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パウリの排他律は多電子系において成り立つべきなのか?

grothendieckの回答

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回答No.2

白色矮星はパウリの排他律によって成り立っています。白色矮星の重力はパウリ排他律による縮退圧で支えられていることをR.H.Fowlerが示して以来、常識になっています。嘘だと思うなら白色矮星の解説のどれでも(ただし、もちろん自称専門家の書いたもの以外のもの)を読んでみてください。 http://onogakuenblog.typepad.jp/kitamoto/2008/12/index.html 白色矮星は「パウリ排他律が絶対でない例」ではなく「パウリ排他律が重要であることを示す良い例」です。 通常は波動関数の反対称性からパウリ排他律が導かれると考えるのではなく、パウリ排他律という原理から波動関数の反対称性が演繹されると考えると思います(歴史的には電子の波動関数を反対称化するとうまく行くことから帰納されたものでしょうが)。 パウリ排他律が成立しないような例がないのかといえば、「ない」といってよいと思います。かってはクォークはパウリ排他律に従わずパラ統計に従うのではないかと考えられていた時代もありましたが、南部陽一郎がカラー自由度を導入して以来、クォークもパウリ排他律に従うことが明らかになっています。現在、素粒子、原子核、物性物理学においてパウリ排他律は基本的で常に成立するものとされていると思います。

atushi256
質問者

お礼

解答ありがとうございます。 URLのリンクを拝見しましたところ、なんとなくな「なぜパウリの排他律が重要なのか」イメージわきましたが、具体的な定義が残念ながらありませんでした。 おそらく、素粒子論(標準理論?)のレベルになってしまうので、説明が見つからないのでしょうか。 >パウリ排他律は基本的で常に成立するものとされていると思います。 私もそう思っていましたが、思えば具体的な数学的定義を見たことが無く、今回の質問させていただく結果となりました。 と、ここまで書いて思い立ったのですが、1粒子密度行列を考えたとき RDM(i,j)=<Ψ|C_i^† C_j|Ψ> その固有値(=占有数)は0以上、1以下です。思えば、これがパウリの排他律に相当しているのではないでしょうか?同じ状態(1粒子密度行列の固有状態)を2つ以上の粒子が占有する(=占有数が1より大きい)ことはない。このとき占有数がフェルミ・ディラック分布を満たすのかどうかは、わかりませんが(固有状態のもつエネルギーをどう定義すべきかわからないため)。

atushi256
質問者

補足

結局のところ、素粒子の方にも聞きましたところ、以下の結論に達しました。 パウリの排他律自体は、数学的にかっちりしたものではなく、一電子軌道で波動関数が表されているような近似の範囲内で定義されている。つまり、やはり、厳密に成り立たなければならないようなものではない。そもそも定義がはっきりしないため、成り立つも何も無い。 歴史的には重要で、意味深く、それゆえノーベル賞もとりましたが、現代となっては説明の便宜上イメージしやすいがために使われているに過ぎない。そこから抽象化、一般化した「フェルミ統計(≒交換関係)」が真に満たされるべきもの。フェルミ統計が正しいかどうかは、理論と観測結果を照らし合わせて判断されるべきものであって、今のところ正しいとされている。 「非相対論のハミルトニアンH」の解が「フェルミ統計」を満足するかどうかは自明ではない。しかし、Hは理論的には良い近似であるはずであり、実際相対論が重要ではない範囲で実験との定量的かつ定性的一致を見る。良い近似である以上、フェルミ統計を満足している可能性が高い。場の演算子を用いた場合は、そもそもフェルミ統計に立脚しているので、波動関数はフェルミ統計に従うはず。 以上が今のところの結論です。 私としましては、今のところ十分この結論で満足かなと思っています。

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