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イノシン入り縮重プライマーに適したPCR酵素とは?
- イノシン入りの縮重プライマーに適したPCR酵素を探しています。Takaraのカタログでは、Ex Taqのような補正機能がついたTaq polymeraseを避けるように書かれていますが、実際に使われている方々はどのような酵素を使用しているのでしょうか。
- 遺伝子を釣ってくるために縮重プライマーの設計を試みていますが、イノシンが入っているprimerを使用する際にはPCR増幅能が落ちる可能性があるため、適したPCR酵素を探しています。現在500bp前後の増幅配列を対象にしています。
- 分子生物学関係の実験を始めた学生です。研究室が分子生物学を始めたばかりのため、初歩的な質問が多くなるかと思います。イノシン入りの縮重プライマーに適したPCR酵素についてアドバイスをいただきたいです。
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こういうのはやってみなければわからないところがあって、教科書の理屈どおりにやってもうまく行くとは限らないし、少々逸脱していてもうまく行く時はうまく行くものだと思っています。私なら、こういうことも考えてみますという点をヒントとして、 ・最初から目的配列の全長を狙うとプライマー配列の選択肢が限られてしまうので、ごく一部、100 bpでも30bpでもいいからうまくプライマーが設計できるところで増幅します。そこからその遺伝子の正確な配列が得られたら、inverse PCRやligation mediated PCR(LM-PCR)など、確実性の高いプライマーで周辺配列を増幅するのは容易です。 ・25 ntのプライマーを作るとして、全長が満足いく設計ができなくても、3'末端の10 ntなり15 ntなりが妥当であれば、5'側の配列が絞りきれなくて、適当なコドンをえらんでしまってもうまくいくかもしれません。3'側のマッチである程度PCR産物ができれば、それが鋳型になる時は末端配列が設計したプライマーの配列に置き換わっているので、PCRがかかりやすくなります(PCRでmutationを導入したり、末端に制限酵素サイトやタグ配列をいれるのと同じ理屈)。 ・nested PCRを考えます。degenerationの制限から、十分に長く特異性の高いプライマーは設計できないかもしれません。目的の断片だけが特異的に増幅しなくても、そのPCR産物を鋳型にして、少し内側に設計したプライマーでnested PCRをかけます。この時、プライマーの3'末端の配列を確実性の高そうなコドン配列にして、末端はプライマー配列に置き換わっているので、一回目のプライマー配列とオーバーラップする部分はその配列に準じて設計すればいいです。
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- geneticist12
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>イノシン入りのプライマーを用いたPCRを上手く行うための酵素の種類が少ないのが不思議に思えまし イノシン入りプライマーに特に向いた酵素というのはないと思います。 単にミスマッチプライマーを使ったPCRの難しさ、アニーリングのカイネティクスの問題であって、酵素の種類によって変わるものではないでしょう。ただ、校正活性がある酵素はプライマーのミスマッチを削る可能性があるのと、伸長能、増幅能が低いので避けたほうがいいということではないでしょうか。 最近、身の回りではイノシン入りのプライマーを使うより、degenerate primerを使うほうポピュラーな気がします。何番目の塩基をA, C, GまたはTだとか、AまたはCだとか、randomizeします。追加料金は要りませんし、一部のプライマーだけでもうまく働けばPCRがかかると期待できます。イノシンを入れたものの、見込み違いで全く走らないという可能性が低くなります。どうしてもというところだけ追加料金でイノシンを入れてもらい、それ以外はdegenerateするという複合技でもいいかもしれません。
お礼
重ね重ねありがとうございます。degenerate primerを用いる場合、縮重度はどのくらいに抑える必要があるのでしょうか。教科書通りに1000以下の縮重度にはなかなか至らずなのですが、実際にやっている方から目安を伺えれば助かります。また、縮重度を低める代わりに短めのプライマー(14merなど)だとやはり増幅させるのは難しいのでしょうか?
- geneticist12
- ベストアンサー率67% (701/1045)
ストレートなTaq polymeraseでいいと思います。 Takaraであれば、rTaq(rはrecombinant、直接T. aquaticusからとったのではなく、Taq polymerase遺伝子を別の宿主で大量発現したもの)。 それ以外のPCR酵素は校正活性を持たせる方向で開発されていますので、 選択の余地はないでしょう。
お礼
詳しい回答を大変ありがとうございます。 やはり、校正活性を持つ酵素だと良くないのですね。 ここからは質問というより素朴な感想ですが、イノシン入りの縮重プライマーを用いた実験と言うのは頻度が高く行われているにも関わらず、イノシン入りのプライマーを用いたPCRを上手く行うための酵素の種類が少ないのが不思議に思えました(工夫する余地が少ないと言うことなのでしょうか)。
お礼
非常に役に立つヒントをありがとうございます。色々な手があるとわかるだけでも心強くなりました。考えてトライしてみようと思います。