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米国の原爆投下と無差別絨毯爆撃に対して?

bismarks0507の回答

回答No.7

一応戦時国際法論文を書いている立場なので、回答しておきます >No.1.…まず、これらは国際法(ハーグ陸戦条約かジュネーブ条約か)違反に当たるのではないですか。 まず、原爆の利用に関しては、条約では想定しえない兵器として取り扱いが難しい つまり、恣意的解釈すれば、ハーグ・ジュネーブ条約違反になるが、両条約とも原爆ような大量破壊兵器を想定した法規ではないことから、明確な違法性は問うことができない。 これがもっとも一般的な戦時国際法解釈である。 なお、ハーグ陸戦条約は、失効論もある。つまり、大戦時においてハーグ陸戦条約はすでに諸種の戦時国際法によって失効している、という見解である  これも通説である。 ジュネーブ条約も大戦時の条約から思慮するに、該当しえる条文はあるが、明確な違法性は言及できない・・のである。 これは政治的配慮・リアルポリティクスの部分からの法解釈論の問題もあるが、それについては仔細述べない。 ただし、回答者諸氏のように条文など踏まえないような回答ではないことは明言しつつ、提示しておきたい 例えば、ハーグ条約において抵触しえるのは、『第二款 戰闘 第一章』害敵手段、攻囲及砲撃 』群。特に23条諸項・25条であろう。個別に違法と断定できない理由を指摘しよう。 (イ)毒又ハ毒ヲ施シタル兵器ヲ使用スルコト 当時の科学見地では、原爆の放射線の毒性は明確な資料がない。したがって、原爆はこれに合致しないし、絨毯爆撃も毒性は認められないので、適応不可能。 なお、通説では、大戦時までに国際条約として禁止・規制された毒性兵器のみが該当する・・という通説である >(ハ)兵器ヲ捨テ又ハ自衛ノ手段盡キテ降ヲ乞ヘル敵ヲ殺傷スルコト 武装しない一般市民であっても、降伏を明示していないことから違法とは出来ません。白旗の意味を知らない人民の不幸・・という話は割愛しておこう >(ホ)不必要ノ苦痛ヲ与フヘキ兵器、投射物其ノ他ノ物質ヲ使用スルコト 条約上で想定されている『不必要ノ苦痛ヲ与フヘキ兵器』は、条約締結後に規定されたダムダム弾などの法定化された兵器のことで、一般の認識による『不必要ノ苦痛ヲ与フヘキ兵器』の意味は採用されない。  採用できない理由は、一般的認識で解釈されれば、全ての交戦行動に本規定が援用されうるからである。 しかし、この援用の脅威からの限定解釈には異論はあるが、戦時国際法解釈としては、通説です。 >(ト)戰争ノ必要上万已ヲ得サル場合ヲ除クノ外敵ノ財産ヲ破壊シ又ハ押収スルコト 恣意的解釈の余地がある条文だが、当時の原爆・絨毯爆撃については『戰争ノ必要上万已ヲ得サル場合』と論じることが可能であり、実際に軍事基地・補給関係・兵站拠点である爆撃対象であることを踏まえて、違法とは出来無い。  これにも異論はあろうが、『総力戦という戦争形状である以上は、国土の全てが爆撃対象たりえる』という解釈の方が説得力も論理性もある。  被害者にとっては拒絶感しか見いだせない解釈だが、 戦時国際法は戦争統制の法律であって、合法範囲を認める必要性からして、この範囲は仕方ない・・というべきである。 恣意的解釈の批判は否定できないが、その恣意的解釈を踏まえて条約を批准している現実から思慮するべき・・というのが学術的なスタンス。 >第二五條 防守セサル都市、村落、住宅又ハ建物ハ、如何ナル手段ニ依ルモ、之ヲ攻撃又ハ砲撃スルコトヲ得ス。 これも『防守セサル都市、村落、住宅又ハ建物』に該当しない・・という論理によって合法化しえる。 上記したように、総力戦という実態によって、『防守セサル』の範囲が極めて曖昧になった背景が思慮されるべきでしょう >第二七條 攻囲及砲撃ヲ爲スニ當リテハ、宗教、技芸、学術及慈善ノ用ニ供セラルル建物、歴史上ノ記念建造物、病院並病者及傷者ノ収容所ハ、同時ニ軍事上ノ目的ニ使用セラレサル限、之ヲシテ成ルヘク損害ヲ免レシムル爲、必要ナル一切ノ手段ヲ執ルヘキモノトス。 これが一番違法性を問いやすい条文です ただし、これは、爆撃時に『知り得なかった』ことから違法を逃れうる、という通説が強いものです。 結果論ではなく、『瑕疵がある』という法律問題の話です >No.2…そして、このことに対して日本は米国に謝罪と賠償を請求したのでしょうか、していないのでしょうか。 SF(サンフランシスコ平和)条約によって、賠償請求権を放棄しています。それ以前には、そもそも国家ではないので、日本としての請求はできません。 個人として賠償を求める権利は特段規定はないはずです。もっとも戦時国際法では係争できません。法の主体は個人ではなく、国家・国家に属する正規軍・もしくは、正規軍に所属する交戦資格者ですので・・ >No.3…もし、していない場合、それは何故しないのですか。 上記した通り 出来無いものは出来無い。というだけの話である なお、ジュネーブ条約上の違法について細論する必要性があるが、 請求があれば対応するにしても、面倒なので割愛したいし、割愛したw

hikokurow
質問者

お礼

法律解釈からの丁寧な回答ありがとうございました。 だいたい分かりました。

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