DSM-4で診断するという作業は、本来はその性格上厳密に行うべきなんでしょうが、実際の臨床場面ではそれほど厳密なものではないです。
現時点の情報であえて分類するとすれば、私なら暫定診断として解体型とします。今後、会話型の幻聴がさらに体系化された妄想に発展していけば、その時点で妄想型と判断するかもしれません。ですが、現時点で妄想型と判断する精神科医もいると思います。結局、どちらの症状に重きを置くかですから、診断する者が変われば診断名も変わる可能性があります。
後はjupiter5さんもおっしゃるように、障害の持続期間です。障害が6ヶ月以上続かないのであれば、短期精神病性障害(1ヶ月未満)、統合失調症様障害(1~6ヶ月)となります。このケースはまだ半年は経過していないようですので、厳密には統合失調症様障害となりますが、このまま放置すれば半年以上持続することが十分に予想されるので、半年を待たずに統合失調症と診断して差し支えないでしょう。
さらに鑑別診断として忘れてならないのは物質誘発性精神病性障害の可能性でしょう。覚醒剤、大麻等、ドラッグの使用歴があれば、当然そちらを疑うことになります。
私がこの患者さんを診たとして、初診時の印象は、まず9割方は統合失調症、病型分類はひとまず診断保留、念のため薬物使用の疑いについて詳しく家族等から病歴聴取、後は経過に応じて、といったところでしょうか。
お礼
ご回答ありがとうございます。 専門家の方から詳しい解説をいただき、 迷っていたものがクリアになったように思います。 診断後の対応についても大変勉強になりました。 確かに薬物使用の疑いも考えられますね・・・。 少ない情報から診断することの難しさ・・・。 本当にありがとうございました。