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「重力場で運動する物体の質量増加」 一般相対論
重力場での質量増加についての疑問です。 重力場では高い位置にある物体ほど質量が増加する と言われています。 例えば『銀河旅行と一般相対論/石原藤夫』などでは、 重力質量は上の画像の(1)式で与えられる、とあります。 (χは重力ポテンシャル、vは物体の速度です) これは高位置・高速の場合に重力質量が増加することを 示しており、よく納得できるのですが、 一方、『相対性理論/C.メラー』のp.287では、 重力質量は下の画像の(2)の式で与えられています。 式の形式もやや違う上に、このメラーの式を見る限りは むしろ高い位置では重力質量は小さくなってしまいます。 (0が2つ付いているmは固有質量のようです。 おそらく「無重力中」で「静止している」状態の質量だと思います) 2つの本で互いに逆の事を言っているように思えるのですが、 どちらが正しいのでしょうか?何か読み違いをしているのでしょうか? どうぞよろしくお願い致します。 また、この「重力場での質量増加」について触れてある本が 他にありましたら、ご紹介頂けると助かります。
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>高位置になるほど重力質量が減少する いいえ,母星に近いほど,すなわち重力が強いところほど「慣性質量」が増加すると思います。したがって,高く上ればそれが減少するというのが正しい結論だと思われます。メラーの式は,特殊相対論の範囲でいうと m = γm0 に相当するものです。重力の効果が計量因子 g_00 = 1 + 2χ/c^2 によって入り込んでいます。この因子は局所慣性系ではミンコフスキー時空の1に収束すべきものですから,重力が強いほど1から離れていくのが当然です。シュバルツシルト時空が母星から十分離れたところで平坦なミンコフスキー時空に一致する,ということに相当します。 重力による「慣性質量」の増加も,高速度によるそれと同じで,本質的には時間の遅れによって説明されます。
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- yokkun831
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>正しくは dτ = dt/γ でしょうかね? 失礼しました。ご指摘の通りです。 特殊相対論的運動方程式の空間成分 dP/dτ = f (=γF) において, P = m0 dx/dτ= γm0 dx/dt = γm0 v dP/dτ = γdP/dt = γF すなわち, d/dt ( γm0 v ) = F ということですね? m = γm0 をもって相対論的質量というわけですが,これは最近では不要な概念として使わないことにしようという雰囲気があります。一般相対論においてもしかりです。 参考:http://ja.wikipedia.org/wiki/特殊相対性理論
お礼
メラーが(2)式の重力質量に至る計算過程を追ってみました。時空の計量から演繹的に素直に導いているのですが、なるほど、このように素直に得られた結果は、石原氏の出所の分からない(1)式よりも信用が置けると感じました。 しかし疑問が残ります。例えば、水素原子(陽子+電子)などの質量についてなのですが、水素原子は、陽子と電子がそれぞれ単体でバラバラで存在する状態より、結合した状態の方が質量の和が小さくなるのはご存知のとおりだと思います。(基底状態の質量の和<励起状態の質量の和) 量子論の本にもよくあるように、陽子の質量をM(p)、電子の質量をm、水素原子の質量をM(H)、として 〔M(p)+m - M(H)〕c^2=13.6eV です。 つまり、互いに離れた状態の方が(高位置の方が)質量が大きくなります。 そうするとむしろ石原氏の考えの方が正しく、メラーが誤っているようにも思え、矛盾を感じるところです。
- yokkun831
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ひとつ気になることが残っていますので,コメントします。 特殊相対論における運動方程式 d(γm0v)/dt = f,γ=1/√(1-β^2),β=v/c において,慣性質量を m = γm0 であるとして,速さとともに慣性質量が増大する…という議論を一般相対論に拡張したのが,メラーの式であろうと思います。しかし,近年「速さとともに慣性質量が増大する」という立場は,あまり見られなくなっています。それは,運動による時間の遅れ dt = dτ/γ ∴dx/dτ = γv で十分に説明がつき,エネルギーにおいても運動によって粒子のエネルギーが E = γm0c^2 にしたがって増加するとして十分だからです。一般相対論においても,この運動によるエネルギー増加が重力に寄与するとすれば,改めて「重力質量が増加する」という立場をとらずにすみます。そもそも,一般相対論においては「重力」という概念は時空の計量の中に吸収されて実体がなくなりますので,「重力質量」という概念も不要のものとなります。ご紹介のような速度および重力場による「質量増加」という考え方は,時間の遅れで十分説明がつくものとして,近年放棄されつつあるように思われます。 参考:http://okwave.jp/qa/q4398980.html
お礼
ありがとうございます。 >一般相対論においては「重力」という概念は時空の計量 >の中に吸収されて実体がなくなりますので,「重力質量」 >という概念も不要のものとなります。 粒子の軌道を考える場合はそのような考えでよいと思うのですが、具体的に物体にかかる重力の値を知りたい場合、重力質量が必要になる気がするのですが如何でしょうか。 メラーの本においても、物体に掛かる重力の強さFは、重力質量をmとしてF=-m∇χ のように古典力学と同じ形式で与えられる事を変分原理により導いています。mは(2)の重力質量です。ということは重力質量はむしろ必要な概念であるようにも感じます。 さらに、重力質量=慣性質量=相対論的質量だとすると(メラーの本では全て同一のものとしているようです)、相対論的質量の増加もあながち捨て去られるべき概念ではないように感じているところです。 色々疑問が湧いてきました。
補足
お書きになった dt = dτ/γ ですが、 正しくは dτ = dt/γ でしょうかね? 隣の式∴dx/dτ = γv で説明がつくというのは まだ意味が掴めずにいるところです。
- yokkun831
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やはり,(1)がおかしいように思われます。重力ポテンシャルの基準をどこにおいているのかが定かでないので,そのせいなのかもしれません(地表を基準としている?)が,(1)のχが(2)のχと同じものであるならば,地表における重力ポテンシャルχ0が式中に出てこなければなりません。(1)式によると,やはりより高い位置の方が質量が大きくなりますね。先の回答では,v=0の場合にm<m0という点ではOKですが,高い位置ほどm0に近くなる(大きくなる)点を見逃していました。まさにこの点で(1)式は意味不明です。 高い位置ほど重力ポテンシャルは増加してゼロに収束するので,その極限で固有質量になるとすれば,(2)式が妥当であることがわかります。
お礼
(1)は、地表を重力ポテンシャル0として、χ=gx のポテンシャルでのみ 成り立つ式なのかも知れませんね。そう考えると特に矛盾はないように思えます。 問題は(2)なのです。v=0の状態で、χ=gx , χ=-GM/r のいずれのポテンシャルで考えても、 高位置になるほど重力質量が減少するという妙な結果になってしまうのです。 これがどうもよく分からずにいます。 、
- yokkun831
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くわしいことは存じませんが,重力ポテンシャルは一般に負の値をとりますから,(1)においても高い位置で質量は小さくなると思います。式の違いは基準(地表での質量か固有質量か)の違いによるものでしょうね。
お礼
>式の違いは基準(地表での質量か固有質量か)の違いによるものでしょうね。 そうですね。私もそう思うのですが、 どのようにしたら片方の式からもう片方の式が得られるのか、 過程がまず分からずにいます。
お礼
ありがとうございます。 重力質量と慣性質量は同じだと思われますので、 ひとまず重力質量で統一して書かせて頂ければと思うのですが、 そうしますと、メラーの考え「低位置で重力質量は増加する (=高位置で重力質量は減少する)」で問題ないという事なんでしょうかね。 やはり(1)から得られる「高位置で増加する」は間違いである、と。 (1)の本ではかなり堂々と書いてあるのですが。 とりあえず著者の方とコンタクトを試みてみます。 引用文献があるのか、持論なのか、確認してみます。