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英語の語順と文末焦点の法則について
清水建二著「英文法 日本人が繰り返す200の間違い」という本に文末焦点の法則というのが、英語の語順の根底にあるように、書かれていたのですが、これは著者の独自の理論なのですか? 他の人も唱えている説なのでしょうか? 申し少しこの法則について知りたいのですが、参考になるようなサイトや書籍などありましたらご紹介下さい。
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>「マテジウスの英語入門」は残念ながら、在庫がないようでした。 お近くの図書館にもありませんかねぇ。いい本なんですが。 >英語は日本語に比べて語順が大切な言語のように思います。 えーっと、語順が重要でない言語など存在しません。 語順はどの言語であれ、焦点などの情報構造と純粋な文法的条件によって決まります。 文法的には、日本語は SOV 言語で英語は SVO 言語ですが、語順の自由さから言えば、日本語の方が上です。 一般にラテン語・ロシア語・日本語のように、格表示のある言語ほど語順が自由で、そのため、情報構造を語順に反映させやすくなります。 たとえば、高見さんの本にもあるように、日本語では動詞の直前の要素が焦点となります。日本語では動詞が最後というのは譲れないのですが、それでも何とか「文末情報の原則」にのっとって、焦点をなるべく後ろに回すわけです。 たとえば、 私は太郎に花子を紹介した。 (焦点=花子) 私は花子に太郎を紹介した。 (焦点=太郎) 太郎に花子を私が紹介した。 (焦点=私) もちろん情報構造は語順だけで表されるものではなく、助詞の「は」は主題を表すのに用いられたりするなど、他の文法規則が絡み合うので非常に複雑ですが、上の例を見ても分かるように、「私は」は文頭に近い方が自然です。焦点にはなれないからです。
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今から100年ほど昔、チェコのプラハに Prague School (プラーグ学派)という言語学サークルがありました。トゥルベツコイ、ヤーコブソンらのロシア系の大物を抱えた、当時もっとも勢い盛んな言語学派でした。 その最も重要な考え方が「機能主義」、その最大の成果が音素論、次が情報と語順の関係を明らかにしたことです。これを分かりやすく一般向けに書かれた本が ビレーム マテジウス(著)『マテジウスの英語入門―対照言語学の方法』三省堂 (1986/06) ASIN: 4385340358 です。 後にこれをもっとも発展させたのが Jan Firbas (著)Functional Sentence Perspective in Written and Spoken Communication (Studies in English Language) Cambridge Univ Pr (1992/07) ASIN: 0521373085 です。 さて、第二次世界大戦後、機能主義は世界に広がっていきます。 イギリスではハリディらの体系文法が有名です。 村田 勇三郎(著)『機能英文法』大修館書店 (1982/01) ASIN: 4469210994 日米で活躍しているのが久野すすむと高見健一のお二人でしょう。 さて機能主義ですが、この考え方では何語であれ、情報は 旧情報-新情報、トピック-コメント、主題-焦点 の順序で並ぶことになっていますが、これがそのまま文の語順にはなりません。 各言語に固有の規則があって、その規則に従いつつ、情報構造を並べることになります。 たとえば、疑問詞は焦点ですが、英語などでは文頭に置かなければなりません。 また英語は語順よりもアクセントで焦点を表すことを好む言語です。 Who hit you? JOHN hit me. これがたとえばもっと焦点を後ろに回すことを重視する言語であれば、 me hit JOHN. と言います。 逆に言えば、他の言語に比べると、英語は比較的、「文末焦点の法則」を軽視する言語であるといえます。
お礼
紹介して頂きました「マテジウスの英語入門」は残念ながら、在庫がないようでした。でも高見氏の著作と「機能英文法」は入手できそうなので、読んでみようと思います。 回答ありがとうございました。
補足
英語は日本語に比べて語順が大切な言語のように思います。その語順を説明するのに「文末焦点」が使用されていましたので、興味を引きました。なお、アクセントというか、音の強弱が語順にも影響するみたいなことを他の本で見たのですが、どうでしょうか?
お礼
わかりやすい事例ありがとうございました。