インドと北朝鮮

質問

今日、新聞の片隅にインドが潜水艦ミサイルの初の実験を行ったという記事が載っていました。
北朝鮮がミサイル実験をしたら、天地がひっくり返るような大騒ぎをするのに、インドにはどうして黙認しているのでしょう？
また、たくさんの国が核を持っているのに、北朝鮮が核を持つのはどうして駄目なのでしょう？
（私は北朝鮮の回し者ではありません）

回答No.4

KITAIKKI

今回のＳＬＢＭの発射実験は、個人的にはインドの現在の軍事レベルではちょっと背伸びしすぎではないだろうかという感想を抱いています。今回の実験の眼目は純粋に、潜水艦発射弾道弾の実用化を目指した実験とでも言えばいいのかもしれませんが、それに伴う軍事プレゼンスの意味合いも色濃いものであることは間違いありません。

　とはいえ、北朝鮮のそれと比べれば確かに今回の実験の扱いは地味ではありますのでそのような疑問も出てきて当然ですが、隣国パキスタンはとてつもないショックを受けていることはたしかです。それに中国も同じように今回の実験を深刻に受け止めています。

　なんと言ってもＳＬＢＭは仮想敵国にとっては厄介な存在になるもので、その存在は実際の戦力以上に過大評価されるものですから。個人的には今回のＳＬＢＭの実験は宿敵パキスタンに対してというより、将来の対立を考えた中国に対する強烈なアピールになったのではないかと考えています。

それでも両国が国際的な舞台に今回の実験の非難と懸念をそれほど強く表明しないのは、ご存知のようにいまのパキスタンや中国が他の重要な懸案や問題に振り回されていて、まだ実用のレベルにさえ達していないミサイル実験にあたふたする余裕がないためです。それにしてもインドはなかなか憎いタイミングで実験を行ったものだなと思っています。いまならそれほど騒がれることもないと言えないこともないですからね。しかし、この好機を逃すまいと無理に実験の日程を圧縮して無理に実施したのか、どうも実験は完璧な成功とはいえなかったようですね。

　余談ですが、北朝鮮がこれまでに行った日本海へのミサイル実験に日本と韓国、それにアメリカ以外の国はどう反応したかといえば、直接の利害関係にならない国々はおしなべてあっさりした反応でした。こっちには生死に関わる重大問題でも、あっちにはなんの関係もないよそ事、なんてことはどんな時代にもあることなんでしょうね。

　とはいえ、北朝鮮の核保有に対して国際的な非難をなぜ受けるかということを考えると、やはりこれは北朝鮮自身の身から出た錆とでも言うしかないと思います。

　インドやパキスタン、それにイスラエルといった国々がなぜいつの間にか核クラブの末席にしれっと座り続けられているかといえば、その所有目的が明確であり、なおかつ使用上のルールを確立しているからです。つまり、その所有目的は自国の安全保障のためであり、使用に際しても先制攻撃や自他共に認める自国の敵以外には使用しないことを内外に暗黙の了解的に伝えているからです。

　ちょっと変な文章かもしれませんが、これは現在拡を保有している全ての国が自覚していることであり、現実的にはこれらのルールをきちんと守っている限りは、どの国も核の先制攻撃を受けることはあり得ないという相互抑止力になっていると言ってもいいかと思います。だからこそ、核を持っていても使えないために通常戦力の向上と蓄積に血道をあげているということです。

　つまり核は抑止力としてのみ存在価値があることをどの国も理解しているのです。翻って北朝鮮はどうかといえば、この核戦力を恫喝と恐喝の道具としてのみに存在価値を見出しているから問題があるのです。
　これまでに北朝鮮は国連の場において、韓国やアメリカに対して「お前の国を火の海にしてやる」なんていう、その辺のチンピラも口にすることも恥ずかしい捨て台詞を何度も吐いてきました。それでもまだ核実験を実施していない時期のこともあって、どの国も嘲笑を浮かべるだけで相手にしませんでした。でも一連の弾道ミサイルの連続発射実験や、中途半端な結果に終わったとはいえ、一応は核爆発を何とか成し遂げた今は、その言葉が現実となって新たな意味を持ち、ひいてはこれまでの言動があればこそ、深刻な懸念に繋がっているということです。

　俗な比喩をすれば、警察官が町で腰に拳銃をぶら下げて歩いていてもだれも気にはなりませんが（最近はちょっと怪しくなってはいますが…）、精神疾患にかかっている人間が同じことをすれば、だれもが不安でたまらないということですかね。

　思いつくままに書いてしまって、取り留めのない回答になりましたが、何かの参考になれば幸いです。

お礼

大変貴重なご意見ありがとうございます。
私は今、北朝鮮という国の問題を出発点から考えてみたいと思っています。

身から出た錆とはどういうことを言うのかわかりませんが、北朝鮮が精神疾患者というプロパガンダ的発想は今や時代遅れになりつつあるのではないでしょうか？
また、核は抑止力であるというのも私には幻想に思えます。
それは、持っている側の論理にすぎないのではないでしょうか？
確かに北朝鮮は公の場で［悪の枢軸］と言われるような発言（失言）をしましたが、政経両面で追いつめられれて、外交的に洗練されていなければ起こりうる事ではないかと思うんですが。
少し反論のような形になってしまって申し訳ありませんでした。