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「4よん・7なな・9きゅう」と呼び始めたのはいつ?
いち・に・さん・し・ご・・・は中国の数え方を拝借しており 本来の4、7、9の読み方は「し、しち、く」であると聞きました。 「し」ですと「死」を、「く」ですと「苦」を想起させる、 「しち」は「いち」と間違えやすいなどの諸説により 「よん(よ)、なな。きゅう」も追加されたようですが 日本でこの「よん(よ)、なな、きゅう」を合わせて読むようになったのは いつ頃からでしょうか。 その件にまつわるエピソードなどをご存じでしたら、ぜひ教えてください。 よろしくお願いします。
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日本語の数詞における漢語系と和語系の読み方の併用や、漢語の複数の読みの併用(九の「キュウ」と「ク」)は相当古くからから行われているようです。 万葉集巻三(380)の大伴旅人の酒を讚むる歌「古之 七賢 人等毛 欲為物者 酒西有良師」には「いにしえの 七(なな)の賢しき人どもも 欲りせしものは 酒にしあるらし」という訓が付けられていて、「なな」と読んだと考えられています。この「七の賢しき人ども」はもちろん昔の中国の「竹林の七賢」のことですが、同じ七賢でも「平家物語」のような漢語が多い文章で、「晉の七賢、漢の四晧が住みけん、商山・竹林のありさま」と書かれていれば、当然読みは「しちけん」でしょう。 万葉集巻十六(3827)の有名な双六の歌になると、読み方も2通り考えられています。 原文「一二之 目耳不有 五六三 四佐倍有(来) 雙六乃佐叡」(来の字を欠く伝本もある) 訓読み「ひとふたの めのみにあらず いつつむつ みつよつさえあり すごろくのさえ」 音読み「いちにのめ のみにはあらず ごろくさむ しさえありけり すごろくのさえ」 どちらもちゃんと和歌として成り立つところは興味深いものがあります。回答者の本棚にある書籍では、岩波書店の「日本古典文学大系」(高木市之助・五味智英・大野晋)が前者、講談社文庫の「万葉集」(中西進)が後者でした。 日本の地方の名称としての「九州」の呼び方はもちろん「きゅうしゅう」ですが、この異称として「九国」という言葉があり、この場合は「くこく」と読みます。さらに1922年のワシントン会議において日本を含む九つの国の全権委員が調印した、条約締結国における対中国政策の原則を規定した条約は、高校の教科書など一般には「九か国条約」と呼ばれていますが、この正式な名称は「中国(支那)に関する九国条約」(くこくじょうやく)です。 なお、四を「よん」七を「なな」と読むことが増えたように感じるのは、電話の普及などで一(いち)・七(しち)・四(し)などの聞き間違いを防ぎたいという理由が大きいと思います。 平家物語では二月を「にんがつ」(にんぐわつ)、四月を「しんがつ」(しんぐわつ)と発音していたようですが、これも「語り物」として耳で聞いてリズミカルでわかり易くということからの強調ではないでしょうか。(有名な那須与一の「扇の的」…ころは にんがつ 十八日)
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- kzsIV
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孫引きは憚られますので、 『日本語数詞の歴史的研究』を 直接、御覧ください。
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ご回答をありがとうございます。 これですね。 http://www.musashinoshoin.co.jp/shoseki/view/1503/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E8%AA%9E%E6%95%B0%E8%A9%9E%E3%81%AE%E6%AD%B4%E5%8F%B2%E7%9A%84%E7%A0%94%E7%A9%B6 一瞬ぎょっとしましたが、目次を見たらとても興味深い内容だと思いました。 知らなかったことが色々学べそうです。 ありがとうございました。
- kifimi
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一つ書き忘れていたので、追記します。 九の「ク」と「キュウ」の違いは、クが呉音で、キュウが漢音です。 呉音は、漢字が最初に日本に伝わった頃に入ってきた発音で、中国南部の発音が基になっています。 漢音は呉音よりも数世紀後、遣隋使や遣唐使が新しく伝えた発音で、都である長安の発音が基になっています。 日本では、呉音・漢音を併用しており、語彙によって読みを使い分けています。例えば「九月」はクガツで、キュウガツとは読みません。「九州」はキュウシュウで、クシュウとは読みません。
お礼
度々詳しいご説明をありがとうございます。 4を「シ」と読む場合は、7と9も「シチ・ク」と連動して読むケースが多いように思うのですが(例えば、4月、7月、9月) 時計に関しては「4時、7時、9時」が「よ・シチ・ク」とミックスされていることをずっと不思議に思っています。 もし理由をご存じでしたら、ご教示ください。 よろしくお願いします。
- kifimi
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まず、 >いち・に・さん・し・ご・・・は中国の数え方を拝借しており >本来の4、7、9の読み方は「し、しち、く」であると聞きました。 という箇所に、に少し誤りがあります。 和語(古来からの日本語)→ひ・ふ・み・よ・いつ・む・なな・や・ここの… 漢語(中国語からの借用)→イチ・ニ・サン・シ・ゴ・ロク・シチ・ハチ・ク/キュウ… です。 つまり、「本来の4,7,9の読み方」は、「よ・なな・ここの」です。 そして中国の読み方を借りてきたのが「シ・シチ・ク/キュウ」です。 本来は、和語は和語、漢語は漢語で読むものです。例えば、「一人」の読みは、「ひとり」と「イチニン」があります。和語だと、ひとり、ふたり、みたり……となり、漢語だと、イチニン、ニニン、サンニン、…となります。 イチ・ニ・サン・よん・ゴ・ロク・なな・ハチ・キュウ……と、和語と漢語を交ぜて使うのは、仰るように、「死」の連想や「イチ/シチ」の混同を避けるためだと言われています。 「四人」=シニン=死人!?となってしまいますものね。 例えば京都の「七条」は、本当は「シチジョウ」ですが、イチジョウ(一条)やシジョウ(四条)と紛らわしいということで、市バスのバス停アナウンスでは「ななジョウ」と読んでいます。
お礼
ご回答をありがとうございます。 すみません、私の書き方が曖昧で誤解を招いてしまいました。 「和語の読み方を、漢語の読み方にまぜて使用するようになったのはいつごろでしょうか」 という意図でした。 「ひ・ふ・み・・・」は「ひとつ・ふたつ・みっつ・・・」を簡略化した読み方だと思っていたので「ひ・ふ・み・・・」が原型と知り、 とても勉強になりました。 どうもありがとうございました。
お礼
ご回答をありがとうございます。 > 日本語の数詞における漢語系と和語系の読み方の併用や、 > 相当古くからから行われているようです。 そうなのですね! 万葉集にまでさかのぼってというのは、本当にびっくりです。 大変勉強になりました。