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トランジスタで、負荷抵抗あるときのIcの決め方
こんにちは。 電子回路は、まったくの初心者です。 一石のベース抵抗ひとつ、負荷抵抗ひとつの 直流増幅の回路を本で勉強しています。 ひとつ疑問があります。 トランジスタの回路を設計する場合、 Icから決めて、逆算して、Ibを 求める、と書いてあります。 (Ib=Ic/hfe) しかし、負荷抵抗がある場合、 シュミレーター(TINA)でみてみると、 ほとんど、計算どおりになりません。 (2SC1815 hfe=100(およそ)と見たとき。 Vcc 5V,Ic=100mAのときRL=50Ω,RB=4.7KΩ。 これで、Icは77mAです)。 いろいろ考えてみたところ、 負荷抵抗により、Vceが下がってしまうので、 hfeの増幅率にならないのだと思いました。 とすると、Icから回路を設計するとしても、 Ic自体にかなりの制限がかかっていることに なります。 最大定格内で、えらんでもhfeが実現できない 場合があるので、計算できないのです。 最初のIcを選ぶ法則のようなものは あるのでしょうか。 何かアドバイスありましたら、 よろしくお願いします。
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お使いの2SC1815のSPICEデータの出所はここ(http://www.madlabo.com/mad/edat/spice/model/index.htm)ですね。このデータは実際の特性とあまり合いません。以下のパラメータのほうがいいです(私はこれを使っています)。 Saturation current →40f Forw. emission coeff. → 1 Rev. emission coeff. → 1 Emitter resistance → 0 Collecter resistance → 760m Base resistance → 50 Forw. ealy voltage → 100 Rev. ealy voltage → 1E30 b-e saturation current → 0 b-c saturation current → 0 Substrate sat. current → 0 b-e emission coeff. → 1.5 b-c emission coeff. → 1.5 Substrate em. coeff. → 1 Forward beta → トランジスタのランクによって値を選ぶ Reverse beta → 3.6 Forw.beta roll off → 250m Rev.beta roll off → 0 b-c zero bias cap. → 4.8p b-e zero bias cap. → 12p Subst. zero bias cap. → 0 b-c builti-in potential → 750m b-e builti-in potential → 750m Subst. built-in pot. → 750m b-c grading coeff. → 330m b-e grading coeff. → 330m Subst. grading coeff. → 0 Forward transit time → 630p Reverse transit time → 25n Energy gap → 1.11 Flicker noise coeff. → 0 Flicker noise exp. → 1 Forw. ealy voltage というのは順方向アーリー電圧のことですが、これが 6V というのは低すぎます。 Forw.beta roll off というのは「ニー(ひざ)電流」といわれるもので、コレクタ電流 Ic がその値より大きくなると hfe が下がってくるということを表わしています。それが 20m というのは Ic > 20mA で hfe が下がってくるという意味ですが、それでは小さすぎます。Forwaod beta は電流増幅率 hfe のことですが、これは2SC1815の型番の末尾につく記号( O、Y、GR)によって以下の値になっています(実物では、C1815という捺印が読めるようにおいたときに、その下に記号が書かれています)。 2SC1815O→ hfe = 70~140 2SC1815Y→ hfe = 120~240 2SC1815GR→ hfe = 200~400 これが400というのは 2SC1815GR に相当しますが、お使いの2SC1815がOランクであれば Forwaod beta の値を70~140にしなければなりません。この値は 100 などの固定値でもかまいませんが、hfe がばらついたときに全体の特性がどう変わるか見るために、Forwaod beta の値を70と100と140と変えてみて特性変化を見るようなこともします。 ご質問の回路のバイアス設計は以下のような手順でやればいいです。 (1) 電源電圧 Vcc を決める(例えば 5V) (2) 無信号時のコレクタ電流 Ic を決める(例えば 2mA) (3) コレクタ抵抗 Rc を次式で決める(無信号時のコレクタ電圧が電源電圧の半分になるようにする) Rc = (Vcc/2)/Ic = 2.5/2e-3 = 1250Ω → 1.2kΩ (4) ベース抵抗 Rb を次式で決める(ベース-エミッタ間電圧 Vbe は普通 0.65V程度にする) Rb = ( Vcc - Vbe )/(Ic/hfe) hfe として2SC1815Oの代表的な値 hfe = 100 とすれば Rb = 217500Ω → 220kΩ (5) hfe がばらついたときのコレクタ電圧 Vc の変動を計算する ベース電流 Ib = (Vcc-Vbe)/Rb = 1.98e-5 A = 19.8μA (これは hfe のバラツキとほとんど無関係) hfe = 70 のとき、Vc = Vcc - Rc*(hfe*Ib) = 3.339V hfe = 100 のとき、Vc = Vcc - Rc*(hfe*Ib) = 2.627V (このとき電源電圧の半分になるようにしたのでほぼ合っている) hfe = 140 のとき、Vc = Vcc - Rc*(hfe*Ib) = 1.678V hfe が変動すると、Vc はこの範囲で変わるので、出力電圧の最大・最小値が電源電圧やGNDレベルで制限されてクリップしないようにするには、出力信号の振幅(コレクタ電圧の変化)は±1.6V未満にしなければならないことがわかります。 (6) 電源電圧が低下したときのコレクタ電圧 Vc の変動を計算する (5)の計算をVcc=3Vで行うと hfe = 70 のとき Vc = 2.103V hfe = 100 のとき Vc = 1.718V hfe = 140 のとき Vc = 1.205V このとき、出力電圧がクリップしないようにするには、出力電圧の振幅は±0.9V以内にする必要があります。つまり電源電圧が3Vまで下がっても正常動作するようにするには出力電圧の振幅は±0.9V以内となるようにします。 なお、最初にお勧めしたSPICEデータを使ってシミュレーションした結果は以下のようになりました。(5)の計算結果とほぼ合っています。 Rb=220kΩ、Rc=1.2kΩ、Vcc=5Vの場合 hfe = 70 のとき、Ib = 19.87μA、Vbe = 0.629V、Vc = 3.296V hfe = 100 のとき、Ib = 19.83μA、Vbe = 0.638V、Vc = 2.593V hfe = 140 のとき、Ib = 19.79μA、Vbe = 0.647V、Vc = 1.678V
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- inara1
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AN.2 です。データシートをつけ忘れました(参考URL)。 ANo.2の最後の文章は以下の誤りです。 今回の質問に関係するパラメータは Saturation current、Forw. ealy voltage、Forwaod beta、Forw.beta roll off になります。
- 参考URL:
- http://www.semicon.toshiba.co.jp/docs/datasheet/ja/Transistor/2SC1815_ja_datasheet_071101.pdf
お礼
非常に丁寧な回答ありがとうございます。 Ic-Vceしか見ていませんでした。 これからはhfe-Icにも注意します。 TINAで、トランジスタを使うときの 特性らしきものは、英語で、まったく意味が 分からなかったのですが(データシートと 見比べてもよく分かりませんでした)、 トランジスタの中に Q2SC1815というのがあったので、 これを使っています。 Saturation current 2.04f Forw. ealy voltage 6 Forwaod beta 400 Forw.beta roll off 20m となっています。 よろしくお願いします。
- inara1
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ご質問の1つは、hfe = 100 のトランジスタを使っているのになぜ Ic/Ib が100になっていないかということでしょうか。それはコレクタ電流 Ic が大きすぎるからだと思います。2SC1815は、Ic = 1mA~10mA で設計します。 Ic/Ib が100にならない理由は3つ考えられます。 (1) コレクタ電流 Ic が比較的大きいので電流増幅率 hfe が低下している (2) Vce(コレクタ-エミッタ間電圧) が小さいため hfe が低下している (3) トランジスタのSPICEモデルが良くない (1)と(2)についてはトランジスタのデータシート [1] を見ると分かります。データシートの2ページの右上に、hfe-Ic 特性が出ていますが、2SC1815 の電流増幅率 Ic/Ib は Ic が変わってもほとんど変わらないという特徴があります。また、Vce > 0.3V であれば Ic/Ib が目立って小さくなることはありません。データシート [1] の2ページの右上に、hfe-Ic 特性が出ていますが、Ic が 100mA を超えるあたりから hfe が低下しています。Vce が小さいほど、小さな Ic で hfe が低下します。シミュレーションしたときの電源電圧が 5V なら、 Vce = 5V - RB*Ic = 1.15V となっていると思います。Vce = 1.15V で Ic = 77mA だと hfe は100よりもかなり小さくなる可能性があります。 こちらの回路シミュレータ(TANA-TIではない)で見たところ、2SC1815(BF=100)、RB=4.7kΩ、RL=50Ω、Vcc(電源電圧)=5V のとき Ib = 0.8978mA、Ic = 70.59mA Vbe = 780.5mV、Vce = 1.470V となりました。この場合 Ic/Ib = 78.6 であり 100 になっていません。RB=47kΩ と大きくして Ic を小さくしたときは Ib = 0.09189mA、Ic = 9.216mA Vbe = 681.2mV、Vce = 4.539V Ic/Ib = 100.3 と、hfe に近い値となります。しかし、Vce が電源電圧に近いので良くありません。トランジスタのバイアス設計は、一般に無信号時の Vce が電源電圧のほぼ半分になるようにします。RL は全体の電圧増幅率に関係するので、小さい抵抗値(50Ω)はあまり使われず、1kΩ~10kΩ程度が選ばれます。RL = 1kΩ、RB = 180kΩ とした場合 Ib = 0.0242mA、Ic = 2.443mA Vbe = 643.3mV、Vce = 2.557V Ic/Ib = 101 となって、Vceが電源電圧(5V)のほぼ半分になり、Ic/Ibの低下もありません。ただし、ANo.1さんがおっしゃる通り、「抵抗ひとつ、負荷抵抗ひとつの増幅回路」は、電源電圧や周囲温度の変動、hfeの個体ばらつきの影響が大きいので実用回路ではほとんど使われません(この回路を選んだのは勉強のためだと思います)。 (3) については、どういうSPICEデータを使っているかによります。2SC1815は非常によく使われるトランジスタですが、Webで公開されているSPICEデータは色々あります。rhedaさんがお使いの2SC1815のSPICEデータはどうなっていますか?TINA-TI の場合、SICEデータを見るには、回路図上のトランジスタの記号をダブルクリックして出た表のType欄の右端にある「・・・」をクリックします。今回の質問に関係するパラメータは Saturation c、urrentForw. ealy voltage、Forwaod beta、Forw.beta roll off になります。
- angkor_h
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通常の設計では、Ibを流してIcを得る、という設計はしません。理由は、Hfeは倍以上の動作範囲をもつからです…温度影響や部品のばらつきで…これを吸収できる設計が本来です…設計Icを流して必要なIbを流し得る設計、です。 なので、 > ベース抵抗ひとつ、負荷抵抗ひとつの直流増幅 というのは勉強(動作の理解)にはなっても実在はしません。この回路では、 計算→実験、では無く、 実験→机上計算でその動作を検証、という手順で勉強してください。 本来の設計方法はその教本の後半には出てくるでしょうが、その時の理解を得るための基礎が現在の単純動作理解のための内容かと思います。
お礼
回答ありがとうございます。 Ic=hfe*Ibとして、Icを得るようなことは ない、ということで、少し安心しました。 理解のための回路として、 勉強してみます。
お礼
回答ありがとうございます。 大変ためになりました。 工作レベルなのですが、 何とか部品を使いこなしたくて、 勉強しています。 本当にありがとうございました。