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ロッキングカーブの半値幅(X線回折による配向評価)

結晶の基板面に平行な面の配向を評価するためにロッキングカーブの半値幅を測定するという方法があります。 これに対して、θ-2θのピークの半値幅を評価している文献も見た記憶があります(目的は違っていたかもしれません。) 上記の目的のためにはθ-2θの半値幅を比べても意味がないのでしょうか。 また、もしそうだとするとθ-2θの半値幅はどのような場合に利用されるものなのでしょうか。 X線回折に詳しい方よろしくお願い致します。

質問者が選んだベストアンサー

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  • kenojisan
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回答No.1

材料開発研究でX線回折を利用している者です。 おそらく、通常の粉末用の装置を使われていると想定します。 通常のθ-2θ測定で得られる回折は、基板面に垂直方向の結晶面間隔の情報、言い換えれば質問者さんの質問どおりの、基板面に平行な面の配列情報を与えてくれます。 いわゆるロッキングカーブと言うのは、2θ(検出器と入射X線の角度)をその回折ピーク位置に固定して、θ(試料基板面と入射X線の角度)だけを回折条件付近(通常は2θ角の半分付近)でscanした強度曲線のことです。 このピークの幅はおっしゃるとおりに、X線が照射されている領域で回折結晶面が少し傾いているガタツキの分布(モザイクと呼んでます)を表しています。 単結晶だと装置の固有幅程度(使っているスリット幅によりますが、通常は0.1度以下程度)の非常に狭いものに、完全な無配向多結晶だとほぼフラットな直線になります。 一方、θ-2θ測定での2θピ-クの幅ですが。これには、主に2種類の原因が考えられます。 1つは、回折条件を与える結晶面間隔の分布です。試料に強い歪みや結晶欠陥などが有る時には、結晶の面間隔に多少の分布が出来てしまい、それが回折角度の分布を作ってピークの幅となるわけです。 もう一つは、非常に薄い薄膜や微小粉末などのように結晶のサイズが小さい場合です。教科書などでは、X線回折というのは、一定間隔で規則正しく重なった数多くの結晶面からの反射X線が重なり干渉することで起こる現象として習います。 ところが、回折現象そのものは最低2枚の結晶面でも起こりえる現象で、回折を起こす結晶面の数が増えれば、回折強度が増していくだけのことです。理論的に、回折ピークの高さは回折に寄与する結晶面の数の2乗に比例して増大しますが、ピークの面積強度(ピーク高さx幅に比例)はその数に比例して増えるだけです。従って、回折面の数が増えるに連れてピークの幅は逆に減少していくわけです。 この現象を利用して、シェラー(Scheller)と言う人がピークの半値幅から大雑把な結晶サイズを見積もる有名な公式を考え出しています。かなり荒っぽい見積もりの公式なのですが、けっこう研究現場では良く使われる結晶サイズの評価法になってます。

noname#12472
質問者

補足

丁寧なご回答ありがとうございます。 ご回答に関しましてお尋ねしたい点があります。 θ-2θ測定のピーク幅が広がる原因となっている「ひずみ」や「膜厚」の影響はθスキャンには効いてこないのでしょうか。 つまり、θスキャンなら原理的にそれらの効果を除いた「方位のズレ」の情報のみを抽出できる方法となっているということでしょうか。 たびたびお尋ねして恐縮ですがよろしくお願い致します。

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