• 締切済み

鉄砲玉が装甲を貫通する過程

kagakusukiの回答

  • kagakusuki
  • ベストアンサー率51% (2610/5101)
回答No.6

>船の装甲は1m以上ありますし。  装甲厚が1mもある船とは、何処の何という船の話か気になります。  私が知る限りでは、艦船の中で史上最も装甲が厚かったのは、旧日本海軍の大和(II)級戦艦ですが、その最も装甲が厚い部位でも41cmしかありませんでした。  現代戦で対装甲目標用に使用されるミサイルは、成形炸薬弾頭を備えていて、弾頭の直径の5~8倍の厚さの鋼鉄製装甲を貫通出来ると言われていますが、歩兵が携帯する対戦車ミサイルですら、直径が11cm~14cm程度のものが多いのですから、鋼鉄では厚さ55cmあっても役に立たない事になるため、現代では鋼鉄製装甲による防御は有効性を失っています。  さりとて、複合装甲はあまりにも高価ですから、艦船の様な巨大なものには使えません。  そのため、現代の水上戦においては、防御力にも重きを置く戦艦は兵器としては廃れていて、装甲は薄くとも軽快な巡洋艦や駆逐艦クラスが主流となっていますから、1m以上もの装甲を持つ船とは、主力艦ではない、極めて特殊な用途の船だと思われます。  現代戦において装甲を貫徹する事を目的とした弾薬には、色々な種類がありますが、主流となっているのは、成形炸薬を弾頭とするHEAT弾と、高い質量密度と高い強度を兼ね備えた物質で出来た細長い弾芯で装甲を貫徹するAPDS弾(APFSDS弾を含む)です。  成形炸薬弾は、炸薬の前面に円錐形の凹みがあり、その凹みの内側に鉄或いは銅で出来た金属板が張られていてます。  又、成形炸薬弾頭の多くは、後端に複数種類の爆発速度が異なる爆薬によって構成された、爆薬レンズという構造を持ち、成形炸薬弾頭に使用される爆薬レンズの場合は、その部分で平面状の波面を持つ爆轟波を作り出します。  この成形炸薬が炸裂すると、炸薬の後端から進行してきた平面状の爆轟波により、円錐形に張られていた金属が押し潰されて、弾頭の中心軸付近に集まり、その際の極端な高圧により、金属が連続して塑性変形を起こす事で、固体でありながら、まるで液体が流れるような動き(連続的な塑性変形)をするようになり、その一部が前方に向かって進む、収束された高速の流れ、即ちジェットとなります。  この流動性を持つ固体金属のジェットの速度は、数千m/sというどんな弾丸も及ばない程の速度となりますから、金属ジェットが衝突した所には、極端に高い圧力が加わります。  その高圧により、金属ジェットが当たった部分の装甲を構成している金属は、塑性変形によって、固体でありながら液体の様に流動し、土に水流を当てて穴を掘る時に水流の直ぐ外側から泥水となった土が流れ出す様に、ジェットが当たっている箇所の直ぐ外側から、流動性を持つ固体金属が流れ出る事で、装甲には穴が開きます。(装甲を焼き切っている訳ではありません) 【参考URL】  成形炸薬弾 - Wikipedia   http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%88%90%E5%BD%A2%E7%82%B8%E8%96%AC%E5%BC%BE  APDS弾は、タングステン合金や劣化ウラン合金等の、高い質量密度と、高い剛性を兼ね備えた物質で出来た細長い弾芯に、装弾筒と呼ばれる筒状の部品を被せた構造をしています。  砲の薬室内で装薬が燃焼すると、発生した燃焼ガスの圧力を受けて、装弾筒が砲口に向かって押し出されます。  弾芯は装弾筒と結合しているため、装弾筒と共に砲口から発射されます。  砲口から出ると、空気抵抗の力等により装弾筒は分解し、弾芯のみが目標に向かって飛翔します。  APDS弾を撃ち出す時の装薬は高速で燃焼する特殊なものである上に、弾芯は通常の砲弾よりは軽量でありながら、装弾筒という広い面積を持つ部品で燃焼ガスの圧力を受けているため、弾芯の速度は普通の砲弾よりも遙かに高速となり、1400~1700m/sにもなります。  又、弾芯は密度が高い物質で出来ているため、見かけの割には質量が大きいため、弾速が高速である事も合わさって、弾芯は非常に大きな運動量を持ちます。  この弾芯が装甲に衝突すると、弾芯が持つ大きな運動量により、衝突した時の力は非常に大きなものとなりますが、弾芯は細いため、衝突した時の力は狭い面積に集中しますから、弾芯が衝突した部分の装甲に加わる圧力は、極めて高い圧力となります。  そのため、弾芯が当たった部分の装甲を構成している金属は、塑性変形によって、固体でありながら液体の様に流動し、弾芯の前方にあった装甲の金属は、弾芯の表面の直ぐ外側を流れて、弾芯の命中した箇所の周囲から流れ出てしまいまうため、装甲には穴が開きます。 【参考URL】  APDSFS - Wikipedia   http://ja.wikipedia.org/wiki/APFSDS  亀裂が生じた箇所における応力集中は、紙を裂こうとする力が、未だ割れていない部分に伝わり、狭い断面積に同じだけの力が加わるため、単位面積当たりに加わる力が強くなる事によって生じる現象です。  これに対して、成形炸薬弾とAPDS弾の双方において、装甲を貫通する原理は、装甲を構成している物質によって決まる、ある限界の圧力を超える、超高圧を装甲に加える事で、装甲の構成物質を液体の様に流動化させて、砲弾の命中箇所から排除する、というものです。  貫通力を生み出すのは、衝突部分に生じる圧力の高さであり、その圧力は、装甲に生じた亀裂の有無や、鉄の層が多層化されている事には、あまり影響されるとは思えませんから、単一の材質で出来ている装甲を多層化しても、防御力の向上には繋がらないのではないかと思います。

makoji
質問者

補足

>私が知る限りでは、艦船の中で史上最も装甲が >厚かったのは、旧日本海軍の大和(II)級戦艦 >ですが、その最も装甲が厚い部位でも41cmしか >ありませんでした。 当時の砲弾の炸薬はただ爆発するだけです。No.7の補足に書いた私の説明では、同一素材であっても積層構造の装甲が有効ということになります。一層目には、カッターナイフと紙のモデルで装甲を切り裂く、砲弾の運動エネルギーに対処させる。多分にそれはかなり厚い装甲となりますが、でも41cmはないはず。二層目以降は紙を手で裂くモデルで説明できる、爆発エネルギーに対処させる。薄い装甲を何枚も重ねることになります。 この積層構造で大和の装甲を設計したら、史実より強力な防弾効果が得られたのではないでしょうか。 成形炸薬弾は熱エネルギーで装甲の強度が落ちることに注目して、炸薬の爆発エネルギーを、物理的破壊よりも熱エネルギーに特化した砲弾ということですね。 APDS弾も同じく熱エネルギーで装甲を貫通しようという砲弾ですが、こちらは弾芯の単位着弾面積あたりの運動エネルギーを大きくすることで、それを可能にしているのですね。 着弾点の装甲を完全に液状化させてしまうことが可能な現在では、大和などとはまるで違うモデルを考えなければ、これらの貫通を説明できませんね。

関連するQ&A

  • 鉄砲玉を空に打ち上げると…?

    タイトルのとおりなんですが、鉄砲玉を空に打ち上げると、落ちてきた玉が当たって死ぬ、ということはないんでしょうか?テレビでイラクのバグダッド市民がかなり大勢、喜んで鉄砲を空に向かって、これでもか、というほど撃っていたのを見て、ふと思いました。あれだけ撃てば、僕みたいな素人考えでは、大勢の方々が死んでしまうのではないか、と思ったりしてしまいます。 ご存知の方がおられましたら、ぜひ教えてください。 (カテゴリ間違えてたら、ごめんなさい)

  • 惑星が球型になる過程について

    なぜ、惑星はまん丸になっているのでしょうか?地球は丸型ですが、どうやったらあんな美しい「球」になるのでしょうか?教えてください!

  • これは正しいのでしょうか

    先日、アーサー・C・クラークの短編小説を読んでいて気になったことがあったので、質問させていただきます。 短編集「太陽からの風」に収録されている「暗黒の光」の中に、以下のようなくだりがあります。 「レーザービームの集中した光が、一秒の千分の一の時間で厚い鋼鉄を貫通するのを見たばかりに、わたしは人を殺せると思い込んでいたのだった。だが、ことはそれほど単純ではなかった。ある意味で、人間は鋼鉄の板よりも手ごわい代物なのだ。人間は大部分が水であり、金属の十倍もの熱容量がある。装甲板に孔を開ける光のビームも、人間には、痛くはあってもまったく表面だけの火傷をさせるに過ぎないだろう。(一部省略)」 私はSFは好きでも物理や化学などの知識は高校生以下の素人なので、この文章が果たして正しいのかどうか全く判断できません。 もちろん、取るに足らないSF作家の文章なら別に気にも止めませんが、いくら若い頃の作品とはいえ、ハードSFの巨匠のものとなると、それ相当の根拠があるのではと考えてしまいます。 でもにわかには信じられないのです。これは本当に正しいのでしょうか。 おわかりになる方がいましたら分かりやすく説明していただきたいのですが。

  • 空気鉄砲の玉が飛ぶ理由

    飛ぶ理由は玉と筒との静止摩擦力<玉にかかる圧力(筒の中の気圧)となると飛ぶと考えています. そうなると,仮に30cmの空気を15cmになって飛ぶ時と10cmの空気を5cmになって飛ぶ時を比べると玉にかかる圧力は変わらないので,飛ぶ距離は変わらないはずなのに,実際には30cmの場合の方が明らかに飛んでしまいます.なぜでしょうか?

  • 物質の硬さ2

    以前の質問では質問の仕方が悪かったためかよくわかりませんでした。 そのため質問の内容を変えます。 物質の硬さを調べたいのですが(下記表示)、 物質Aでできた剣(斧でも槍でも)と物質Bでできた盾(鎧) か 鉄砲に打ち出された物質Aでできた鉄砲の玉 と 物質Bでできた板 か 大砲に打ち出される物質A大砲の弾 と 物質Bでできた戦車 にぶつけた時に壊れない方はどちらなのでしょうか? そのどちらが壊れないかの硬さの数値を知りたいのでどうしたら調べられますでしょうか? もちろん打ち出す速度や角度などの諸条件も設定しないといけませんでしょうが、どちらが硬いのかの数値がほしいのです。 物質はこんな感じです ○自然素材 藁・竹・木(特にないなら杉の気)・樫・花(薔薇でも百合でも何でも)・紙(画用紙)・綿・絹・皮・砂・泥・石(そこら辺に落ちている)・岩(そこら辺に落ちてる)・珊瑚・肉(哺乳類)・殻(鳥卵)・骨(哺乳類)・甲羅(亀)・鱗(蛇)・羽(鳥)・水(スライム)・瘴気 ○合成素材 お菓子(特にクッキー)・ケーキ(ショート)・チョコレート・カレールー・アリの巣・蜂の巣・紐・合成糸・合成繊維・縄・磁石(ネオジム)・レンガ・ガラス(窓)・強化ガラス・防弾ガラス・ゴム・蝋・プラスチック・ダイナマイト・ナパーム ○金属 鉛・銅・鉄・鋼・ウラン・チタン ○装飾素材 銀・金・白銀・琥珀・水晶・大理石・ダイヤモンド・ルビー・サファイア・エメラルド・アメジスト・アクアマリン・スピネル(バラスルビー)・トパーズ(OH)・オニキス・オパール です。 ()は基準がなかったら参考にしてください。 何でこんなのを調べたいんだ? と疑問に答えるならゲームでデーターの値を使いたいからです。 ゲームだから勝手に値を作ればいいのでしょうが、いい加減な値ではなくちゃんと現実に沿った値を扱いたいのですよ。 ですので変な素材が並んでるかもしれませんが気にしないでください

  • 貫通型と非貫通型

    日本の鉄道には貫通型と非貫通型が有り個人的見解になりますが関東では非貫通型、関西では貫通型の車両が多いように思えます。西と東で何か理由があるのでしょうか?

  • ざぐり部残し肉厚の強度計算について

    構造設計初心者です.M3の六角穴付ボルト(頭径5.5)の頭をすべて隠すために板にざぐりたいのですが,板厚の選定に悩んでいます. 設計要求/条件(簡易化した図を添付しました) ・できるだけ軽量(t5~t8程度が目安) ・4点の締結点に合計で500Nの力がかかる(垂直に) ・ざぐられる板は4点で固定(固定点はざぐらない) ・ざぐり径はΦ7,中央にはΦ3.3の貫通穴 ・材料はA5052 強度計算のため,手計算と構造解析ソフトを用いた計算を行いました.以前振動試験によって残し肉厚が0.5mmの時に破壊した経験があります.繰り返し回数は多く見積もって2.0*10^6程度です. 破壊モードはざぐりの端面(円周の縁)で剪断破壊が起きることだと考え,以下のように計算しました. 肉厚t[mm]の時 tau = (500[N] / 4) / (pi * 7[mm] * t) t = 0.5の時 tau =~ 11.4MPa ↑A5052の剪断強さ/疲労強度に満たない(なぜ?) 構造解析ソフトの結果では,140MPa程度の値となりました. 振動試験で壊れたことを踏まえると構造解析の結果の方が正しそうですが,手計算とオーダーも合わないまま進めるのは怖いと考えております. おそらく応力集中の影響があるのかと考えておりますが,手計算の結果に穴の応力集中係数3をかけても強度計算上問題ないことになってしまいます. このようなざぐり部残し肉厚の計算方法をご存じの方はいらっしゃいますでしょうか. ※OKWAVEより補足:「技術の森( 開発・設計)」についての質問です。

  • アルミ合金鋳物の低サイクル疲労について

    現在設計している部品(アルミ鋳物)の疲労強度を検討する際に、色々文献等を見ていますが、その中で設計中の部品の使用環境が高温⇔常温の繰り返し+機械的な引張りを受ける為、低サイクル熱疲労試験にたどりつきました。そこでこの試験について教えて頂きたいのですが、低サイクル疲労試験は塑性域に達する歪を与える試験ですが、実際に製品を設計する際は塑性域まで使用されないように設計すると思うのですが、この低サイクル疲労試験というのはどういった意味合いを持つ試験なのでしょうか?私の認識が間違っていたら申し訳ありませんが、アドバイスをお願いいたします。 みなさん、アドバイスありがとうございます。 ご指摘の資料等を読ませていただきました。 私なりの考え(文献抜粋)ですが、低サイクル疲労の意義は元々製品には何かしらの欠陥があって(特に鋳造品は)、金属疲労はこのような欠陥等から微視的な亀裂が成長して破壊するため、高サイクル疲労の場合、亀裂先端領域は応力集中により塑性変形しており、この状態を試験片全体に再現して調べることで、疲労過程の様相を明らかにしている。つまりは、欠陥がある場合を想定して早く結果を出す試験ですかね?この試験結果だけで材料の良し悪しを判断はできないと思いますが、1つの判断材料ということですかね。 もっと勉強します。

  • 球の表面積(途中過程もお願いします。)

    半径がaの球を書きます。中心は原点にとって下さい。そこから積分を使って球の表面積を出して下さい。途中過程を宜しくお願いします。

  • 鉄砲

    畑を栽培してまして、鳥避け(追っ払う)に火薬をこめた拳銃で「パンパン」と銃声を響かせて動物を追い払いたいのです。よく運動会のスタートに使用するピストルですかね?何という名称なんでしょうか?Amazonで買えますか?