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放射計の真空度
クルックスが発明したといわれている、放射計(ラジオメーター)についての疑問です。 羽根車が回転するのは、黒い面と白い面との放射吸収の違いにより、その付近の空気に温度差が生じ、板に空気分子が加える圧力に差が生じるためだ、といわれています。 では、空気を薄くしないと、羽根車が回転しないのは、どうしてなのでしょうか。簡単には説明できないものかもしれませんが、わかる方がいられたら、よろしくお願いします。 また、中の真空度はどの程度なのでしょうか。ガラス容器で密閉した所に羽根車を置いて、容器内の空気を、高校にある真空ポンプで抜いていくと、はじめは回らなかった羽根車が回りだす、というレポートを、私はどこかで読んだことがありますから、中の真空度は油回転ポンプで達成できる程度だとは思うのですが、自分で実験したことがありませんので、わかる方がおられれば、よろしくお願いします。
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昨日の小惑星見物でレスが遅くなりました、サイト紹介ありがとうございます、食事しながら読みいりました。 (1) 超高真空で作りが完ぺきなら、純粋に光圧だけで回転する、回転方向は白面が押される。 (2) 平均自由行路がガラス球の径のオーダー(数センチメートル)ほどの低圧なら、(私が記憶していた)希薄気体は非粘性流体に近く、孤立粒子によって 羽根表面⇔ガラス内面を直行輸送するモデル(回転方向は黒面が押される)も有り得るが‥‥ (3) 実際の製品は それよりもさらに圧力が高く、平均自由行路がミリメートルのオーダー。それでも十分に非粘性流体であり、白面と黒面の温度差で駆動される「液体ヘリウム噴水」のような表面に沿った移動。圧力勾配を伴う移動ではない。熱い黒面から運動量を受け取りつつ 縁まで移動して白面へ‥‥黒面の縁が押され回転する方向。 ヘリウム噴水を思い出すと 流量的には(2)よりこっちの方が遙かに大きそうなイメージが‥‥。ラジオメーターは昔買ってベランダで直射日光に晒して置いたらやがて回らなくなった思い出があるきりです、支針がすり滅ったのか真空度劣化かわかりませんが。何かで読んだきりで(2)の定量っぽい計算を一度も試みたことが無かったです、これは反省しつつやってみます。 検索でレイノルズ、マクスウェルを追うとこれへの言及が見られますね、私も勉強させていただきます、たいへん有り難うございました!
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- Teleskope
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>> 日光に当てている限り速い回転が限りなく持続します。 << 記憶ですが、陽当たりが一定してるベランダに置きっぱなしにすると、当初はすごい勢いよく回り(カラカラと音が微かに聞こえるほど)ますが、10分もすると、回転速度が一段落して それ以降は ゆっくりトロトロとした一定の速度で回ってました。いわゆる「熱平衡」状態です。 ガラス球が日射で温まったからだと思います。 >> エネルギーの流れから見ると、入射する光のエネルギーが、羽根の中にある固体分子の熱運動のエネルギーに転換され、更にそれが薄い空気の熱運動のエネルギーに変わっています。それは最後に管壁から外部に熱の散逸となって消えうせるでしょう。 << それはまさに「熱機関」の図式ですね 日射→黒面(高温源)→気体分子→ガラス表面→放射や対流→大気(低温源) です。高温源から低温源への流れの途中にある水車です。当初の勢いが良いのは ガラス球自体の温度が低いことが大きいでしょう。もし現物をお持ちなら定常回転になってる状態に 気温より冷たい水をかけてみればいかがでしょう。 「暑い屋外から屋内に移すと逆回転する」とお書きのことも温まったガラス球からの熱流が反転するからと思います。熱平衡に達するまでのあいだ。(室内光では回らないです。) >> 羽根を構成する高温の固体分子と、それより温度の低い周りの気体分子との衝突が続けば、後者の分子の温度が徐々に上昇していくでしょう。「必要な条件は周囲の空気が黒面より低温なことです。」とありますが、空気と黒面との温度差が持続し続けるのは、なぜなのでしょうか。 << 太陽(約 6,000度の高温源)光は1気圧でも低圧でも同じように通ります。 ガラス球周囲の空気は少し暖まると自由に対流しますが、 中の羽根は 低圧気体の中に孤立なので 熱を持ち去ってくれる分子の数が圧倒的に少ないです。(熱抵抗が大きい。) だから太陽にチリチリあぶられて高温に。 熱機関の効率は 効率 = 1-低温/高温 低温側は周囲の常温だから、羽根が高温なほど良いです。 この面からも気圧が低い方が良く回りそうですね。 余談ですが、高真空中に於いて 黒面からの電磁波の放射が白面より大きいから その差で黒面が押されて回転するというモデルでは、電磁波を持続する供給ルートが考慮されないと永久機関になってしまいます。 外からの照射という供給ルートも考えると、黒面は吸収するだけに対し白面は反射してるからほぼ2倍の運動量変化なので白面が押されて回ることになります。しかし観測事実は黒が押されて回るので、マクスウェルは「光の運動量ではない」と即断した、と聞きました。偉人伝的な脚色がある話かも知れませんが。 (計算は略しますが光圧は微弱すぎます。)
お礼
ややこしい問題に再び解答していただきまして、ありがとうございます。この問題にマクスウェルも取り組んだことは、初めて知りました。彼が気体分子運動論で功績を挙げた人だったことを思い出しました。私の理解にまだぼやけた部分がありますが、とりあえず私の疑問に付き合っていただきまして、ありがとうございました。
補足
英語のHPを検索していて、次のような詳細な記述を見つけました。http://science.howstuffworks.com/framed.htm?parent=question239.htm&url=http://math.ucr.edu/home/baez/physics/General/LightMill/light-mill.html それによると、放射計が回転する原因の理解は何やら難しい問題を含んでいるようです。羽根の板の周辺(へり)で生じることが、羽根の回転に関係しているようですが、マクスウェルの論文を読まないと、私には正確な所はわかりません。
- Teleskope
- ベストアンサー率61% (302/489)
高真空では駄目で、適度に減圧されてるから快調に回っていられるのですね。 黒い面は光(電磁波)を反射しませんよね(だから黒いのですが)、反射されなかった光は面の固体分子が吸収して自身のランダム運動つまり熱になっています、白い面より高温になっています。 で、必要な条件は周囲の空気が黒面より低温なことです。 低温な空気分子が高温の固体分子に衝突して 入射より速い速度で跳ね返る、その運動量授受で黒面が反対向きに動きます。(つまり誤説とは動きが反対向きなのです。) で、 気体分子はお互いに衝突して情報交換をします。気体が濃いと 面で反射した分子がすぐ他の分子に衝突して温度を分与するので 冷えて遅い分子が面に届きづらい、行き着くまでに反射した分子によって温められてしまう。(巨視的に見ると暖かい空気層が覆ってる状態。流体力学の境界層の話とほぼ同じです。) で、 低圧なら気体分子の間隔(平均自由行路)が大きいので、冷えた分子が黒面まで行きやすいのです。 しかし あまり低圧だと、分子の絶対数が少なすぎてうまくない、羽根のサイズ程度の平均自由行路になる真空度が良いらしいです。 念のため、これをクルックスが発明した時、マクスウェル電磁気学から結論される光の反射による運動量変化が原因である、という風説がありましたがマクスウェル自身が違うと否定しました。 回転方向を見れば一目瞭然ですが。 ところがこれが日本に持ち込まれたとき風説の方が神秘的なので好まれて広まったそうですが今も残存してるようです。
お礼
大変親切丁寧で、説得力のある解説をしていただきまして、ありがとうございます。私の思考が前進することができました。感謝します。
補足
非常に説得力のある説明で、なるほどなるほどと、納得できます。 ですが、更なる疑問は次々に出てきます。 放射計を日光に当てている限り、速い回転が限りなく持続します。羽根を構成する、高温の固体分子と、それより温度の低いその周りの気体分子との衝突が続けば、後者の分子の温度が徐々に上昇していくでしょう。「必要な条件は周囲の空気が黒面より低温なことです。」とありますが、空気と黒面との温度差が持続し続けるのは、なぜなのでしょうか。 もちろん、衝突により高速化された気体分子は羽根から離れ去り、ガラス面で冷やされて、再び羽根に戻ることは、あるでしょう。しかし、それでも、黒面分子の熱運動とそれに接触している気体分子たちの熱運動との間で、運動の激しさの差が持続することは、やはり説明し切れてないのではないか、とも思います。よくわかりません。 エネルギーの流れから見ると、入射する光のエネルギーが、羽根の中にある固体分子の熱運動のエネルギーに転換され、更にそれが薄い空気の熱運動のエネルギーに変わっています。それは最後に管壁から外部に熱の散逸となって消えうせるでしょう。また、羽根や中の空気やの熱放射としても、エネルギーが消えていくでしょう。そういうエネルギーの流れ全体の中にあって、黒面とそれに接触している気体の間に、熱運動の激しさの差が持続することは、どういう理由によるのでしょうか。 数式なしの説明では限度があるかもしれませんが、できる範囲で結構ですので、お答えいただければ、ありがたく思います。よろしくお願いします。
- moby_dick
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その動く原理を誤解されています。 動くことに空気分子は関与しません。 理想は完全な真空です。 動く原理は、熱線(電磁波)の放射のためです。 つまり、光など電磁波は運動量をもちます。 それで物質にぶつかったり、物質から飛び出すときに、物質に力が作用されます。 この場合は、熱線の飛び出す反動の力が羽根に加わります。 白い面と黒い面で温度が違い、熱線の放射量、強度が違い、熱線放射で受ける反動力が違うため回転する訳です。
お礼
ご回答していただきまして、ありがとうございます。 黒面や白面からの熱放射は確かに存在しますし、その熱放射の量は温度の高い黒面の方が白面よりも多いことも確かです。そして光子は運動量を持ちますから、光子の放射後の物体は、その放射と逆方向に力積を受けることも確かです。しかし、その力積の量は、羽根を回転させるには少なすぎるのではないでしょうか。 また、こういう事実も考えてください。放射計を十分に日光に晒した後に、羽根の回転を無理に止めて、放射計を暗室に置くと、羽根は最初とは逆な方向に回転しだすのです。 私はあなたの説明は無理があると思います。
補足
ちなみに、私は黒面と白面との熱放射による反跳圧の差を計算してみました。熱放射によるエネルギー放出総量Eは、シュテファン・ボルツマンの法則より、E=σT^4 。光子の運動量PとエネルギーEとは、E=pcの関係がある。温度は白面=300K、黒面=310Kと仮定。羽根の面積は1cm^2をすると、羽根が受ける力の差は7.6×10^(-19) N になります。また、黒面温度が400Kと仮定しても、力の差は7.6×10^(-18) N です。この大きさの力では羽根は動かないでしょう。
- mtld
- ベストアンサー率29% (189/643)
ググッたら出てきましたよ 検索を利用しましょう 質問せずとも 早く答えが得られます
お礼
ご指摘いただきまして、ありがとうございます。 「光の吸収の大きい黒く塗った面がより暖められ、黒い面に接触した気体分子により大きな運動量を与えるために、その反作用の差によって羽根車は回転する力をえる。回転する速さはラジオメーター内部の気体分子の数が多いほうが(真空でないほうが)早い。」 上記の記述内容をより詳しく解説していただいたのが、ANo.3の方のものですね。
補足
私は、ANO3の方の説明が正しいと思いますが、この説明には一つ問題点があります。 (羽根板が周囲の空気から受ける圧力) =(羽根板の分子と空気の分子との衝突によって羽根板に与えられる、力積)×(1秒間の衝突の回数) 上式が、気体分子運動論における、気体が物体に加える圧力、の捉え方です。 ANO3の方の説明では、(羽根板の分子と空気の分子との衝突によって羽根板に与えられる、力積)について、 黒い面での値のほうが、白い面での値よりも、大きいことを指摘していますが、 (1秒間の衝突の回数)についての考察が、欠落しています。 (1秒間の衝突の回数)は、白い面での値のほうが、黒い面での値よりも、大きくなるでしょう。 このことを考え合わせると、上の式より求まる、(羽根板が周囲の空気から受ける圧力)は、 黒面と白面とで、どちらのほうが大きいのか、についてはなんとも言えないことになります。 私は、おそらく、それらは等しいことになるのではないかと、思っています。 そのために、レイノルズやマクスウェルは、別の説明を考えなければならなかったのだと思うのです。 ANO4にあるWebページの解説によると、羽根板の縁で生じる効果が重要なようですが、 その詳細は私にはまだわかりません。 なお、この文は、ANo4の投稿の後で書き込みました。私の意見をこのページに書き込むには、それしか方法がなかったからです。あしからず、ご了承ください。
お礼
親切に私の疑問に付き合っていただきまして、ありがとうございます。 羽根の板のヘリで起こる効果については、その内容を私はまだよく理解できません。雑誌"Royal Society Phil.Trans.(1879)"が手に入ればいいのですが、そのあてもありません。英文のインターネットのさまざまなWebページを検索して、わかりやすい解説を探しています。
補足
(1)について。 私の計算では、光圧が羽根を回転させることは、不可能です。 日光の入射エネルギーを太陽定数と仮定すると、その値は I =2[cal/分・cm^2]=1400[J/sec・m^2] 日光が羽根に垂直に入射するとして、 羽根が受ける光圧をP[N/m^2]とすると、 I=Pc の関係があるから(cは光速=3×10^8[m/s]) P=4.7×10^(-6) [N/m^2] = 4.7×10^(-10) [N/cm^2] となります。白い面は上の値の2倍の光圧を受けることになります。 黒面と白面との、受ける光圧の差は、結局 4.7×10^(-10) [N/cm^2] です。 この力は、羽根を動かすには、あまりにも小さすぎます。 (2)(3)については、私はまだよく理解できません。