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アメリカとの戦争になぜ勝てなかったのか?

sudacyuの回答

  • sudacyu
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回答No.15

 予想外の勝ち戦はあっても、予想外の負け戦はありません。  第一次世界大戦によって、工業化された大国同士の全面戦争は、長期の消耗戦、つまり『総力戦』となり、それ以前の「戦闘による勝敗」から「国家の総合力」による勝敗によって決着する形となり、戦う前に勝敗が解っている状態となっています。  特に、日本の場合、アメリカとの戦争を始める以前に、中国との戦いで国力が消耗しており、アメリカと長期戦を戦う能力が既にありませんでした。  従って、対アメリカ開戦は、自爆戦争と言うのが正しいかと思います。  アメリカは、開戦すれば敗北必至の日本が、外交的に屈服すると見ていたでしょう。  日本は、屈服する代わりに自爆戦争を開始しました。  戦争に至るまでの経緯を見れば、  アメリカの対日石油禁輸が続けば、インドネシアの石油が手に入らない限り、対中戦争継続が難しくなり、最終的に対中戦争敗北に至ることが確実視される状態でした。 (当時の日本産業のエネルギー源は石炭でした。日本の石油の消費の50%は、軍による消費でした。ですから、アメリカから輸入された石油が、中国侵攻に伴う内陸トラック輸送用の燃料となり、補給線を維持していました。)  石油備蓄が減っていくので、1942年1月以降では、対米開戦能力が維持できなくなると見積もられ、「1941年12月が対米開戦開始」が軍事的タイムリミットとして決定されました。  本来、軍事的タイムリミットは政治的判断の一条件でしかありませんが、政治的開戦決断の希薄なまま、開戦に至りました。  結局、「中国侵攻の失敗・撤退」という政治的選択が出来なかった結果、ずるずると対アメリカ開戦に至ったというのが実態のようです。 <詳細>  当時、日本の国力(生産力)はアメリカの10分の1と言われており、その上、1937年に始まった中国との戦いが泥沼化し、若手労働力を兵士として送り出したことと、長期に軍需産業に偏った資本消費によって、国内生産力は停滞し始めました。(戦前の日本の生産力のピークは1937年。)  更に、1938年には国家総動員法・1940年には食料の配給制が国内で始まります。 (満州事変当時の日本軍兵力は45万、対米開戦時は190万)  アメリカとの戦い(1941年12月開戦)を始める以前に、中国との泥沼の戦争で、国力の大きな消耗が起き、顕著に国民生活を圧迫しているのです。  従って、日本はアメリカ相手に戦争出来るような経済状態からはほど遠く、更に、軍事上最も避けるべき二正面作戦を中国とアメリカ相手に行い、敗戦必至の選択をするはずがないという、常識的なアメリカ人の軍事的発想もありました。  日本政府・陸海軍の認識も、アメリカと同じで、日本の敗戦は必至というものでした。 ※この『敗戦は必至』と言う状況を変えるわずかな可能性を引き出すために、日本は『人間的常識を捨てる。』と決めて、「国民の命は戦争に勝つための道具として使う」という選択を行い、日本古来の美意識を捨てて、なりふり構わない戦いに突入し、汚名を着たわけです。  自国民の命や人権を戦争遂行の道具として使いながら、敵対する国の国民の命や人権は、きちんと守って戦争遂行の道具として使わないでいることは、極めて困難で、事実上不可能な状況も起こります。 (前線への食糧供給が出来ず、日本軍兵士が栄養失調になる状態で、捕虜にきちんと食事を与えることが可能か?など)  ですから、アメリカの常識では降伏するはずなのに、日本軍は生存を無視して降伏せず、戦いを続けたのです。 <参考>  長期間に渡る軍事作戦は、その国の経済・社会を大きく変えてしまいます。 1、人口3億人で第二次世界大戦当時よりはるかに国力が大きくなった現在のアメリカが、イラク・アフガニスタンで長期戦(全面戦争ではない)をやっただけで、経済システムが破綻しかけて、リーマンショックに至りました。 2、ソ連崩壊も、長期的には社会主義の限界による経済の伸びなやみと言えますが、短期的・直接的な原因は、アフガニスタンに10年間出兵して戦闘を続けたことによって、経済が疲弊し、前線に軍需物資が滞る事態が発生するようになり、軍がソ連政府を見放す決定をした結果です。 <参考> ・第一次世界大戦時の日本の戦時捕虜管理の実態  日本は、短期の戦闘を行うだけで済み、敗者をいたわる武士道精神を基礎に、紳士的な扱いをした。  第一次世界大戦では、中国で捕虜としたドイツ・オーストラリア兵を、長期に渡って捕虜収容所に収容しましたが、人権問題はほとんど起きず、捕虜となったドイツ人が、戦後に捕虜生活から解放された時、日本に帰化するというケースもありました。  青野ヶ原俘虜収容所 http://www.city.kasai.hyogo.jp/02kank/08sisi/hur …  坂東俘虜収容所 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%BF%E6%9D%B1% …    捕虜でも遠足があり、給料が支給され、お酒も購入できた。捕虜に市価よりも高額に物を売り付けた日本人業者が、処罰された例もあるそうです。  岡村寧次大将資料によれば http://www.geocities.jp/yu77799/okamura.html  嘗て聞いたところによれば、北京附近の中国古老は、団匪事変のとき、欧米各国兵が掠奪強姦の限りを尽くしたのに、ただ独り日本兵のみが、軍、風紀森厳にして寸毫も冒すことなかったことを回想し、どうして今の日本兵がかくも変わったのかと痛嘆したという。  注:団匪事変=義和団事件(1900年) http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%BE%A9%E5%92%8C%

hhasegawa
質問者

お礼

ありがとうございます。 史実を淡々と述べていていただいているという点では 参考になります。しかし、当時の日本も現在のアメリカも 戦争をするには何か大義があったのではないでしょうか? 自爆をするために戦争をしたのでしょうか? 日本が戦争をしたことによりその後の世界がどうなったのかなど 戦争をしたことにより変わったことを考えないと 何もかも、悲観的発想になっていくと思います。 日本自身は、国家が荒廃した、 しかし、東亜の解放という意味ではどうだったのか、など。 国力の差があるから戦争をしないなら なぜ、第二次世界大戦後も小国が大国に戦争をしているのでしょうか? その部分の回答が得られていないと思います。

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