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求核試薬の強さについて
- -Iは-ONaより相対的に求核性が強いという理由で、CH3ONa+CH3I→CH3OCH3という反応が起こるのでしょうか?相対的求核性は覚えるべきものなのでしょうか?
- ハロゲン化メチル、エチル、シクロペンチルを反応物としてCH3OCH3の合成法を示せ。
- 教科書での情報では理解できず、どこか読み落としがあると思います。ご教示いただける方がいらっしゃいましたら、お願いします。
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再度こんにちは。 >そこで1つ考えたのですが、この問題でNaにあたる部分がヨウ化物イオンよりも脱離性が高い物質だったとしたら、反応はメトキシ~が求核試薬になるという考え方は間違っていますか? この追加のご質問にダイレクトに答えるよりも、本反応のメカニズムを説明したほうが貴方の理解が深まると思うのでそうさせていただきます。以下、CH3をMeと略記いたします。 まず、この反応は、 MeONa → MeO- + Na+ というように、メトキシアニオンの発生が何よりも重要です。したがって反応溶媒としては基本的に極性の高い溶媒が用いられます。 続いて、生じたメトキシアニオンMeO-がヨードメタンを求核攻撃します。このときの反応様式はSN2であり、活性錯合体の状態では炭素原子はヨウ素原子ともメトキシ基とも結合性の相互作用を持っています。そしてメトキシ基と炭素原子の間で単結合が形成されるに従い、ヨウ素はヨウ化物イオンとして解離します。 MeO- + MeI → MeOMe + I- ここで重要なのは、「炭素原子がヨウ素原子ともメトキシ基とも結合性の相互作用を持っている活性錯合体の状態」から、メトキシアニオンとヨウ化物イオンのどちらが解離しやすいかという点になります。今回の反応の場合には、メトキシアニオンの解離よりもヨウ化物イオンの解離のほうが進行しやすいため、ジメチルエーテルが生成する系に反応は進行するのです。 テキストだけでは活性錯合体の説明がうまくできなくて申し訳ありません。もしもわからなければ、遠慮なくわからないとおっしゃって下さい。図で説明しようと思います。
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- NiPdPt
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そもそもの話として、「求核剤」という言葉に誤解があるようです。 この反応において求核剤となるのは、CH3O^-であり、CH3Iは基質です。あるいは求電子剤ということもできます。また、それに結合しているIは脱離基です。「-Iは-ONaより相対的に求核性が強い」などと考えていたのでは全く意味をなしませんし、説明を読んでも意味不明のはずです。 エーテルができるのは求核剤CH3O^-が基質CH3Iを求核攻撃することによって起こります。もちろん、この反応が起こった結果としてI^-が生じますし、それは強い求核剤です。ですから、反応が進むにつれて量が増えてくるI^-が求核剤となる反応も起こるはずです。 しかしながら、その反応相手はCH3OCH3ではなく、CH3Iです。なぜなら、ここでは「脱離能」が問題になります。すなわち、CH3OCH3との反応が起こるとすればCH3OがIで置換されることになりますので、脱離基はCH3Oでなければなりません。ところがこれは脱離基としては反応性がかなり低い部類であるために反応は起こりません。そこで起こる反応はI^-によるCH3Iとの置換反応です。ところがこの反応では基質と生成物が同じになるので正味の変化はありません。なので強いて記述することがないというだけのことです。 いずれにせよ求核剤の意味を正しく理解できていないことが分からない原因だと思います。
補足
回答ありがとうございました。返答が遅くなって申し訳ありません。 もしお時間がありましたら、補足質問に答えていただければ幸いです。 求核試薬より脱離能を考えることが必要であるのはSN2だけでよいのですか。また、脱離能の相対性は暗記するものなのでしょうか。
- matumotok
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こんにちは。 >-Iは-ONaより相対的に求核性が強いという理由で いいえ違います。本反応のメカニズムは、ヨードメタンの炭素にメトキシが求核攻撃する形で進行しています。ヨウ化物イオンとしての脱離能が高い点を挙げるべきです。 >そうであるとしたら相対的求核性は当然覚えているべきものなのでしょうか? 覚えておいて損はありませんが、反応が進行するかどうかを決定づけるのは求核性だけではありません。そのことを念頭に置いたうえで求核性の傾向を知っておくのは良いことです。 以下、余談です。 >問)ハロゲン化メチル、エチル、あるいはシクロペンチルを反応物(出発物質)として次の化合物の合成法を反応式で示せ。必要な溶媒、無機試薬は何を使ってもよい。(i) CH3OCH3 この問題に対する回答として >CH3OH + NaH → CH3ONa + CH3I → CH3OCH3 は大間違いです。メタノールは溶媒でもありますが、反応基質の一つですので、まずはハロゲン化メチルからメタノールを合成する方法を回答中に明示しなければなりません。したがってこの回答は0点です。この問題の出題者が誰なのか知りませんが、学習者を惑わすような記載漏れや記載ミスをするような輩は人を教える資格がありません。出題者が学校の先生ならば、学校の授業は一切参考にせずに自分で予備校なり問題集参考書を使って化学の勉強をしてください。もしも参考書や問題集の中の記述であれば、その書籍は二度と使うべきではありません。
補足
こんにちは。早速の回答ありがとうございます。 私は2つの物質のどちら「が」どちら「に」攻撃するか、を考えていなかったということですね。 そこで1つ考えたのですが、この問題でNaにあたる部分がヨウ化物イオンよりも脱離性が高い物質だったとしたら、反応はメトキシ~が求核試薬になるという考え方は間違っていますか? もしお時間がありましたら、回答をよろしくお願いします。 余談については、申し訳ありません。私の記述が足りませんでした。問題には続きがあって、「ただし、この問題の中で一度合成法を示したものは繰り返す必要はない。」とあり、(a)~(k)の問題がある中で (C)CH3Cl+OHー→CH3OH を解いてある前提なのです。 深く質問を読んで教えてくださりありがとうございました。
お礼
こんばんは メカニズムから丁寧に説明していただきありがとうございました。おかげさまで理解が深まったように思います。 活性錯合体のイメージはつかめました。SN2反応の場合はその活性錯合体において何が一番解離しやすいかを考えればよく、そこで相対的求核性やハロゲン化物イオンの求核性の順序がわかっていれば(求核性の低い方から解離すると考えて)解ける、ということですね。(もし違っていましたら、訂正していただければ幸いです。) 今回は思い切って質問してみてよかったです。何度もご丁寧にありがとうございました。