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繰延税金資産の取り崩しは強制?
- 赤字の期であっても、繰延税金資産の取り崩しを強制しなければならないのはどのようなケースが考えられますか?
- 繰延税金資産(欠損金のみ)を翌期に取り崩す場合があります。
- 個人事業主においては7年以内に欠損金の繰延税金資産取り崩しを行わない場合は取り崩し強制ではなくて「消滅」すると聞いたことがあります。
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>赤字の期に取り崩しは行わないと思っています。 一般的には、その認識で合っています。 >しかし、ニュースなどで繰延税金資産によって赤字幅が拡大したという事柄を >聞いて、自分のその認識が怪しくなってきました。 そうですね。 赤字が続いて、実際の納税ができない(もしくはそれが想定される)ならば、 一般以外の処理が必要になります。 例 ◯n年度 税引き前当期純利益▲100 法人税等 0 法人税等調整額 40(税法上の所得▲100) 当期純利益 ▲60 まず、n年度は最初の赤字とします。このn年度において来年以降にどのよう な決算状況になるかを(スケジューリングします。来期の黒字と今期の赤字を 合算してトータルゼロ以上になるのであれば、当期の法人税等調整額(税効 果会計)を計上します。(来期黒字を予想しました) ◯n+1年度 税引き前当期純利益▲100 法人税等 0 法人税等調整額 40(税法上の所得▲100) 当期純利益 ▲60 n+1年度決算において、来期以降のスケジューリングをします。 n期+(n+1期)+(n+2期)の税法上の所得がゼロ以上を予測できるのであれば、 法人税等調整額(税効果会計)を計上します。(上記の処理) しかし、来期以降も税法上の所得がマイナスのスケジューリングをした 場合は、(業況の回復は暫く困難等) ◯n+1年度 税引き前当期純利益▲100 法人税等 0 法人税等調整額 ▲40(昨年計上した税効果の取消) 当期純利益 ▲140 このように、取消をします。つまり今後も黒字化が見込まれないので、税金 を戻しは期待できない事をスケジューリングしたからです。 ※上記は説明のため簡略化しています。 税効果会計はスケジューリングをして計上したり、取り消したりするのです。 つまり、今期が大幅な赤字であっても、来期以降に大幅な黒字が見込めるので あれば、税効果会計を計上しても良いのですが、来期以降にも黒字化が見込め ないのであれば、今期が赤字であっても取り消さなければならないのです。 ※スケジューリングの方法によって、恣意的が結果が導かれます。 よって、スケジューリングは明確な基準で、公認会計士等の第三者の意見 を充分聴取する必要があるのです。 >取り崩しが強制される場合とされない場合があるのでしょうか? そもそも、個人事業主、中小企業(非公開会社)は原則的に、税効果会計を適用 する必要がありません。 税効果会計が強制適用されるのは ※公開会社と会社法上の大会社 http://www.azsa.or.jp/b_info/ps/kouza/kaikei_ouyou_04.html ※税効果会計は、税法会計と帳簿会計の乖離を埋める為の会計です。これは 株主が会社状況を的確に判断するために必要な制度です。 ※誤ったスケジューリングや、恣意的なスケジューリングをすると税効 果会計の弊害のみでメリットがなくなります。 ※個人事業主が税効果会計を適用しても悪いとは思いませんが、自分で自分 に説明しているだけですから、あまり意味は無いかと・・・。 中小企業が税効果会計を導入する場合には http://www.nichizeiren.or.jp/taxaccount/pdf/cyusyo060425-060619.pdf に沿って運用してください。 繰越欠損金は、税効果会計の導入の可否に関わりません。 正しい申告をしていれば、会計方法によって取消になる事はありません。 不明な点は税理士・税務署にお問い合わせください。
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- yosifuji2002
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第一に税効果会計を行うかどうかは法人の任意ですが、普通非上場の中小企業はしないでしょう。これはどちらかというと有価証券報告書を提出する上場企業の制度です。 次に繰延税金資産は黒字か赤字かの観点から計上されるのではありません。 基本は決算上費用に計上したが税法で損金に認められない一時差異に含まれる税金相当額を、将来の税金から控除され可能性がある請求権のように考えて、資産として計上するものです。 つまり決算上は費用として扱われるが、法人税ではそうならないので、それが認められるまで仮払扱いにしておくというイメージです。 ただこの仮払が通常の仮払金と違うのは、将来必ず手元に帰ってくるかどうかがわからないところがあるということです。将来の法人税から控除されるということは控除される元の税金がプラスでないといけません。その見込みがないと資産性もないということになります。 監査法人は企業が繰延税金資産を計上した場合、その回収可能性を評価して、回収可能性に疑問がある場合はその計上を認めません。具体的には今後5年間程度でその繰延税金資産を上回る法人税等が生じないと思われる場合は、それを認めません。これは当期の計上を認めないばかりでなく、前期から繰り越した繰延税金資産を全額ゼロにするべきだと要求します。これがご質問の強制取り崩しのケースです。 こうなると、例えば税引前利益が100あっても、当期法人税が例えば50で、それに法人税等調整額を前期から繰り越した繰延税金資産を取り崩すのと同額(例えば80)計上しなければなりません。結果的に当期利益がマイナス30になってしまいます。 問題が大きいのはかつての銀行がそうであったように、利益剰余金の額よりも繰延税金資産の残高が大きい場合で、これだけで利益剰余金がゼロどころかマイナスになってしまうことです。 業績が安定していたり上昇していたりする場合は税効果会計は税法の影響を排除した理論的な当期利益を正しく表示するのです。しかしこれが急落する場合は一挙に税負担を増やす結果になって、債務超過などの激変を引きおこすのです。まさに両刃の剣です。 強制取り崩しは以上のに生ずることで、ご質問の繰越欠損とは異なる事情です。これは会社の大小とは関係なく、税効果会計を採用する会社ではどこでも起こる話です。 詳しくは税効果会計の解説書をお読みください。
お礼
丁寧に解説してくださったのに、私のお礼が送れてしまい大変申し訳ありません。 >基本は決算上費用に計上したが税法で損金に認められない一時差異に含まれる税金相当額を、将来の税金から控除され可能性がある請求権のように考えて、資産として計上するものです。 >監査法人は企業が繰延税金資産を計上した場合、その回収可能性を評価して、回収可能性に疑問がある場合はその計上を認めません。具体的には今後5年間程度でその繰延税金資産を上回る法人税等が生じないと思われる場合は、それを認めません。これは当期の計上を認めないばかりでなく、前期から繰り越した繰延税金資産を全額ゼロにするべきだと要求します。 このあたりが非常に疑問だったので、解けてスッキリしました。ありがとうございます。業績がさらに厳しくなったときに、赤字幅が大きくなっては企業にとっては踏んだりけったりですね。
- ctaka88
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税効果会計での繰延税金資産と、繰越欠損金がごっちゃになっているようです。 青色申告の個人事業主の損失繰越は3年間です。 法人の青色欠損金繰越期間が7年間です。 欠損金の繰越というのは、1年目 ▲100で 2年目 黒字100 2年目課税所得 100-100=0 というものです。したがって2年間で利益は0で負担した税金も0です。 税効果会計が適用されていると 税法上の税引前所得 税金(税率40%とする) 当期利益 21/3 ▲100 40 ▲60 22/3 100 ▲40 60 です。 21/3の税金の仕訳は 繰延税金資産 40 / 法人税等調整額 40 22/3の税金の仕訳は 法人税等調整額40 / 繰延税金資産 40 です。 2年間の利益は合計で0,税金も0です。 繰延税金資産の計上は、将来利益が出てその分だけ税金が安くなることに対して計上できるものです。 したがって、22/3の所得が0であって、翌期以降も利益が出ないというのであれば、▲100をいつまでたっても埋めることができないので、100に対する税金40が安くなるのではないので、これを取り崩すことになります。 22/3の所得が0で翌期以降も利益が期待できないのであれば、2年目に繰延税金資産を取り崩すと次のようになります。 税法上の税引前所得 税金(税率40%とする) 当期利益 21/3 ▲100 40 ▲60 22/3 0 ▲40 ▲40 2年間を合計すると 利益▲100、税負担0ですね。
お礼
丁寧に解説してくださったのに、私のお礼が遅れましたことをお詫びします。 >税効果会計での繰延税金資産と、繰越欠損金がごっちゃになっているようです。 おっしゃるとおりです。私は繰越欠損金のある企業はすべて税効果会計を適用しているものだと誤認しておりました。私の文章からそこを見破り指摘して頂き大変ありがたかったです。よく理解できました。どうもありがとうございました。
お礼
丁寧に解説してくださったのにお礼が遅れて大変申し訳ありませんでした。 >そもそも、個人事業主、中小企業(非公開会社)は原則的に、税効果会計を適用 する必要がありません。 なるほど、言われてみればそうですね。よくわかりました! ありがとうございます。大変勉強になりました。