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※ ChatGPTを利用し、要約された質問です(原文:伝説の名演、この時、何が起きているのですか?)

伝説の名演、この時、何が起きているのですか?

Tastenkastenの回答

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回答No.2

こんばんは。 厄介な質問を出されましたね。インスピレーションという言葉が出ると、説明に苦労するんですよ。出なければいいなあと思っていました(笑)。 Natalie Dessayの例ですが、私の場合、長年やっていますし、数えきれない演奏に接してきているので、少しぐらいのことでは驚きません。もちろん非常に優れた演奏で、技術、表現力、ともに世界トップクラスであることは疑いありませんが、この演奏をもってインスピレーションとか、憑依とか、何かが降りてきている、という捉え方は少しいき過ぎですね。もう少し冷静に見る必要があります。ねこさんは理系でいらっしゃるので、抽象的、暗示的な芸術家のとらえどころのない説明だけより、もう少し分析的な説明があった方が納得できるのではないでしょうか。 本題に入る前に、ちょっと気になっていることがあります。以前、シューベルトの御質問の時に、グルダがお好きであること、内田光子は個性的過ぎてついていけないことを書いていらっしゃいました。しかし実際には、グルダの方がはるかに個性的です。内田光子は、演奏時の動きや顔の表情に癖があるので、そういうところに影響されていませんか? このNatalie Dessayの例も、技巧的華やかさと、視覚的効果(演技)に幻惑されているのかもしれない、と推測します。実は、私の近所にも熱狂的なクラシックファンの方がいて、私にいろいろ話を聞きたがるのですが、その人の特定の音楽家への感心ぶりを聴いていると、どうしてもずれを感じてしまいます。一般の聴衆がすごいと感じる部分と、プロがそう感じる部分は一致しないのです。というわけで、この動画のNatalie Dessayは、もちろん、本番ならではの精神の高揚や充実感は感じていると思いますが、基本的には冷静に演奏しています。トランス、というような状態ではありません。 Natalie Dessayの技術は、容易に到達できるレベルではありませんが、コンサートの時に特別のことが起こったからできたのではなく、普段からこのレベルで歌っているのですよ。この速さと、イントネーション(音程)の確かさで歌うために必要な、体のあらゆる部分のコントロールの仕方を、長年の積み重ねで習得してきているのです。それと、この曲はミュージカルですから、それに見合った演技をしていますけれど、これも、普段オペラを歌っている歌手なら、当然いつも「演技」をしているわけで、ごく普通のことですね。鬼気迫る演技、というわけでもありません。むしろ、手慣れたもの、と感じます。しかし、高度な技術や演技は、神がかり的な印象を与えやすいものと見えます。パガニーニが現れたとき、それまで聞いたことのないような技巧を目の当たりにした人たちは、悪魔が憑いていると思ったでしょう。でも、現代のヴァイオリニストはみなパガニーニの曲が弾けるわけです。 たしかに、コンサートなどで、本来の自分の力以上のものが発揮できた、と思える瞬間はあります。しかし、もともと持っていない能力が突然現れるわけはないので、それはやはり、眠っていた潜在的能力です。普段はそれに気が付かないのですが、特別の条件がそろったとき、精神の高揚でそれが目覚めるということでしょう。火事場の馬鹿力、というたとえは適切ではないかもしれませんが、それに近いかもしれません。ただ、普段できなかったことがある日突然できたとき、なぜこんなことができたのだろうと不思議に思い、自ら神秘化してしまうことはあると思います。特に芸術家は、資質的に、そういうことを客観的に分析して、こうしたからできたのだ、と説明するよりも、何か目に見えないものの力と表現しておきたいものです。例えば、バーンスタインがマーラーの交響曲の名演をするとき、それは、作曲家ならではの楽譜の読み込みや解釈があって可能なのですが、「マーラーから電話がかかってきて」などと言うわけです。演奏だけでなく、作曲するときも、突然楽想が次から次へと湧くことがありますが、こういう時の状態を説明するのは困難なので、すぐ霊感、インスピレーションという話になるんですよね。その方が手っ取り早いし、プロではない一般の聴衆も、インスピレーションという自分たちには理解できないナゾの部分があると思うことで、余計に魅力を感じるということはないでしょうか。 憑依という形容をしたい気持ちもわかるのですが、これは、日本での方が言われやすいかもしれません。というのは、日本と西洋では、自我というものの重さが違い、西洋的に考えるならば、芸術作品、演奏は、自我を持つ「個」が創造するものですから、そう簡単には憑依という捉え方はしないでしょう。それに対して日本では、芸をする者は憑代のようなもので、外から来たものが通り抜けて実現されるという感覚もあると思います。ただ、私は、こういうことは、文化伝統が違うために、捉え方と記述の仕方が違うだけで、結局はやはり同じ人間なので、脳の中で起きていることは同じだとみています。東洋と西洋の違いばかりを強調したがる人が結構多いのですが、そして、実は私も若いころはそういう考えに走ったのですが、やはりそうではないと思っています。 作曲の方の話になりますが、インスピレーションについては、過去の芸術家がいろいろ言っています。だれがどんなことを言っていたか、忘れてしまいましたが、西洋の作曲家などは、創作の時にインスピレーションが果たす役割の比率は、概して少なく語られることが多かったような気がします。 作曲をやっているというと、インスピレーションで書くの? それとも理論で書くの? などと聞かれることがあります。つまり、理論とインスピレーションは別のものだと多くの人が思っているのでしょう。でも、ちょっと考えればわかるのですが、理論や技術を習得していない人が、インスピレーションだけで何かができるかというと、やはりできませんよね。私は、理論や技術とインスピレーションの間には、明確な線は引けないという考えです。技術的な鍛錬があるからこそ、インスピレーションは湧くわけですし、インスピレーションによって得たものが、そのままでは使えず、理論的に修正しなければならないこともあります。あるいは、理論的に考えて作り出そうとしているとき、いくつかの可能性を考えて、これはだめ、この方が少しいい、といくつものやり方を考えて迷っている最中に、突然全く別の解決法を思いつくこともあります。理論的な思考のなかにもインスピレーションがあるということですね。ちょっとわかりにくいかもしれませんけれど。 作曲する場合もそうですが、演奏の場合も、高い技術と理論的な理解が深ければ深いほど、表現の可能性も多くなります。その、たくさんの「表現の引き出し」が開きやすくなった時が、インスピレーションの起きやすい状態です。では、どういうときに開きやすくなるかと言えば、リラックスと適度な緊張状態、興奮状態が両立し、感覚が研ぎ澄まされている時です。コンサートの本番では、一流の音楽家でも緊張するものですが、全く緊張がないよりは、適度な緊張があった方がよいのです。そして、いざ舞台に出てしまって、もう逃げられない状況になれば、逆に感覚も研ぎ澄まされてきます。自宅で演奏するときやレコーディングと違って、やり直しがきかないという状況と、期待して待っている聴衆を意識することで、意欲も高まります。音楽家はそもそも、常に今現在やっていることよりさらに上があると思っていますので、これで終わりということがありません。リハーサルを重ねていく過程で、どんどん良くなるわけですが、向上するのはリハーサルの間だけではなく、本番もその延長線上にあります。ですから、常に上を目指す気持ちと、本番の緊張感、共演者とのリハーサルを通じての相互理解、さらに、オーケストラの場合は、指揮者のカリスマ性などが混然となって、時として鬼気迫る演奏が実現します。名演が実現されるためには、これ以外のことも含めていろいろな条件がそろわないといけません。 少し、例を挙げてお話ししようと思うのですが、長文になったので、ここで一度切ります。また、のちほど。

NemurinekoNya
質問者

お礼

こんばんは。 ☆この動画のNatalie Dessayは、もちろん、本番ならではの精神の高揚や充実感は感じていると思いますが、基本的には冷静に演奏しています。トランス、というような状態ではありません。 ◇ですね。 彼女は、いたって冷静で、十分にコントロールされた熱狂(?)、興奮状態にあるんだと思います。  ───たぶん、彼女が誰よりも人一倍醒めている(ポリポリ)。このことは、歌い終わった彼女の表情から分かる─── 分かってはいるのですが、 素人が見ると、神がかって見えちゃうんですよね~♪ 騙されちまう(笑い)。 ただただ、「何だか分からないけれど、スゲェ~。これはあり得ないだろう」と呆れて感心してしまう。  ───この動画を見たとき、感動したというよりも、「ホント~に凄い」なと笑うしかなかった─── ですが、あれは一世一代の演技、熱唱ですよ。 彼女をもってしても、そうそうできるものではない、と思います。 ☆実は、私の近所にも熱狂的なクラシックファンの方がいて、私にいろいろ話を聞きたがるのですが、その人の特定の音楽家への感心ぶりを聴いていると、どうしてもずれを感じてしまいます。一般の聴衆がすごいと感じる部分と、プロがそう感じる部分は一致しないのです。 ◇らしいですね。 CDやDVDなどで演奏者が「これが私のベストの演奏」と思うものが、音楽評論家からクソ味噌にけなされていたりすることがよくあるようです。 「この演奏はダメだから録音しなおしたい」と思っているものが、高く評価されていたりして、この曲のBEST盤になっていたりする♪ ジョージ・セルの録音はプロの演奏家、音楽学者などから高く評価されているのに、クラシックファンには人気がない。 私もセルの録音の素晴らしさがさっぱり分からない(笑い)。 私は、セルより華やかなオーマンディーの方が好きです。 セルのベートーヴェンの交響曲なんか聞きたくもない♪ ☆たしかに、コンサートなどで、本来の自分の力以上のものが発揮できた、と思える瞬間はあります。しかし、もともと持っていない能力が突然現れるわけはないので、それはやはり、眠っていた潜在的能力です。普段はそれに気が付かないのですが、特別の条件がそろったとき、精神の高揚でそれが目覚めるということでしょう。 ◇日々練習をし、己れの技術を磨いているから、可能になるのでしょうね。 潜在力として秘めていないものが現われるということは考えにくい。 剣の舞 https://www.youtube.com/watch?v=hggTOIDPkKA 我々、素人はこういう凄い演奏を見せつけられると、「神だ~♪」と叫ぶ以外ない。 でも、この演奏は凄いよな~。 音楽になっているもの。 そして、これを一度聞いてしまうと、他の「剣の舞」の演奏は聞けなくなってしまう(笑う)。 ☆。私は、理論や技術とインスピレーションの間には、明確な線は引けないという考えです。技術的な鍛錬があるからこそ、インスピレーションは湧くわけですし、インスピレーションによって得たものが、そのままでは使えず、理論的に修正しなければならないこともあります ◇でしょうね。 あと、演奏家の楽曲の理解(の深さ)が重要なのでしょう。 ☆では、どういうときに開きやすくなるかと言えば、リラックスと適度な緊張状態、興奮状態が両立し、感覚が研ぎ澄まされている時です。 ◇これ↓なんか凄いと思いますね。 https://www.youtube.com/watch?v=F1qASfzTAfQ ちょっと頭の部分が切れていますけれど、 第三楽章から第四楽章への移行部。 この時の緊張感の高さ、張り切れんばかりの緊張感から解放されて、オーケストラが一気に・・・。 乗りに乗ってるウィーン・フィル。 やっぱ、ウィーン・フィルだわ~♪ 今のウィーン・フィルに物足りなさを感じるのは、私だけだろうか? 回答、ありがとうございました。

NemurinekoNya
質問者

補足

理系人は、このインスピレーションを閃きと称します。 そして、この閃きは、本人にも説明ができない。 なぜか、天啓のごとく、突然、頭の中に浮かんだとしか言えない。  ───魔術師と呼ばれた大数学者、ラマヌジャンは「寝ている間に、女神が現われ、教えてくれた」と言っている。お師匠さんのハーディは「絶対に嘘だ」と言って、この話を信じなかったけれど・・・─── もうこの領域になりますと、我々、凡庸の人間にはもはや理解不可能。 ですが、この閃きは、不断の努力があってこそ可能なのでしょうね。

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