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胃ろうの良い点、悪い点を教えて下さい

kamekame58の回答

回答No.7

 こんにちは。  まず最初に、胃瘻に関して、多くの方が誤解されている点をお伝えしますね。  高齢者肺炎の最大のリスクファクターは不顕性誤嚥です。不顕性誤嚥による肺炎の予防には口腔内ケアが最も重要です。胃瘻を造設しても、口腔内ケアを怠り、不顕性誤嚥の頻度の高い方(=基底核領域の脳梗塞が基礎疾患としてある場合など)は繰り返し肺炎を起こします。  ただし、気管切開がされており適切に気管カニューレのカフが膨らんでいれば、口腔・食道・胃と気管・肺はカフにより遮断されているはずなので、不顕性誤嚥および嘔吐による誤嚥(→肺炎)の頻度は最小限度にとどめることができているはずです。 胃瘻のメリット  自己抜去防止のための「身体拘束」を軽減できる可能性がある。  経鼻胃管がなくなるので、ご本人の喉の違和感がなくなる。  経鼻胃管がなくなった分だけ、嚥下がわずかながらしやすくなる。 胃瘻のデメリット  胃瘻造設時のトラブルさえ生じなければ、これといったデメリットは無いと思います。  交換時の苦痛(辛さ)に関しては、胃瘻よりも経鼻経管栄養の方が辛いと思います。ただし、長期留置用の胃瘻では、交換時にそれ相応の痛みを伴います。  胃瘻のカテーテルには、およそ半年~8か月程度で交換する長期留置用のタイプと、およそ2か月毎位に交換するタイプのものがあります。それぞれの長短所はウェブサイト(http://www.peg.or.jp/eiyou/peg/about.html)でご覧頂けます。  医師によって好き嫌いがありますので一概には言えませんが、ご自身でチューブを自己抜去しない方であれば、胃瘻が目立たず交換も楽なバルーン・ボタン型がお勧めかも知れません。基本的に、バルーンタイプのものは交換時の痛みは少ないと考えて下さい。バンパータイプのものは抜けにくい代わりに、交換時に抜けにくいため痛みを伴うのです。  なお、4週間以上の長期にわたる経腸栄養を施行する場合は経皮内視鏡的胃瘻造設術(percutaneous endoscopic gastrostomy:PEG)の適応であり、PEG(ペグ)を選択することが推奨されています。  以下、専門的ですが参考までに。 PART-I・Q6:経腸栄養のアクセスはどのように選択するの?─PEGの適応  「経皮内視鏡的胃瘻造設術(percutaneous endoscopic gastrostomy:PEG)の普及は著しく、長期経腸栄養法の第一選択となっている。4週間以上の長期にわたる経腸栄養を施行する場合はPEGの適応であり、PEGを選択することを推奨する。」(日本静脈経腸栄養学会編集:静脈経腸栄養ガイドライン─第3版 照林社, 東京, 2013, p17) PART-I・Q6:経腸栄養のアクセスはどのように選択するの?─PEGをめぐる議論と評価  「現在、PEGの適応に関する議論が行われている。栄養状態が維持・改善できても、ADLやQOLの改善効果が期待できない超高齢者、遷延性意識障害、末期の認知症に対するPEGは、単なる延命治療でしかないという考え方がある。この考え方に基づいてPEGは施行すべきでない、という意見が強くなっていることは否定できないが、このような症例に対するPEGの適応については社会的な議論が必要である。このPEGに対する否定的な考え方のために『本来、PEGの適応である症例に対してPEGが実施できなくなっている』状況の方が重大である。PEGを用いた経腸栄養の適応である症例に対し、経鼻胃カテーテルを用いた経腸栄養が実施されることが多くなっている、あるいはポートを用いたTPN施行症例が増加している、という、栄養管理法の選択上、間違った状況が出現していることは由々しき問題である。  考え方の基本は、栄養管理そのものの適応について正しい判断を下すことで、栄養療法実施経路としてPEGが適応であるのなら積極的にPEGを実施するべきである。  超高齢者や遷延性意識障害、あるいは高度の認知症であっても、栄養療法の適応であると判断された場合には、PEGが最適な栄養投与経路であることが多い。現在、栄養療法の適応とPEGの適応とが混同して議論されているが、これらは分けて考えるべきであり、したがって、これらの症例においても、栄養療法という観点から適応と判断されたら、積極的にPEGを実施することを推奨する。  また、PEGを造設したからといって、経口摂取を諦めるのではなく、嚥下機能評価や嚥下訓練を実施し、経口摂取への移行、あるいは併用を試みるべきであることを強調したい。ただし、PEGを介する経腸栄養を実施しても目的とする効果が得られない場合には、投与量を減らす/中止する、水分や必要な薬剤のみを投与する、という方針変更も選択肢の一つとして認めるべきである。」(日本静脈経腸栄養学会編集:静脈経腸栄養ガイドライン─第3版 照林社, 東京, 2013, p18) PART-IV・Q3:栄養投与ルートの選択は?  「高齢者の多くが認知や精神面の問題を持っており、経鼻カテーテルは自己抜去されやすい。70人の高齢患者に対する経管栄養で、最初の2週間で67%の患者が経鼻カテーテルの自己抜去を、43%の患者が誤嚥性肺炎を生じたとの報告もある(Ciocon JO, Silverstone FA, Graver LM et al:Tube feedings in elderly patients. Indications, benefits, and complications. Arch Intern Med Vol.148 429-433 1988)。自己抜去防止のために、医療現場では経鼻カテーテル留置症例の多くに上肢を中心とした身体拘束を行っているのが実情である。大野らは、経鼻カテーテルの自己抜去防止のための身体拘束を、PEG施行により10例中8例の症例ですべて取り除くことが可能となったと報告している(大野眞朋、河出昌也、水野弥一 ほか:身体拘束廃止に向けての取り組み─胃瘻造設の有用性についての検討. 名古屋市厚生院紀要 Vol.31 9-12 2005)。長期の経管栄養では、QOLの維持・改善のために胃瘻への移行を老慮するべきである」(日本静脈経腸栄養学会編集:静脈経腸栄養ガイドライン─第3版 照林社, 東京, 2013, p387)

15-mama
質問者

お礼

とても詳しく教えていただき、ありがとうございました。 悩んでいた時期に、すぐに教えていただけて、心強かったです。 お礼が遅くなり申し訳ありませんでした。ありがとうございました。

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