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アキレスと亀
old_shoの回答
- old_sho
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ネット上に多数の解釈があるので既出の話かもしれませんが、小ネタを二つ。 まず一つ目、この話に詳しい或るサイトでは、 「追い着く地点に一切言及しない形でこのパラドクスは表現できているからである。分割の無限を借りずに構成の無限だけに訴えているところが手ごわい。亀に追い着くという事態を表現するための手段がないように思えてくる。」 これは、追いつく手前で分割するから起こる矛盾だ、という見解に対して異論として述べられているのですが、それは違うと私は考えます。なぜならこの話は、追いつくという設定があって初めて、面白い話なのです。当然ながら、前を行く者が速いのなら後ろの者は追いつけません。しかし、後ろから来る者が、前の者より速い、という設定だけでは不十分です。なぜなら、後ろの者と前の者との速度差が、時間が経つにつれ、どんどん小さくなる、ということにすれば、速いけれど追いつけない、という例は、簡単に作ることが出来ます、今の高校生ぐらいでね。微積分を知っていると簡単に、知らないとちょっと工夫が必要でしょうが。 二つ目。 現実と理論、あるいは、realとidealとの乖離が問題だとするものがありますが、純粋に理屈上の問題でもある、という話です。 追いつく設定で、Wikipediaにあるような式はややこしいので、論理的には同等な、簡単な設定をしましょう。 仮定1:時間は途切れなく経過する。 これは2様の意味があって、一つは、区切ればいくつにでも区切り得る。もう一つは、n秒後があれば、n+1秒後もある。この仮定は、アキレスが亀の居た地点まで歩くという想定をする限り当然でしょう。また、2秒後があり、3秒後があるのに4秒後はないとする論理的必然性はないですね。追いつく追いつかないの話であるのに、追いつく前に時間が終わりでは話が成立しない。一様でなくとも、時間はいつまでも続くはずです。 仮定2: 亀は四足歩行ですが、簡単にするために二足と考えましょう。そしてアキレスと亀はどちらも一秒に一足分歩くとしましょう。さらに、アキレスは亀の二倍の足幅で歩くとしましょう。即ち亀が二足分歩く時、アキレスは二歩で亀の四足分を歩くのです。 さらに、歩く、到着する、を厳密にしましょう。 到着するとは、右足または左足をあげて、一足分の距離に着地すること。この時片方の足は未だ位置移動はしていないが、アキレス・亀は新地点に到着したと見なす訳です。 歩くとは、右足または左足が到着したと同時に反対の足をあげ次の到着点を目指す、これをくり返す動作、としましょう。 さて今、亀はアキレスの前に、亀4足分の距離に居ます。 用意ドン、両者とも右足から前に出しました。 2秒後アキレスの左足は、亀が最初居た位置p(0)に到着します。その時亀の左足はアキレスの前、亀2足分の位置p(1)に居ます。 さらに1秒後、アキレスの右足は亀がスタートから2秒後に居た位置p(1)に着きます。その時亀の右足は亀1足分前の位置p(2)に居ます。 ※:さて次にアキレスの左足は、亀の居たp(2)点に着くことは出来ません!どうしたのでしょう! 簡単なことです、p(2)点はアキレスの歩行上には存在しないのです。アキレスの左足は次の地点Qに降ります。 その地点Q、アキレスの4歩後には、アキレスの左足と亀の左足とは並ぶのです。メデタシ、メデタシ。 もちろん、以上は、その「パラドックス」を解く「論証」ではありません。 「論理」は、※の話から始まります。着地はせずとも、 亀の右足があるp(2)点をアキレスの左足が通過時には、亀が、次の一歩の途中に左足をP(3)点上まで動かしており、 以下 P(n):アキレスの左足がP(nー1)点の上を通過時には、亀が、その前の途中に左足をP(n)点上まで動かしている。 この繰り返しにより、P(n)のnが限りなく増加して行く。 (Z):従って、アキレスは亀に追いつけない。 そうすると、この結論(Z)は、アキレスは四歩目を下ろせない、と解釈でき、三歩は歩けたのに四歩目は着地し得ないという「パラドックス」になります。 あるいは、P(n)の推論が続く限り4秒後が来ない、というものになります。即ち、仮定1と矛盾する。 この時間の問題は微妙で、推論P(n)の中にあっても時間は増えています。時間は止めていないのに4秒後は来ない、パラドックスである!(Z)を認める、とですね。
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