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学識会議推薦人の任命拒否について

Aegis_of_Nipponの回答

回答No.11

Q1:任命権について騒ぐのなら、なぜ学術会議は推薦人名簿について、誰が、どのように人選したのか、なぜ推薦したかを説明しないのですか? A1:日本学術会議法の規定では、任命権者に提出するのは学術会議で機関決定された会員候補すなわち推薦された候補者の名簿だからです。  推薦過程は学術会議の規則等で定められており、それに基づいて推薦されるわけです。  仮に、内閣総理大臣が本来の任命権すなわち任命権者の裁量を行使するとしたら、学術会議に推薦された者の調書とか機関決定の際の議事経過は徴求できるでしょう。  内閣総理大臣にそれらの書類を提出するかどうかは、学術会議の判断によるもので、強制権はありませんが。  しかし、裁量権がある通常の任命権によって任命するとすれば、推薦された者の詳細は、任命権者の職権で調査できるということになり、特別職国家公務員として適格かどうかの形式審査、学問や業績等の実体審査、被推薦者数が募集人数を超えた場合の選考はできることになります。  今回は、募集人数と同数の推薦があり、菅総理は通常の任命権を行使して、6名を任命拒否したということになります。  ここで、日本学術会議会員の任命は、本来の任命権なのか単なる辞令を交付する意味の形式的任命なのかが争われているわけです。 Q2:推薦人を拒否せずそのまま任命せよ、というのなら、税金が投入される訳ですから上記の説明がないと納税者としては納得いきません。 A2:その論法で行くと、多額の人件費や調査費を要したすなわち税金が投入されて作成された資料が、内閣の勝手な都合で廃棄されたことにも納得がいきませんねえ。  もっと言うと、内閣官房報償費は学術会議の予算を超える金額ですが、この使途について外遊する国会議員への餞別とか、マスゴミへのお車代とか、いろいろウワサはありますが、その目的についても精査しないと納税者としては納得しませんねえ。 Q3:国民の代表である国会議員の判断を経るのであれば納得できます。 A3:要するに、国会同意人事として、各院で会員候補者を精査した上で同意不同意の判断をするということですか?  これだと、各党派の思惑がさらに入り込んで複雑な議論となってしまい、現在の推薦制よりも混乱すると思われます。  また、憲法第23条で制度的保障をされている学問の自由を国会が侵害する可能性も出てきてしまい、国会同意人事は最善の制度とは言えないかと思います。  国会同意人事が必要なのは、最高裁判所裁判官および下級裁判所裁判官の任命だと思います。最高裁判所裁判官は内閣の一存で任命できるため、今や最高裁判所は第二内閣法制局状態であり、さらに内閣法制局は第二最高裁判所状態でありますから、これこそ「税金の無駄遣い」の最たるものでしょう。 Q4:任命拒否の内容が当否は別の議論があっていいと思いますが、任命拒否の権利とは分けて考えるべきだと思います。おかしいでしょうか。 A4:一見するとおかしくはないですが、残念ながら両者は一体として考えないと、過去の国会質疑の内容から矛盾してしまいます。  まず、この事件の核心は、「内閣総理大臣の学術会議会員の任命権が形式的なものか実質的なものか」ということで、これが本質です。  通常、任命権者の任命権とは実質的なもので、形式審査、実体審査、選考等の裁量権があると考えられます。  例えば、内閣の最高裁判所裁判官の任命は、裁判所法第41条による制約条件はありますが、内閣が裁量権を行使して、適当とする者を任命し、天皇が認証します。長官の場合は指名(実質的任命)で、任命(形式的任命)は天皇が行います。  下級裁判所裁判官の任命(任用および再任)は、憲法第80条の規定で、「最高裁判所の指名した者の名簿によつて、内閣でこれを任命する」となっており、裁判所法第42条ないし第46条の条件を満たした者の名簿を最高裁判所が調製し、内閣がその名簿によって任命します。  この裁判官の任命において、内閣は名簿に登載された者全員を任命する権利もありますし、不適格と考える全部または一部の裁判官を任命しない権利もあります。ここには任命権に付随する裁量権があると考えられるからです。  実態としては、最高裁裁判官でも下級裁判所裁判官でも、最高裁長官の意向に沿って任命することがほとんどで、下級裁判所裁判官の場合は、最高裁判所が事前審査や諮問委員会の答申に沿って、任命拒否されそうなのは辞退するように圧力をかけます。  辞退拒否をして指名名簿に登載されても、どういうわけか内閣で任命拒否をして任期満了退官となるわけですが、これはあまり取り上げられていませんねえ。  次の例として、国立大学法人の学長ですが、学内の選考過程を経て学長候補となった者を文部科学大臣が任命するわけです。  この任命権は形式的任命とも実質的任命とも言えない、中間的な性格で、おおよそは大学が申請してきた者を学長に任命するが、その選考過程が適切かどうかの審査は行っています。著しく不適切でなければ申請通りに任命しますが、中には裁判となってしまうこともあります。  これは憲法第23条における学問の自由の「大学の自治」に配慮したもので、公権力が学長の任命を通じて大学に干渉することがないようにする目的であり、形式的任命を維持しながらも選考過程は任命権者が形式審査するものです。  では、内閣総理大臣による学術会議会員の任命ですが、任命権を通常の概念で捉えると、「推薦のとおりに任命する義務があるとは言えない」ということになり、裁量権の付随した任命権となります。  任命権者は、形式審査、実体審査および選考をすることができますから。日本学術会議法の規定を字義通り解釈すると、そういう結果となります。  しかし、学術会議会員の任命は内閣総理大臣が任命書を手交する意味合いの形式的任命であり、学術会議の推薦のとおりに任命する義務があるのです。もちろん、それでも特別職国家公務員としての欠格事項に該当するかどうかの形式審査はできます。  なぜ形式的任命なのかというと、昭和58年5月の参議院文教委員会における日本学術会議法の質疑において、内閣総理大臣の任命は形式的発令行為のみすなわち形式的任命で、そうすることで学問の自由を侵害しないという、当時の中曽根総理、丹羽総務長官(国務大臣)および高岡内閣官房参事官の答弁があり、さらに国会の付帯決議でもそれが確認されているからです。  学術会議が推薦した者をそのまま任命するのであれば、学問の自由ひいては日本学術会議の独立性を侵害しないという論法で、この学術会議法第7条第2項の解釈は、内閣官房と内閣法制局での合議によって確定されたもので、いわゆる合憲限定解釈として今日まで至っています。  ×通常の任命権を行使すれば、学問の自由を侵害して違憲となる。  〇形式的任命とするならば、学問の自由を侵害せず合憲となる。 こういう図式です。  任命拒否の権利があるすなわち裁量権を行使できる任命権つまり通常の概念による任命権を行使するとしたら、学術会議法第7条第2項に規定する内閣総理大臣の任命権を制限した解釈、すなわち合憲限定解釈を国会で解除してもらって後に、菅総理が通常の任命権を行使するしかありません。  学術会議事務局と内閣法制局で学術会議法第7条第2項の任命権について合議をして新解釈を確定させたとしても、それが国会での答弁または質問主意書に対する内閣の答弁書どころか、内閣の明示された意思すらも公にされていない中での任命では、違憲違法瑕疵の行政行為の可能性が生じます。  最善なのは、改正日本学術会議法案を提出して、その趣旨説明、提案理由および委員会質疑において、通常の任命権を行使しても学問の自由を侵害しない仕組みや制度を提示して、それに国会が納得した上で改正法案が成立すれば、昭和58年の合憲限定解釈は解除されることになります。  任命権に制限を加えたのが国会である以上、その制限を解除できるのも国会だけで、今回の菅総理の任命は国会を経由せずに行使したものであり、改正法案の提出または質問主意書に対する内閣の答弁書を最低でも要するのです。  いずれにしても、形式的任命の状態ですと、任命拒否をした理由を示さなければならんわけで、形式審査の段階で菅総理が不適格と判断したことになりましょう。  形式審査で適格であったが、実体審査で不適格であったとなると、内閣総理大臣の任命権の濫用ともなります。形式的任命である以上、実体審査をしてはいけないわけで、仮にしたとしてもそれを選考に及ぼしてはならんわけです。  ここまでくると、内閣総理大臣の任命という行政行為が違憲、違法または瑕疵という可能性が生じ、「内閣法制局は何をしていたのだ?」となってしまいます。

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