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素朴な疑問 電荷の間に働く力

電磁気の本を読んでいてふと疑問に思ったので質問してみます。 よく電磁気の教科書などであるシチュエーションで、 二つ電荷q1とq2が距離rだけ離れて存在する時、 電荷q1が距離rの場所に作る電場E1(r)が電荷q2に及ぼす力は q2E1(r)となる、などと計算すると思うのですが、 なぜこの計算はq2(E1(r)+E2(0))とはならないんでしょうか? [(注)E2(0)は電荷q2が自分のある所に作り出す電場] まぁそういうものだといってしまえばそうなのですが、 ふと何故だろうと思いました。何故なんでしょうね? E2(0)=0だから、とかそんな理由なんでしょうか?

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  • nzw
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回答No.7

量子力学(量子電磁気学もその一種ですが)では、人が確定的に知ることができるのは、(観測に類する操作により準備した)初期状態と、観測をした時点の状態の2点であり、その途中の状態については確定していないと考えます。 電子の二重スリット干渉現象についてはご存知でしょうか?たった一つの電子でも、電子源からスクリーンにいたる途中に、左右二つのスリットがあった場合、左右どちらかを確定的に通ったのではなく、両方を同時に通ったと考えなければ説明がつかない干渉縞が発生します。 これと同じことは、空間の移動現象だけでなく、あらゆる現象で起こります。初期状態から終状態にいたる過程には、非常に多くの種類があり、量子論では、そのすべての過程が起こっているものとして考えなければならないとします。(もちろん、過程によっては、滅多に起こらないものもあるので、重み付けをして積算しますが) さて、真空中に電子がたった一つだけある状態を始状態、おなじ場所に電子がある状態を終状態とした場合、見かけ上、なにも起こっていないように見えます。ところが量子論では、この間に電子が光子を放出して、また吸収してしまっている過程というものも、考慮にいれなければなりません。しかも、その放出、吸収の仕方は無限に存在します。二重スリットの実験では、一方のスリットを閉じるといった人為操作で中間経路を選択することができましたが、電子による光子の放出・吸収過程は人為的に抑制することができません。 これらのことから、人が観察できるのは、自己との相互作用が繰り込まれた後の状態のみと考えられています。 ところで、今年は朝永先生生誕100年です。日経サイエンス11月号に、今回の自己相互作用およびくりこみ理論についての話がでているようです。

参考URL:
http://www.nikkei-bookdirect.com/science/page/magazine/0611/tomonaga.html
saigoudon
質問者

お礼

またの回答ありがとうございます。 2重スリットの話は知っていたのですが、なるほど、これが今回の場合にも適用されるんですね。しかもその自分への作用の仕方が無限にあるために人為的に観測を行うことができないんですね。非常にためになります。 しかしこうして考えると、量子力学というのは本当に不思議な学問ですね。解釈問題というのがあると知っていても「本当にそんなこと起こってるのかよ?」と突っ込みを入れたくなってしまいます(笑)。 たびたびご丁寧な回答をありがとうございました。

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その他の回答 (7)

回答No.8

まず申し上げたいことは電子は自分自身の作る場と確かに相互作用しており、それは実験で観測されることです。電子の自己相互作用及び真空の揺らぎによって原子のエネルギー準位がわずかにずれる現象はラムシフトとして知られています。ラムシフトは戦後早々に発見され、大きなトピックスになりました。 第二に「自分自身が作る場が及ぼす力はつり合うから考えなくて良い」とかいうわけには行かないことです。自分が作り出す電磁場によって粒子の運動量が減少する現象は放射減衰と呼ばれ、多くの困難を抱えています。一例を挙げると粒子が何の力も受けていないのに速度が指数関数的に増大して行く解が出てきたりします。参考書:ジャクソン「古典電磁気学」第16章、ランダウ=リフシッツ「場の古典論」など。 第三に電子が静止しているときでも自己相互作用で質量が生じることです。相対論ではエネルギーと質量は等価なので電荷をe、半径をaとすると自己場により、質量がe^2/aだけ増大し、点電荷a→0とすると質量は無限大になってしまいます。だからといって素粒子の大きさを考えることには多くの困難があり、現在レプトンとクォークは点状とする局所場の理論が使われています。このように近接作用論には多くの困難があるので遠隔作用論というのも出てきます。しかし現在の学会では一部を除いてほぼすべての人が近接作用論の立場を取っています。その理由はいろいろありますが、遠隔作用論は相対論と両立が困難と言うこともあると思います。参考書:Hoyle,Narlikar:Action at a distance in Physics and Cosmology 第四に量子論は状況を改善しますが、決して万々歳と言うわけではないことです。真空の分極によって点電子の場は遮蔽され、質量の発散は弱まりますが、残ります。この無限大はくりこみ理論によって一応回避できますが、その無限大の取り扱いは承服しがたいもので、最終的な解決ではないと思っている人は多いと思います。くりこみ理論を作った当のFeynmanがWheelerとともにabsorber Theoryを作り自己相互作用を回避しようと試みていることもその現れだと思います。このabsorber Theoryは相互作用の半分は未来から過去の方向へ進むとするもので、興味深いと評価されていますが、肝心のabsorberが発見されておらず、現在お蔵入りです。百歩譲ってくりこみの操作を認めたとしてもまだ問題は残ります。Landauらは項エネルギーの極限で物理的電荷は0になってしまい、量子電気力学は首尾一貫した理論ではないとしています。

saigoudon
質問者

お礼

かなり気合の入った回答ありがとうございます。 残念ながら私の知識と理解がそろそろ追いつかなくなってきましたが、私が解釈した限りでは、要するにくりこみ理論は電子の自分自身との相互作用という単体の問題を見れば上手く説明することに成功したが、物理学全体としてみればくりこみ理論によって説明できない現象がまだまだ数多く存在し、結果、くりこみ理論はさらに一般的な形に直されるべきである、あるいは全く別の理論がそこには存在するべきである、ということでしょうか? しかしそれよりも、「一般人」としてあるのにこんなに詳しい事を書ける回答者の方の素性の方が正直気になってしまいます(笑)。 ともかく、出典まで書かれた非常に力のこもった回答ありがとうございます。

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  • nzw
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回答No.6

この問題は、朝永先生がノーベル賞をうけられた研究に関連しています。 古典的な電磁気学における電荷の間に働く力は、より近代的な理論である量子電磁気学においては、電荷をもった粒子間での光子の放出、吸収により発生しているとされています。(ちなみに、光子以外の粒子の放出・吸収による力の研究で湯川先生がノーベル賞をうけられました) 量子電磁気学の構築過程において、自分自身が放出した光子を、自分自身が吸収する過程というものも無視できないということが明らかになりました。古典電磁気学におけるE2(0)に相当します。ところが、この過程を考えると、発散が生じてしまうことが問題になりました。 そこで、朝永先生達が考えだしたのが、自分自身との作用はおこっているのだけれど、人間には、あたかもそういった現象が起こっていないように見えるという理論です。ただ、そういった現象のために、本来の電子の電荷と質量から異なった値になっており、本来の電荷や質量は観察できないとされています。これを繰り込み理論とよびます。 古典的な電磁気学では、この繰り込みがされた後の現象をみているので、自分自身の影響を無視して良いということになります。

saigoudon
質問者

お礼

非常に専門的かつ分かりやすい回答をありがとうございます。 ただ一つ疑問なのは、 >人間には、あたかもそういった現象が起こっていないように見えるという理論です。 というところなんですが、なぜ人間にはその現象が見えないのしょうか? 現象が全て内側で閉じてしまっていて、外から人間が観測する方法がないうということでしょうか?

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noname#20644
noname#20644
回答No.5

E1(r)は、電荷q1が作る、作用する電場だからです。そのときには、距離rの場所に何が置かれるか、全く関係しないのです。そして、電荷q2が置かれたとき、電場E1の作用を計算するのです。勿論、q1とq2が存在する場合、それらの作る電場には、q2の分も考慮されなければなりません。 電荷q2の作る電場E2(r2)の自身q2に及ぼす力は、単独で存在する場合、力の働きようはなく、0です。(そうでないと、電荷そのものが静止しておれなくなります) 下手に、r2=0 とでもすると、電場E2は無限大になります。存在するだけで電場が無限大になる、というような理論は正当とはなりえません。

saigoudon
質問者

お礼

回答ありがとうございます。 確かに電荷が自分自身の電場の影響受けたら、 電荷は全てどっか飛んでいっちゃう事になりますね。盲点でした。

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  • foobar
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回答No.4

#2補足 #2で「極限をとる」のは、電界の強さではなくて、荷電した球体に働く力(の総和、重心を移動させるように作用する成分)です。 電界の強さは#1さん#3さん回答にあるように発散(方向は不定)します。 (点電荷に働く力を強引に解釈すると、「無限大の力で全周から引っ張られ(あるいは押され)て、結果として力が相殺して0になってる」ような状況になるかとおもいます)、

saigoudon
質問者

お礼

補足ありがとうございます。 つまり強引に点電荷のモデルを適用するのであればE(0)=無限大だけど、そこに働く力は打ち消しあうから、 点電荷のモデルでも一応その現象に対して説明がつくんですね。

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回答No.3

ちょっと気になったので。 下記に示された半径a>0の球体の中心の電界はE(r=0)=0ですがlim[a→0]E(r=a)=±∞です。数学と同様、極限の議論は注意が必要です。 学生時代、別の問題で議論したことがあったので。

saigoudon
質問者

お礼

回答ありがとうございます。 球の半径a→0としたらもうそれは点電荷だから、 もし仮に点電荷のモデルが正しいとすればE=∞になってしまうということでしょうか。

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  • foobar
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回答No.2

点電荷の場合、#1さん回答のようにE2(0)は不定(大きさが無限大、方向不定)になるかと思います。 有限体積の球に、対称に電荷が分布している場合、 ・E2(0)=0になります。 ・E2は球の中心から放射状に、対称になります。  各部の電荷に働く力も、中心から放射状に対称に働き、総和は0になります。 (各部に働く力は、電荷の形状を変形させるように働くだけで、重心を移動させるようには働かない) 点電荷の場合も、有限の大きさの球電荷の半径を0にした極限だとして扱えば、自分自身の電界による力は0として扱うのが妥当、ということになるかと。

saigoudon
質問者

お礼

回答ありがとうございます。 電荷をどのようなモデルとして扱うがやはり大事なんですね。

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noname#24129
noname#24129
回答No.1

自己力といいます。現在でも未解決の問題だと思います。 点電荷と考えると、その大きさは無限大、方向は分からない、そんな力です。 現実的には、たとえ電子でも大きさをもっていますから、その結果自己力は0になるとされています。 参考 砂川重信『電磁気学の考え方』(P15-16)

saigoudon
質問者

お礼

回答ありがとうございます。 ちゃんとそういうことを書いてある本もあるんですね。 ためになります。

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