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カルバン主義って

urasima-taroの回答

回答No.1

 質問者は、カルヴァンの「予定説」を学習したのですね。この考え方は、人間を神の定めた目標に向かわせようとするというところにポイントがあります。例えば、人と人との出会いや別れ、病気や事故などの人間生活すべては、偶然や人間の自由意志の選択の結果のように見えますが、これらはすべて神の予定に組み込まれていると言うのです。ですから、人間は自分自身の力で運命を切り開いていくことはできず、ただ、あらかじめ神の予定した通りに人生を歩むだけに過ぎないのです。そしてまた死後、天国への道へ歩むのか、永遠の地獄へ落ちるかは、すべて神が決定しているとし、人間はその決定を知ることも、また、それを人間の善行や努力で変更することもできないというのです。つまりこれは、すべての人間が、その善行によって救いを差別なく与えられるとするカトリックの教えとは、根本的に違います。また、ルターの主張する信仰による救済までも否定するものでした。ですからカルヴァンの場合、「生きるも死ぬも神にまかせて」という絶対他力の信仰態度が生まれてくるのです。実際、自我を捨てて神にまかせきるという態度は、信仰者に求められる態度だと私は思いますし、カルヴアンは、「予定説」からこうした信仰の態度を導きだしたのです。しかし、このカルヴァンの考え方は、一方で耐え難いほどの不安を信者に与え、自分が救われる方の人間であることを自覚したいがために、逆に懸命になって、神から与えられた使命を全うしようと考え、これが、次に述べる「職業召命観」での神の栄光を増すための、職業労働への専心となって表面化してくるのです。  「職業召命観」は、ルターが唱えたものですが、カルヴァンによってさらに発展的に受け継がれていきました。この「職業召命観」は、すべての職業は神から与えられた神聖なものとする考え方で、カルヴァンの場合、その職業は神が一人一人の個性を見抜いて与えたもので、その職業に勤勉であることは、とりもなおさず神を祝福するものであるとされたのです。そして勤勉に働くことが奨励され、その労働の結果、お金を蓄えることも肯定されていったのでした。特に、この富の蓄積に関しては、中世では商品を売買して利潤を得たり、お金を貸して利益を得ることは神の意志に背くとされ、ルターさえもこれを積極的に認めませんでした。しかしカルヴァンは、物質的な富を追求することは、必ずしも信仰深く生活することと対立するものではないとし、正しい富の追求は、神の恩恵として認めたのでした。このため、この考え方は、新しく勃興してきた商工業者(新興市民階級)らの新しい職業倫理として歓迎され受け入れられていったのです。そしてこれが、資本主義社会発展の大きな要因となっていったのです。なお、カルヴァンは単なる「金もうけ」を肯定したわけではありません。働くことそのものにのみ価値があり、利潤はあくまでもその結果です。ですから、労働によって得た利潤は、さらなる投資にまわされ、決して浪費にまわされることはありませんでした。こうして、カルヴァン派の人々は勤勉な労働を繰り返すことによって、ますます利潤を増大させ、結果として資本の蓄積を可能としたのでした。・・・カルヴァンの考え方を全体として見られたら、その広がりの理由もおわかりいただけるのではないでしょうか。  

noname#63150
質問者

お礼

「生きるも死ぬも神にまかせて」ですか。そこで「どうせ私の人生もう決まってるんだからこのさい何もしないでいいや。」なんて事にならなかったのかが心配です。でも自分の職に熱心になれると言うのはいいですね。確かにカルヴァンの考えだったら商業が発展できますね。宗教が生活に大きな影響をもたらすって事が改めて分かりました。丁寧に回答してくださってありがとうございます。

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