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「蜘蛛の糸」

来生 自然(@k_jinen)の回答

回答No.22

連続した投稿、お許し下さい。 カンダタの視点に立ち返って、今まで述べてきたことをまとめておきます。(この投稿が最後になると思いますので、個人的な回答とさせていただきます) 芥川氏の記述では、カンダタの視点にとって降りてきた糸が天国への通路なのか、さらなる地獄への通路なのか不明になるでしょう。 実のところ、単に「魚のごとく釣られて調理されるだけ」なのかもしれません。この辺り、芥川氏の記述方法では、カンダタの立場のみからは「全く判らないはず」です。 さて、私が高校生頃、「全知全能なるものが神」だとしたら「全知無作為の神」としてしか成立し得ないのでは?といった疑問を抱いたことがあります。 === 以下、少し長くなりますが、当時考えていたことを思い返しながら、つたない言葉で書き綴った日記からの抜粋です === なぜ人は宗教を求めるのか、信じるのか、 なぜ人は神を信じるようになったのか、 人々にとって神とはどのような存在なのか、 全ての人にとって同一の神は存在可能なのか、 神が存在するとした場合、 その神は特定の個人のための神なのか、 特定の家族のための神なのか、 特定の国家のための神なのか、 特定の民族のための神なのか、 特定の種のための神なのか、 特定の動物のための神なのか、 特定の生命のための神なのか、 特定の宇宙のための神なのか。 生を越え、死を越え、全ての存在を越えた感覚に 生の中にあり、死の前に存在し、何も越えれずに考える己を見つめることが、 般若心経の無限の回転の内に、ゲーデルの不完全性定理を見出したかのように 全ての判断が人間によって考えることによって行われるゆえに、 人は人の考えから抜け出すことが出来ないというのに。 みんなが正しいと思うが故に正しい行いをしてきた人々に幸いあれ。 神も悪魔も善も悪も、全て人がそうであると判断することによってのみ人に認識されるというのに。 神と直接交信した人は考えればいい。 その対象が神であるという判断はその人がしたのだから。 その人の話しを聞いて信じる人は考えればいい。 神が存在するかどうかを判断したのではなく、その話を正しいと判断したのだから。 神が存在するならば、人は判断の対象として神を見てはならない。 存在すら判断してはならないのである。 判断の対象とした途端、その存在は神ですらなくなる。 単に人の善悪の基準に照らしだされた悪魔に対比されるべき存在としての言葉としての神でしかなくなる。 一方、判断することをしなければ神を信ずることが出来るであろうが、 その時には,人は人としての価値観を持ちあわすことが出来ないということを知るべきである。 それゆえ、神と悪魔の違いすら判断できないことを知るべきである。 ここに記述した神は、人の思考の対象としての神である。 存在するならば人が如何に考えようとも如何に思おうとも存在する。 === ケーラス氏の利己主義を否定し公正な生活を推奨するという教訓は、実のところ、カンダタや摩訶童多の「利己心」のみならず、「作者に記述された」御釈迦様が危うく陥りそうになった「利己心」(カンダタが叫ばなかったなら、カンダタのみを救い、他の者を地獄へ返すという選択をするのか?、それとも全員を天国へ引き上げるのか?、あるいは、再度、閻魔大王に判定をさせるのか)をも否定しかねない教訓になっていると思います。 ケーラス氏の記述では御釈迦様が「未だ途上過程の話(大覚の位に昇った時)」なので、この程度の「作為」が入っても問題ないのかも知れません。 芥川氏の記述では、「蜘蛛の糸」のみを独立して抜き出した過程で、教訓部分を含めて削除せざるを得なくなった。また、その過程で御釈迦様に「完全な姿」を重ね合わせることが不可能になったために、混沌を避ける意味からも、蓮の花という「理想とされるべき絶対者本来の視点・立脚点」(私的表現に変えるなら、「全知であるがゆえの不作為の視点」)を添えざるを得なかった。 。。。そのように考えます。

noname#96295
質問者

お礼

10代の頃お書きとめの文章、齢を重ねてもお大事に持ち越してください。 わたしは高校生の頃は学校の屋上か音楽室か美術室か化学室でサボって昼寝ばかりしておりました。 ケーラスの記述するところの、僧が語る仏陀ですが、カンダタを 救うにあたり、厳正な契約を差し出していると見ることができるかと思います。 でもまあ、これはケーラス論となりますので、また別の枠が必要でしょう。 大覚の位に昇った折というのでは、たしかに芥川作品に絶対性が不足しますね。 どうしても、絶対性のおごそかさが必要な小品となっていますね。

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