なぜ第二次世界大戦時にアメリカ軍は日本軍の暗号通信

質問

なぜ第二次世界大戦時にアメリカ軍は日本軍の暗号通信を解読出来ていたのにハワイのパールハーバーの奇襲攻撃を許したのでしょう？

日本軍がハワイのパールハーバーを攻撃することは，アメリカ軍は知っていたはずですよね？

アメリカ軍は日本軍にパールハーバーを攻撃させて，自国で開発していた核爆弾を実戦で使ってみたかった。

だから日本軍にパールハーバーの攻撃を許して，自国の離島民を殺すのと引き換えに核兵器の実験ではなく実際に使う口実を作った。

違いますか？

なぜ日本軍の秘密暗号を解読していたアメリカ軍がパールハーバーだけ攻撃されるようなヘマをしたのか謎です。

回答No.8

NURU_osan

No.4で回答したものですが、No.6の回答で挙げられたコヴェントリー空襲について解説ついでに補足しておきます。

　ドイツ軍によるコヴェントリー空襲は確かに事前に英国に察知されていました。しかし、暗号解読の事実を秘匿するために市民を非難させなかったという説は事実ではありません。これは世界的に広く流布されていますが、単なる都市伝説です。暗号解読は空襲に間に合っておらず、英軍は暗号解読以外の方法で空襲を予測できていただけでした。

　コヴェントリー空襲は夜間に行われたのですが、当時のドイツ空軍は夜間空襲の際に電波誘導によって爆撃目標の座標を定めていました。
　英軍はこの誘導電波の傍受と分析からドイツ軍がコヴェントリーを目標にしているらしいと突き止め、誘導電波発信施設の破壊や妨害電波の発信等の処置を講じますがすべて失敗し、市民に対する避難警告が発せられたのは爆撃のわずか20分前。そして、コンヴェトリーが攻撃目標であるという暗号通信の解析結果が出たのは爆撃の翌朝11月15日のことでした。

　チャーチルがコンヴェトリー市民を犠牲にしたという話は、関係者が曖昧な記憶だけをもとに事実関係を確認せずに書き残した回想から生じたデマにすぎません。

　日本海軍はドイツ軍から導入した暗号機エニグマを使っていた（そしてエニグマ1940年には解読されていた）ので、米軍は日本軍の暗号も解読できていた。
　日本陸軍の暗号はトイレットペーパー方式（一度使った暗号表は二度と使わない）なので一度も解読されなかった。

　という説が一般に流布されていますが、どちらも具体的根拠は明確ではありません。
　また、暗号解読には時間がかかるものであり、上述したコンヴェトリーの件でもわかるように、解読できても「間に合わない」ことは非常に良くあることです。
　暗号通信がかなり以前から発せられるような戦略規模の情報に関する暗号通信は解読が間に合っても、敵が何月何日にどこで何をするかというような戦術レベルの暗号通信は解読が間に合わないのが普通です。
　だから「暗号を解読できていた」という話が事実であったとしても、それが「こちらの行動はすべて敵に事前に知られていた」という話にはならないのです。そこまで単純な話ではありません。
　実際、レイテ湾海戦のように暗号を解読されていたはずの日本海軍が米軍を出し抜く例は戦争後半になっても見つけられます。
　そして、情報戦の原則から言えば「暗号を解読していた」「暗号を解読できていなかった」という話自体が本来なら真実を秘匿されるべきことであって、実際には解読できていないにもかかわらず「解読できていた」と公表したり、逆に解読できていたにもかかわらずその事実が公開されないことは当たり前にあることなんです（つまり、世間に流布されている暗号に関する話も鵜呑みにしていいものではないのです）。
　そして、暗号が解読されることを承知で偽の情報を暗号通信で流し、意図的にリークさせることもごく普通にあります。
　だから、「解読された敵の暗号通信」というものは、軍隊の行動を決めるための決定的な要素にはなりません。ほかの情報（捕虜の訊問、戦地で押収した敵の書類・資料、多方面の偵察情報や電波の発信源の探知等）と照らし合わせて裏付けをとって初めて情報としての価値を得るものです。ほかの情報と整合性の取れない敵暗号通信ならば、解読できていたとしても無視（あるいは保留）されます。

　歴史上の出来事を評価する際も、一つの情報だけを信じず、ほかの情報と照らし合わせて総合的に分析しないと正しいことは見えてきません。
　原爆を落とすために云々という話のように、辻褄の合わない杜撰なデマや都市伝説はいくらでもあふれています。
　アホみたいに踊るのも結構ですが、踊ったのは自分自身の愚かさゆえであって、他人に踊らされたなどとみっともない泣き言を後で言わないようにしてください。