭にない、そんな芸術家肌の作家です。ただ、ここに至るまでに、ほとんどの人は挫折します。なんとなれば『生活基盤が確立されたうえで製作をするという、道楽でできる作業ではないから』です。 質問者様が念頭に置いておられる、「芸術にもっていきたい」というのはせいぜい、願望どまりであり、アニメーションは、どこまで行っても娯楽の域を出ないと思っています。ただ、一種それに近づいたのは「かぐや姫の物語」を書いた高畑勲氏であり、残念ながら、興行的には失敗しているものの、絵の表現などは、確かに製作費を使えばここまでの作品ができるんだな、を思わせるに十分です。 個別の回答: 1.書道と比較するのがそもそも間違い。相手は「道」、すなわち、形も、流派も、歴史に裏打ちされた膨大な系譜が存在する。漫画にせよ挙げられたものはすべて歴史が浅すぎる。 2.娯楽と芸術の線引きは、ぴっちりしたものはないものの、例えば、「老練の域に達した漫才」は娯楽でありつつ芸術だとすれば、万人誰もが否定しがたい、功績と実績を兼ね備えた娯楽が芸術に昇華できると考える。その点、アニメーションでは、なかなかそこに至った作品はないといえる。 3.「どのようにすれば…」まず、成り立ちがすべてにおいて違う。一人の作家が一人で何から何までやっているのであれば、それは芸術・美術の名にふさわしいが、アニメーションは共同作業が基本であり、その寄せ集めをそこまでに到達させるのは至難の業である。個人的には「無理だ」としておきたい。 4.PDF、読ませていただきました。 製作者サイドの「(金主である、制作サイドを)どうにかしてくれよ」感は、自由記載欄の長文をかいつまんで読んだだけでも十分に感じ取れました。 5.業界がブラックになったのは、多分に、90年代後半に入ったころからだと推定します。このころは、テレビアニメは壊滅的状態で、OVAばやりの時期であり、ゴールデンからアニメが徐々に姿を消し始めたころでもあります。以後、製作費がゴールデン時代と同額で出ることはなくなり、そのくせ、80年代のアニメ爆発期を体験して一気に業界入りした原画・動画陣が、低価格でどんどん仕事を受けたあたりがきっかけとみています(ここは、取材しての物言いではありませんが、あの当時から比べても、CG作画や動画のハイテク化で、仕事量は格段に増えているのに年収が少なすぎるのはそういうことだと思います)。 6.アニメーター諸氏の賃金が低いのは、先にも書いたように、・供給過多になっている ・単価を提示されるとそれを飲まないといけない ・一種のカルテル?の存在 ・大手(製作元請)→一次→二次、と下請けに振ることで、単価が上がらない といった、業界の悪習も影響していると思います。 7.ここまでのことをされていても、労基等に訴えないのは、「自分の好きな仕事である」という、盲目的な"愛"によるところが大きいとみています。声を上げるべきでしょうね。 8.結果的に成功報酬制度をとり、固定給化していないところが、諸悪の根源ではあるものの、仕事もないのに給与が発生するということを避けるうえでも、今後とも、請負や個別契約というスタイルはなくなることはないでしょう。 あー長かった。 これですべてを網羅しているとは思えませんが、ひとまずはこれにて。
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- take-on3
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手塚治虫がというのはアニメ従事者からも外からもよく言われる話ですが、 手塚治虫が格安で売り込まなくても誰かしらが同じ結果を導いていた事と思います。 わたしはオッサンですが、子供の頃はアメリカのカートゥーンがテレビでやってました。 ワーナーやハンナ&バーバラ、ディズニーもありましたね。 あれ制作は勿論アメリカの会社ですが、実作業は日本ですよ。 興行収入で利益を賄うアニメ映画(当時は)と違って、アメリカでもテレビアニメは制作費が潤沢には無かった訳で 人件費の安い(当時)日本に発注していたのです。 今の日本の制作会社が中国・台湾・韓国等の会社に発注しているのと同じです。 一駒一駒、まあ三駒打ちなら三駒に一枚、止め絵で尺を稼いでも全て人の手作業と人海戦術ですので そりゃコストは掛かります。 背景も描くし撮影も交換作業や少しずらしたりでやっと一駒三駒。 しかし番組枠のバジェットは変わらないので分配すると一人あたりは安くなります。
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ご回答のほど、 ありがとうございます。
「故・手塚治虫氏」は「今日のジャパニメーションの基礎を築いた功労者」であると共に、「功罪者でもある」という事なのでしょうかねえ。
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「ヨーロッパ特にフランス」の様に、「人の手から生み出されたもの全てがアート(芸術)だという思想が日本には無い」のと「高尚な物か低俗な物かという判断基準で高尚な物を尊ぶ傾向が強いから」。 「アニメ関連の仕事に従事する人の低賃金等の点」は「日本におけるアニメーションの基礎」を「かのウォルト・ディズニーに追いつき追い越したい」と築き上げた功労者である「故・手塚治虫氏が良くも悪くも『前例として構築してしまったから』」だとよく言われていますよ。
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- take-on3
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絵本・漫画・アニメ・映画・ゲームはわからないけれどCG・テレビ番組 全て日本でも芸術としての評価を受けている作品は幾つもありますよ? 多分あなたが知らないだけでは無いでしょうか…。 若しくはあなたの考える芸術の基準と違うとか。 今回質問のメインがアニメなので例を挙げると 岡本忠成さんの作品とか真賀里文子さんの作品とかご存知ですか? ボトムズの高橋監督なんかはあかばんてん時代に まんが日本昔話で幾つも芸術評価されている作品を作っていますし、 押井守作品も幾つか芸術として評価されてますよね。 他にも様々なアニメーターさん監督さん作家さんがいますよ。 映画だともっと理解し易い人がいますよ。 黒澤とか小津とか。 昨今、アニメだの特撮だのは所詮マーケティングの材料だなんて言われていますが、 宣伝の最たる物である広告だって印刷媒体にしろCMにしろ展示やイベントにしろ 芸術として評価の高い作品が多数あるんですから。
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- heyboy
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たぶん、年数ではないでしょうか? 日本の伝統文化と称されるものは文明開化以前が多いし その点で言えば、アニメは100年あるかないか コミックマーケットとかは50年ちょっとかな(もう少しあったような) コスプレとかはつい最近だったような(でも20年、30年だったと思う) もっと将来になれば アニメでも大きなヒット作とか出て 日本国民を揺るがせばたぶんサブカルチャーとして もっと地位が向上していくと思われます。 まあ、だいたい、日本で芸術家とか美術家とかも 「副業」的なイメージが強いですけど そこは東洋人と西洋人の感覚の違いからだと思われます。 もっと言えば 政治家も良い企業と悪い企業とかに選別しているように 見受けられますし なんとなく「サブカルチャーなんかに金を出してやるか! 俺らだってとても苦労しているのに!」 って感じているのでは? アニメ以外でもゲームとかでも一つの企業が 一人勝ちをしているので 政府もそれでいいんだろって思っていて 末端とかまで考えていませんし ま、ゲームとかは中古品の問題は 政府が関与しないとどうしようもないのに ほったらかしですから たぶん、アニメやゲームは「子供のもの」 って定義が強いのでしょう。 まあ、日本は 実力がある者が正義みたいなところがあるから アニメだって売れるやつは売れるから それでいいんじゃない?って感じですね ただまあ、創作的なことを考えると 売れる>いい作品って感じで 本当の良い作品は出てきにくい環境ではあると思います。 なんにしても、 もっと洗練されていくべきではないでしょうかね。(たぶん)
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- IDii24
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>絵本、漫画、アニメ、映画、テレビゲームは 美術(芸術)として受け入られずに距離を置かれるのだろうか? そうですか?アニメでも絵本でも芸術として美術館で展示されるものもありますよ。だれもそんなこと思って無いと思います。 芸術の域に達していれば芸術。それ以下のものはどのジャンルでもジャンク。絵画でも芸術に達してないジャンク品はいっぱいあります。アニメにはそれが多いってことでしょう。芸術とは唯一無二の作品ですが、アニメにはとびぬけて独自な、独創的なものがそれほどないということだと思います。個性はあってもそれを飛び越える時代を変えるものです。 例えばヒットソングやロックは芸術でしょうか?すべてが芸術ではありません。それは大量生産による誰かが作った物の上に展開されているからです。アニメも同じです。 アニメはディズニーが作ったものをトレースしただけの模造品が多い。つまりディズニーは芸術品だと思いますがそれをどのように超えるのかは、全く違うアプローチが必要でしょうね。そういう意味でアニメの技法は狭いのでなかなか芸術が出にくいです。でもちらほらとは出てますね。 ロックはビートルズのサージェントペパーズがすべてを変えたといわれてますし、初めて芸術と認められたロックです。このようにアプローチが独創的であればどんなものでも芸術になるということです。 で、アニメ業界のブラックですが、これは手塚治虫が原因だといわれてます。手塚プロが目指したTVの30分番組で毎週ディズニーと同じものを制作するという目標。これがアニメーターの過酷な労働の始まりと言われています。そもそも本場アメリカではこの作業の速さにびっくりしたということです。というかアメリカでは不可能と言われていたのです。コマ数を落としたりしてはいるものの、手書き部分は多くやはり過酷だったことは間違いなく、これが通例化したのが現代まで続いています。 まあ日本人が我慢強く作業できたらこそ日本だけにアニメ文化が根付いたので、手塚治虫の功績は認められているのです。
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ご回答のほど、 ありがとうございます。
お礼
ご回答のほど、 頂いたのでベストアンサーを差し上げます!