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記憶、海馬

約40年前に理博を取りました、専門は典型元素の有機化学。長年うつに悩まされて来ましたが、最近診断名が双極性障害II型になったら軽躁が標準になりました。無駄遣いはしませんが、学生時代の「好奇心が」爆発状態。済みませんが、独断でも良いので、手がかりを下さい。 1)記憶をささえるもの: 私が大学に居た40年前、記憶の媒体は物(たとえば蛋白やポリペプチド、DNA)か「回路ないしそれに準ずる物」(例えばニューロンが作る回路、など)、では今のパラダイムは何か? 2)海馬: a)海馬は「何をして居る?」ひどく忙しいらしく「自我の一部」とさえ見える、だが多くの問題がある、上記記憶媒体はここを通らないと十五分後に失われるらしい、だがアボガドロ数を考えると、たった一つの分子や回路がここを通れば良いと言うのは大きな無理がある。 b)海馬は低くはあるが脳髄の中央近い、そんなに忙しく働いたら、ホメオスタシスが必死に守っている41℃を超えて仕舞うだろう、特に冷却器は見えない。 c)最近よくテレビに登場される(多分英国人の)海馬障がい者の方は、明らかにおかしい、着付けも粋だし英語も見事だ、明らかに後天的に破壊されたのだろう、では能の奥に近い海馬は何の事故で破壊されたのだ?治療不能らしいが、それはなぜだ?この方以外にも海馬が壊れている方が居るはずだ、 d)新生児の海馬が壊れていることはあるのか、それとも「重篤な傷害」であるため「死産」になるのか、いや「発生」段階で崩壊してしまうのか?新生児の海馬が壊れていたら「無脳児」同様になるのか、延髄に問題はないから「変な健常児」になるのか? e)長期的記憶は側頭葉にあるらしいが、海馬からどの様に「運搬されるのか」?ヒドイ説明では全ての記憶は海馬上にあると言うが、それは幾ら何でも負担が大きすぎる。 おまけ)思考の中心は前頭葉にある様だが、記憶は一々引きずり出されるのだろうか? おまけ2)随意筋は思考に先だって行動を起こすので、「しまった」と思っても遅い、それは納得出来る仮説だ、だがそれは「進化論」的に整合性はあるのか?つまりその様な行動様式の個体がえらばれたメリットはどこにあるのだろうか?

みんなの回答

noname#203655
noname#203655
回答No.2

お礼をいただき、ありがとうございます。 1) 質問者様がおっしゃったように、昔は細胞が何らかの形で記憶を担っているか、あるいは、ドナルド・ヘッブが20世紀半ばに言ったようにセル・アッセンブリーという形でネットワークで記憶を形成しているか、定かではありませんでしたが、今はほとんどすべての脳科学研究者(私は研究者ではありませんが)がヘッブ説を支持していると思います。 シナプス可塑性というのがありまして、たとえばLTP(長期増強)というという形で特定の神経細胞同士が強く繋がるようになったり、スパインといって、新たなちっさなシナプスみたいなものが生まれて新たな接続が生まれたりして、回路図に変更が起きます。あるいは、最近の研究では軸索の伝達速度に違いがあったり、これまた軸索のミエリン鞘の巻具合が回路図に変化をもたらしている可能性がわかってきています。 利根川進の研究で海馬の細胞を刺激してマウスが特定の記憶を想起したということは、その海馬の細胞を含んだ何らかの脳内ネットワークが一斉に刺激されたことを意味するのかもしれません。 ということは、やはりそのネットワークのうちの一つの神経細胞が刺激されれば、ネットワーク全体が活性化されて同じ記憶が想起されている可能性があります。井ノ口馨という著名な脳科学研究者もそのように利根川進の研究を解釈していると思います。井ノ口馨は利根川の研究でヘッブの仮説が証明された的なことを言っていたと思います。 たとえば、視覚野関連の青が活性化されれば、シチリアの海辺で日光浴していたことが思い出されるかもしれませんし、嗅覚野関連の潮の匂いが活性化されれば、同じ状況の記憶が再現されるかもしれません。 ですから、「回路」を「蒸発」から守るものはその回路の繋がりが変化しないこととは言えるかもしれません。 2)海馬に階層があるのではなく、海馬と大脳皮質(6層ある)の関係に階層があるかもしれません。 一般には体内の熱は少なくとも褐色脂肪細胞か骨格筋から発生します。ただ、単細胞生物である細菌も培養すると熱を発生するようですので、心筋細胞や神経細胞も熱を発生しているのかもしれません。 いずれにせよ、血液が熱を運んで皮膚で放散したり、汗で熱を放散させるなどして、熱処理をしているのだと思います。海馬で熱が発生しているとしても、そのような熱処理で処理できる範囲内だということかと思います。 海馬が司令塔になって前頭葉を動かしているのではおそらくないと思います。忙し「過ぎる」というのは質問者様の印象であって、実際は脳は正常に機能するわけですから、その事実が出発点になるかと思います。もちろん疑問を抱き、解答を求めるのはいいことかと思います。しかし、たとえば呼吸を司る呼吸中枢など24時間フル稼働して平気な神経(核)はけっこう存在すると思います。ですから、質問者様が思ってらっしゃるよりも神経は「強い」ということなのかもしれません。ただ、その「強さ」の機構を調べることは意義あることかと思います。 再び素人若輩者の見解献上させていただきました。

doc_somday
質問者

お礼

たびたびおつきあい下さいまして、有り難うございます。 切りが無いので(本当は切りたくないけど)ここで終わりにいたします。 私は討論会で「質問魔」として恐れられていました、相手が破綻するまで 矛盾をつつき回しましたので当たり前です。恩師は「それで良い」と言ってくれました。 ですから、井之口先生が利根川先生の結果をヘップ説の「実証」だと おっしゃることには大きな疑問を抱きました、それは「混沌」への一歩のように 感じられました、素人の感慨ですからお忘れ下さい(なんて言わなくても気になさらないだろうが) 今回は大変勉強になりましたが、先は長そうです。生きている内に認知症が来るでしょう。w

noname#203655
noname#203655
回答No.1

知ってる範囲で答えさせていたたきます。 1) 今も「回路」かと思います。 2)  a)ご存知かと思いますが、記憶には種類がありまして、少なくともエピソード記憶(たとえば「昨日海で友だちとバーベキューをして楽しかった」)は海馬で蓄え(短期記憶)処理してから、大脳皮質のネットワークへ移行させて長期記憶(長く持続保持できる記憶)を形成させるとされています。   ジェフ・ホーキンスという人は、脳の序列において、海馬は最上位にあり、何事も海馬の処理を介して皮質に振り分けられる的なことを言っていたと思います。   海馬には歯状回、CA1、CA2(最近存在が確定されました)、CA3があり、それぞれの役割が一応推定されています。 b) 24時間フル活動してる臓器はけっこうあるかと思います(たとえば心臓)。その線で考えると、脳も大丈夫みたいです。 c) 生まれつきとか、脳出血や虚血、普通に外傷でも海馬損傷はありえると思います。心的外傷でも損傷されます。認知症や加齢でも萎縮します。基本的に、神経細胞は再生しません。だから、治療は困難です。ただ、少なくとも海馬や脳室では神経新生はあります。 d) 新生児の海馬が形成異常を起こしていることはあるかと思います。当たり前ですが、何らかの障害は残すと思います。もし新生児で海馬が破壊されていた場合、(上記の2aのように、長期記憶形成に支障をきたすため)新しい知識を得ることがほとんどできないので、おそらく少なくとも精神遅滞をきたすと思います。 e) おそらくですが、側頭葉にある長期記憶は少なくとも図形に関する記憶であって、すべての長期記憶があるというわけではないと思います。海馬からどう運搬されるかは分かっていないのではないかと思います。すべての記憶が海馬にある可能性は或る意味ではありえるかと思いますが、わかりません。というのも、利根川進がマウスの海馬の特定の神経細胞を刺激して、長期記憶を人為的に再生させる実験に成功しているため、海馬にすべての記憶が残っている可能性はあると思います。ただ、やはりすべての種類の記憶が残ってはいないのではないかと思います。 おまけ1) わかりません。 おまけ2) 随意筋が思考に先立って行動を起こすのは反射の場合ではないでしょうか。(判断する前に脳が活動してるという話もあります。)たとえば、転びそうになったときに身体の損傷を防ぐよう手足が防ぐような反射は個体の保護のためであり、「進化論」的に整合性があるかと思います。メリットは長生きさせることではないでしょうか。 記憶に関しては カンデル、スクワイア『記憶のしくみ』上下巻、ブルーバックス という良書があるので、そちらからあたってみてもいいかもしれません。 若輩者が失礼しました。

doc_somday
質問者

お礼

つたない(元)研究者の好奇心にお答頂き、感謝いたします、解説書もお教え頂き非常に有り難く存じます、もちろん「理解出来れば」ですが(笑) お忙しいでしょうが幾つか追加いたします。 1)記憶は「回路」だとすると,その回路は「電子回路」の様に「情報を乗せているだけで」情報と「担体」には「一時的な」関係しか無いのか?更に「化学屋」はアボガドロ数に縛られています、一つや十個の情報は瞬時に「蒸発」するだろうとしか考えられません、では「回路」を「蒸発」から守るものは何か? 2)海馬に階層がある事は非常に合理的だと思います、無理やりつたない「自我」「意識」と結び付けると、「自我」にも明確な(切断はされていないが)階層がある様です、全ての記憶が海馬にあるとは思っておりません、御存知のように人間の「記憶」は「いい加減で」、例えば視覚では特定の場所しか見て居らず、残りは「長期記憶」が適当に「埋めます」だから「デジャヴ」が起るのでしょう。 心臓を例として挙げられたのは不適切だと思います、冠動脈は強力で常に酸素と栄養素を運ぶことが可能です、だからこそ心筋梗塞は致命的です。もちろん四本の頸動脈もフル回転しており、統合されてから再度分配される複雑な構造なのは、脳が非常に大切で一瞬たりとも酸素とブドウ糖の供給が滞ることを防ぎ、このややこしい構造も脳全体を「等しく」駆動するためには欠かせないのでしょう。ただ利根川先生の実験は寡聞にして知りませんが(知っていたら恐い)、その意味するところは容易に解釈可能だとは思われません、再度記憶の担持に戻ると、マウスの脳は充分複雑だが、それでも人間の巨大過ぎる前頭葉をフル回転させるには海馬は「忙し過ぎる」様に見えます。再拝して閉じます。

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