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特許法の独立特許要件違反が無効理由になっている理由

特許法の質問です。(以下、H23年改正後です) 法126条7項のいわゆる独立特許要件違反ですが、これは無効理由(123条1項8号)になっています。 訂正の効果は、訂正後の明・請・図により特許査定等がされたものと擬制されますが(128条)、 もしも訂正審判における独立特許要件違反があれば、法29条等での無効理由(123条1項2号等)で処理できるように思います。 なぜ、独立特許要件違反も無効理由になっているのでしょうか。 識者の方、ご教示ください。

専門家の回答 ( 1 )

回答No.2

弁理士です。 根拠は、青本にも記載されていないので、推測ですが、H23年改正前に関しては、 訂正審判は、特許全体を対象に請求されるものであるので、独立特許要件違反の効果は特許全体に及ぶのに対し、法29条等の無効理由は、特定の請求項にのみ及ぶことが根拠であるように思えます。 原理上は、例えば独立項1~3がある特許について、請求項2について特許性がないにも関わらず訂正が認められた場合、請求項2のみならず、特許全体について、無効審判請求を行えることになります。ただ、実際は、請求後に訂正請求によって請求項2について瑕疵が治癒すれば、無効理由がなくなることになるので、請求項2についてのみ無効審判を請求した場合と、実質的に差異はないと思います(もしかしたら差異がある場合もあるかも知れません)。 おそらく、立法者は、実際の適用範囲の差異よりも、訂正の要件は無効理由に含めるべきだという考えが最初にあって、123条1項8号に独立特許要件違反が入っていても他の規定と矛盾しないので、わざわざ除かなかったように思います。 H23年改正で訂正審判の対象が請求項ごとも可能になりますが、それでも特許全体や一群の請求項を対象にした訂正審判もあり得ることから、123条1項8号から独立特許要件違反を除かなかったのだと思います。

patent_beginner
質問者

お礼

なるほど。 ただ、とすると、実案の訂正で独立特許要件が課されないのは、単に無審査登録主義だからとは言い切れなくなってしまうようにも思います。 訂正の要件は無効理由に含めるべきであれば、実案もそうしても良いようにも思います。(実案で独立と虚要件を課すのは、やはり個人的には違和感がありますが。。。)

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