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承諾に対する沈黙(商法上)

商法508条1項は「期間を定めないで契約の申込みを受けた者が相当の期間内に承諾の通知を発しなければ申し込みは効力を失う」 一方、509条2項は前項を受けて「諾否の通知を怠ったときは申し込みを承諾したものとみなす」 としています。 509条は508条の特則であって、「平常取引する者」「営業の部類に属する契約」という509条の要件を満たせば509条が優先して適用されるのでしょうか。 承諾に対して沈黙していた場合にどちらが適用されるかによって結論が逆になるような気がするので疑問が湧きました。

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  • ベストアンサー
  • buttonhole
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回答No.1

 商法を理解するには、一般法である民法の基本原則を理解する必要があります。契約が成立するには、申込みの意思表示と承諾の意思表示が合致する必要がありますよね。  それでは、XがYに「お送りした時計を金1万円でお売りしますので、同封の振り込み用紙で金1万円をお支払い下さい。お買い求めにならない場合は、10日以内に購入を希望しない旨を明記して、本商品をご返品下さい。10日以内にご連絡がない場合は、売買契約が成立したものとみなします。」という文書とともに時計を送りつけたとした場合、Yは10日以内に購入を希望しない旨を明記して時計をXに返送しないと売買契約が成立するのでしょうか。(いわゆる「ネガティブオプション」という悪質商法の例)  答えは「ノー」です。民法上、Xの申込みに対して、Yが承諾する義務はないのはもちろんですが、承諾するか否かをXに意思表示をする義務もないからです。ですから、商法第509条というのは、民法の原則の例外を定めているのです。別の例を挙げます。    XはYに「私の所有する甲土地を1000万円で買ってくれないか。」という内容の手紙を郵送してYの手元に届いた。ところが、Zが甲土地を1500万円で購入することを希望してきたので、すぐさまXはYに対して「あの手紙はなかったことにしてくれ。」と申し入れたが、すぐさまYはXに対して「いや、ぜひとも甲土地を1000万円で購入したい。」と言って、Xの申し入れを拒絶した。XとYとの間に甲土地の売買契約は成立するか。  Xの手紙は、甲土地売却の申込みですが、承諾期間については特に定めていません。したがって、申込者が承諾の通知を受けるのに相当な期間が経過していないと、「あの手紙はなかったことにしてくれ。」とXが言ったとしても、申込の撤回の効力は生じませんから(民法第524条)、「いや、ぜひとも甲土地を1000万円で購入したい。」というYの承諾の意思表示により、売買契約は成立することになります。  ここで注意しなければならないのが、仮に相当期間が経過したとしても、XがYに対して申込の撤回の通知をしなければ、依然として、Xの申込みの効力は失われないと言うことです。一方、商法第508条第1項が適用される場合は、相当期間が経過すれば、XがYに申込みの撤回を通知をせずとも、当然に申込みの効力を失います。ですから、民法第508条第1項は、民法第524条の特則と言うことになります。  ですから、509条と508条はそもそも適用される場面が違います。

yamatoya00
質問者

お礼

なるほど、適用される場面が全然違うのですね。 参考になりました ありがとうございます。

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