PAC3配備の意味

質問

• 北朝鮮のミサイル発射計画に対応し、迎撃ミサイル「PAC3」が島根、広島、愛媛、高地に配備されています。
• PAC3は日本を守るために配備されており、北のミサイルが日本に向けて発射された場合に備えて防御する役割を担っています。
• 発表された配備は北朝鮮に対して威嚇の意味も含まれており、日本の防衛意思の強さを示すために行われました。

回答No.4

HAL2（@HALTWO）

先ず基本事項として IRBM (Intermediate-Range Ballistic Missile：中距離弾道誘導弾 であり ICBM ではありません) の防衛 System は PAC3 (Patriot Advanced Capability 3) Ststem ではなく、Aegis 艦が搭載する SM3 (Standard Missile 3) Block I-A Series です。

Mass Media は PAC3 を IRBM 防衛の要のように報道しますが、これは大きな間違いで、そもそも日本の Mass Media は軍事問題を生理的に嫌う傾向から軍事技術への知識が希薄で、軍事知識の基礎も判っていません。‥‥近年の例を挙げれば Bell Boeing V-22 Osprey の問題で惨々な報道をしていたでしょう？

SM3 Block IA は海上自衛隊の「こんごう型護衛艦 (DDG173～176)」4 隻に搭載されていて、護衛艦から発射されると半径 1000km 余、高度約 500km まで飛ばす事ができ、半径約 500km 高度 100～250km ほどの範囲を通過する演習用 IRBM 模擬弾頭 70% 以上の確率で直撃している実績があります。

海上自衛隊は「こんごう」型 Aegis 艦を 4 隻保有していて、平時は 1 隻、今回のような準有事には 2 隻を日本海に配置しており、これに SM3 Block IA を有する米軍太平洋艦隊の Arleigh Burke 級 Aegis 艦が 1 隻または 2 隻加わる事で万全の体制を採ります。‥‥Arleigh Burke 級 Aegis 艦は日本の他の護衛艦と同様、SM3 Block IA を有さない艦が多数ありますので、SM3 Bclock IA を有する艦を 2 隻加える事がｋでいるかどうかはその時の米太平洋艦隊に依りますが、1 隻は必ず加わります。

「こんごう」型の SM3 Block IA が IRBM 撃墜に失敗する確率は過去の実弾演習結果から (100% - 70%以上)＝30% 以下ですが、これを少し大きく見積もって 30% (0.3) とすると 2 隻体制での失敗率は 0.3×0.3＝0.09＝9%、つまり撃墜率は 90% 以上となります。‥‥演習では 1 発しか撃ちませんが、実際には各艦から対応時間内に 2 発撃てるようですので、撃墜率はもっと高くなるようです。

これに米軍太平洋艦隊の Aegis 艦を加わりますので撃墜率は更に高まります。

なお SM3 Block IA Missile は IRBM や ICBM (Intercontinental Ballistic Missile：大陸間弾道誘導弾) が発射上昇して最大高度に達するまでの間に撃ち落とすための Missile で、SM3 Block IA を発射する艦船に搭載されている Radar の索敵範囲 (200～400km) が実質的な射程になります。

この射程を延伸し、今年、北朝鮮が発射した火星 Series IRBM のような高々度長射程の IRBM が加速を終了した頃 (最高高度) まで対応できるようにしたものとして防衛省技術研究本部と三菱重工業で開発された SM3 Block IIA があるのですが、SM3 Block IIA は来年から建造される 8200t 級 Aegis 護衛艦に装備される事になっているので、現在は加速上昇中の IRBM を撃墜する SM3 Block IA が IRBM 防衛の要になっています。

御質問の PAC3 は発射機から半径 20km、高度 15km までの範囲に大気圏外から超高速で突入してくる物体を撃ち落とすための Missile で、IRBM や ICBM の最終段階、つまり大気圏に再突入してきた弾頭などを破壊するためのものです。

しかし実際には破壊された核弾頭がばらばらになって地表に降り注ぐのですから、核爆発は防ぐ事ができるとは言え、隕石の欠片みたいにばらばらになって大気との摩擦熱で蒸発する上に燃え残って地面に降り注ぐ Plutonium 欠片による放射能汚染被害がどうなるかは判りません。

だから今回のように「核爆発はさせない演習用弾頭」を破壊する分には良いとしても、実際の核弾頭破壊には「防衛の要」となるような Missile ではないのです。‥‥なのに Mass Media は相も変わらず「PAC3 配備反対」の頃から PAC3 を話題にするのですが‥‥。

今回の PAC3 配備は「打ち上げに失敗して日本に墜ちてくる Rocket」や「1 段目、2 段目の撃ち殻が日本に墜ちてくる」可能性を考慮して「陸地に墜ちてくるようなら破壊する」事を目的とした配備です。

だから火星 IRBM が上空を通過する地域の都市部を守るように配備すれば間に合うわけです。

本物の核弾頭を相手にするのは PAC3 ではなく、SM3 の方ですよ。

「こんごう」型 Aegis 艦はもうとっくに日本海に出張ってますので御安心を‥‥PAC3 配備の報は、まぁ PAC3 でお祭り騒ぎしたがる Mass Media 向けのものです(^_^;)。

お礼

詳しくありがとうございます。日本のミサイル防衛に関しては、マスメディアではなくて防衛白書を見ていますので、防衛白書に嘘が書いていない限りご心配には及びません^^;