chouunsiryuu さん。40代のずぶの素人のおっさんですがよろしくお願いします。
>機械式時計のメンテナンス…
拙い経験ですが…アンティーク歴は20年程度。最初はオメガ・シーマスタースクリューバックケース手巻き。キャリパー600。当時で8万円ちょっと。
現在所有で一番古いのが30年代。実用と趣味でいくらか所有していますがどの時計も姿勢差の時間調整精度で日差15秒以内。50年代のパテックは日差3秒。40年代のバブルバックで10秒程度。機種や個体差、コンディション、ショップ・時計師の力量もあるけど、大体日差30秒以内ぐらいを目途にするショップが多いみたい。
一般にアンティークは大体1960年代ぐらいまでと存じます。購入された時計はクロノか三針か、手巻きか自動巻きか不明ですが、その年までで、あくまでコンディション良好の話で…
プロの方も多々いらっしゃるようですので、当方の誤りはご指摘下さい。ただ、一応日本でも屈指のまともなアンティークショップ数社の共通的意見もあり(行った店だけなら何社か覚えてない)
アンティークとは、稀にデットストックもあるけど、大体が人の手を渡ってきた中古品。以前のオーナーの使い方でコンディションは様々です。上手な時計師が修理しても時間が思うように出ないケースもあります。ただ、時計に思い入れがある、特殊で珍しい、パーツの入手が非常に困難(特に基礎となる地板にダメージがある時等)ですから、新品真っ新の現行時計とは別との考えが賢明です。
その上で、現行機械式の一般的時計も含め主観的見解ですが…
>(1)
昨今問わずで一番は潤滑する油切れが最初の問題です。油の質は向上しています。しかし機械モノですから必ず金属同士の接触や外部からの微細なホコリの侵入もあるので油も汚れます。そのため、機械の性能を維持する、そして部品にダメージを与えないと言うことから定期的なメンテナンスをします。
汚れた油、油切れでは金属摩擦で部品が減って傷みます。場合によって修理しても時間精度が困難になります。当初より性能が落ちる…。
パーツの摩耗が確認されれば、性能維持のため、部品交換は必須。よって金額はUP。それも状態の判断次第です。
>(2)
メンテナンス終了時点から消耗や劣化が始まりますね。例えばメンテナンスを出さず動かなくなったり時間が分単位で狂い出すとなると、通常のメンテナンスではなく、部品交換が発生します。最悪どんどん部品を交換…追加です。金額はその状態次第です。
もし壊れるまで使い切る…最悪パーツ交換でも精度が昔より大幅に出ない…それは最後は個人の考え。他人がモノ申す事では無い価値判断基準です。
しかし…主観ですが…
部品が容易に手に入るなら良いけど、アンティークは時に部品入手が困難(例えば機種・年式に見合うリューズや歯車・子部品が無いなど)
リュウズなんて?と言うかもしれませんが、リュウズと時間を調整する軸の嵌合部でサビ等が生じてガタガタになったら修復は大変。場合によっては交換です。
例えば、気が付かないうちにパッキンが劣化している(機種や時代でパッキンないモデルも多々ですが)ならば、内部の機械、自動巻きのローター等錆びてたら…?さび落し修正もパーツ交換も普通にありますが…。根本的価値の低下。歯車は特にかなりの確率で交換もあります。
大体まともなショップではかなりの確率でパーツのストックや調達ルートを考慮してます(と言っても入手難も多々あるので重大な悩みどころ)。
ムーブメントの部品なら下手すりゃ旋盤挽いて作ります。
ただ、本来の性能に戻るか?そのパーツ代は?
想定できないですが場合によっては予想外の金額にもなります。
一方、外装的(特にリュウズ、ブレスレットのコマ等)は時には困難で必死に探してます。
ご承知で失礼でしょうが、例えばロレックスのリュウズ1個でモノによっては中古でも数万円とか平気でします。それだけ希少。そしてほぼメーカーも持っていません。
一例ですが、日本ロレックスですら、ある年代以前のメンテナンスはお断りです。パーツの備蓄がないです。Ωも機種によっては同様(自己経験、Ω40年代、30ミリキャリパークロノメータ仕様ですけど)。
部品が痛むので一番困難が、歯車を支える基礎となる地板の劣化。重要部分には石(人口ルビー)が入りますが、そうした部分、石の入らない部分での摩耗に伴う劣化は、時間が出ない一番の痛手です。パッと見綺麗そうでも。歯槽膿漏の歯がぐらぐらでリンゴをかじれないのと一緒。どんなに調整してもベースがダメじゃ無理。地板の交換⇒ムーブメント丸ごと交換のレベル。
現行もアンティークも実質変りません。寧ろパーツ単体の肉厚・材質・強度はアンティークの方がオーバースペックの例が多々です。
何で?理由は簡単で、昔の時計はパーツのメンテナンスで長年使えるようなある種の過剰設計。余寿命評価も早々できませんでしたし…。
一方現代は解析や余寿命、材質や加工の容易性や製作の短縮・コスパを考慮して、最適設計が出来ていると思います。そして、現代の時計の多くは、パーツはダメになったらポン付け交換の考えです。
アンティークの時代は価値観や設計の考え方もありますが、組立時の調整でなるべくカバーします。時計師でも、古い使われた時計をメンテするのと、現行の時計をメンテするのでは組み方に伴う時間精度の出し方含めかなり違うし、前者の方が全然難しく腕の差も明確に出ます。
私や周囲のこれまでの経験で、新品現行品は数本たまたまか出来が悪く?パーツ交換(香箱の歯車の歯が欠けた)はありましたが、運が良いのかアンティークでそんな事皆無です(但しゼンマイ切れはゼンマイは消耗品なので除外。でも一度だけ。コンディションや運が良かったのかも…。
>(3)
普通なら5年でも実際動くものです(他人の経験ですけど)。
全然論点悦脱ですが、20年前の使い捨て的なスウォッチの自動巻きは趣味の時計ですが今でも普通に動いてます(この時計、構造上基本分解メンテナンスできません。)。運がいいのかな~?
しかし、潤滑油の劣化等で思わぬダメージがあると意に反してと言う事もあります。
これは極々私の例ですが、ある時期に時計店でムーブメントの状況をチェックしてもらいます。精度・内部の状況等ネ。これでとりあえず今は大丈夫かな…の評価ならば、メンテナンスを自己責任でちょっと先送りします。但しデイリーユース的な時計は問答無用でメンテナンスです。
5年以上長引かせた例は私自身は無いです。
なぜ?良いコンディションで使いたいし壊れたり性能が落ちたら怖い・イヤだからです。
大好きな思い入れの時計を変な扱いで性能を損ねては可哀想…まして、最悪何かで売却の際の査定ではチェックでダメ出しで一発大減額…。
また、前記のように、パーツ交換を伴う修理になるのがイヤですネ。そして最悪地板のダメージで性能が出ない…金かかるし、パーツが無ければ最悪修理不可…所詮『実用品』と思っています。(実際多くの方がTPOや環境条件考慮しながら普通に使っています)
>(4)
メーカーで出来るなら多分きちんと対応できるのですが、パーツがあれば受けてくれる。無ければ不可。前記の通りです。
そして前記と重なりますが、貴方の『アンティーク』の年代にもよりますが、やっていることは一緒なのです。そして、その手の古物の使い込んだ?時計の修理は、正規代理店だろうが何だろうが殆どごく一部の特に有能な時計師です。もしくは年齢問わずメンテナンス経験の多い時計師。
ネットで確かに様々な修理工房を観ます。私も常日頃気にしていました。でも、それは自己責任に伴う事であるし、メーカーで絶対扱ってくれない時計を所有しているので、常に対応策を考えています。上手な店も多々あります。自社製品とはいえ既製品修理とはわけが違う。これは時にご自身で探すしかないのです。時計師の力量・相性・ショップのレベルも多々です。
良いショップはメンテナンスルート、パーツルートを必ず確保しています。貴方の時計の年式次第ですが、古い場合は猶更、メーカーより上手なショップ・時計師もあります。修理が受けられない?要は既に古すぎて自社対応が出来ないのです(パーツも交換ならメーカーオリジナルの新品純正部品でなければならない品質管理もある)
それが困難の状況の時、その道のショップは国内・海外の様々なルートでパーツを入手しストックし修理するルートもきちんと考慮してます。
但しそのようなショップは大変な苦労してます。大体は海外で時計の買い付けの様子ですが、時計のみならずパーツも常に目を光らせている…本物を大事にする良いショップの方々です。
そこら辺の定例なんちゃって宝飾時計店より。安直にメーカー保証?、期限切れの過去の遺物のメーカー保証?無いです。
修理価格はショップ次第ですが、メーカーよりはお値頃なのは確か。
貴方の時計の年式によって、メーカー対応可能なら、そちらも良いでしょう。でもそう出来ない世界もある。趣味嗜好性のある世界でこの先はご本人の心と模索と自己責任です。皆さん同様に悩みつつ、愛用品を大事にされていると存じます。
大事に過去の美品を使うには、配慮と思いやりがあると思います。
人モノも結局一緒では…増しては機械式時計…どこで壊れるかも?…人間だって昨日まで元気でも突然倒れることもある…完璧は無く、何事も生きる・使うに伴う配慮があるように思います。それが無いならどんな高級品でも使い捨て…。
長文愚答ですが…ご検討の一手になれば幸いです。失礼しました m(__)m
お礼
ありがとうございます。 良くわかりました。 とりあえず 針の状態確認してみます。