簿外資産・負債は、会計用語と一般用語とで若干異なる使われ方をしています。会計用語では、ご認識のとおり「B/Sに載らない資産・負債」という意味であって、その意味でしかありません。他方、一般用語では、隠匿した資産・負債という意味で使われることが多いようです。
会計用語での簿外資産・負債は、正しい会計処理に従った結果簿外になるものと、隠匿する意図で簿外にするものとの両方を含んでいます。
このうち前者については、企業会計原則も許容しているものです。すなわち、企業会計原則の第三 貸借対照表原則 一 にて、「~ただし、正規の簿記の原則に従って処理された場合に生じた簿外資産及び簿外負債は、貸借対照表の記載外におくことができる。」としています。この代表例は、少額資産です。本来なら1円であっても資産計上すべきところ、少額ゆえ資産計上せずに即時費用化することが認められており、現にそのようにする会社が大半です。
したがって、簿外資産・負債は、正規の簿記の原則に従って処理されていても、通常は存在するものといえます。
また、税務については、簿外である限り法人税申告の対象外です。もっとも、隠匿されたものについては税法上違法なものとなります。他方、固定資産税については、会計帳簿に掲載していることを要件としていませんから、簿外資産であっても課税対象となります。
簿外資産・負債として考えられるのは、上記の少額資産のほかに、含み資産・負債、一定のリース資産などがあります。