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日本は核保有国になれるのか?
あくまでも技術的な話です。原発での濃縮割合を上げるなどして国内で戦術核として機能する兵器がつくれるのでしょうか。またペイロード2トンとして発射地から2000キロ以内の目的地までミサイルなどで精密誘導・運搬する手段まで含めてどれほどの期間で開発可能でしょうか。また日本の西方2000キロ以内で戦術核の爆発があった場合、日本への影響はどんなものでしょうか。もし影響が大きい場合(クリーン?といわれる中性子爆弾もコアとなる原爆は相当な被害がありそう)核兵器は抑止力にならない可能性もあるのでは?もちろんそういうことがないほうがいいに決まってますが、仮に、という質問です。
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周知の通り、核兵器にはウラン235を原料とする『広島型原爆』と、プルトニウム239を原料とする『長崎型原爆』の2種類があります。『ウラン(広島型)原爆』は原料の確保は困難だが、起爆方法は簡単であるのに対し、『プルトニウム(長崎型)原爆』は原料の確保は原子力発電所を運転していれば容易ですが、起爆装置の製造が困難と言われています。 現在の日本の原子力開発水準では、既存の施設からウランであれプルトニウムであれ、原爆に必要な量を随時確保することができます。起爆方式についても、広島型の『ガン・バレル(砲撃)式』は、大学生でも製作可能と言われているほど簡単です。一方、製作が困難と言われる『インプロージョン(爆縮)式』については、実は1973年に、当時の通産省工業技術院物質工学研究所(現在の独立行政法人・産業技術総合研究所)が極秘裏に既に基礎実験を終えています。この事実はほとんど知られていませんが、日本は既に爆縮技術を獲得しており、プルトニウムを原料とする爆縮型の原爆を製造することは、技術的には何ら問題ないのです。 プルトニウムはウランと比較すると少量で臨界に達し、核起爆装置も爆縮型の方が小型化に適しており、今後、製造される核兵器は、長崎のプルトニウム爆縮方式であることは、世界の潮流になってます。 次ぎに核兵器開発までの時間ですが、米ルーズベルト大統領が原爆開発に取り掛かるように命じたのは、真珠湾攻撃の前日(米東部時間)の1941年12月6日のことでした。史上初の原爆開発プロジェクト『マンハッタン計画』が本格的に稼動するのは、1942年9月17日からで、以後、原子炉、使用済み核燃料棒からのプルトニウム抽出工場、ウラン濃縮工場、そして、核兵器組み立て工場であるロスアラモス研究所などが、次々と建設されました。同時に、当時の世界最高の核物理学や治金工学の専門家達が集められ、最盛期には五万人の労働者が動員されました。当初の予算は1億3000万ドルでしたが、最終的には20億ドルと15倍にも膨れ上がったといいます。 そして、最初の兵器級プルトニウムがロスアラモスの組み立て施設に搬入されたのは、1945年6月1日のことで、それから原爆が組み立てられ、史上初の原子爆弾『トリニティ』の原爆実験が行われたのは、7月17日でした。この事実は、原料が確保され、起爆装置が完成していれば、核兵器は一ヶ月ほどで実戦可能になることを示しています。 60年前の科学水準で試行錯誤しながらのマンハッタン計画では、3年間で核兵器を開発させました。一方ソ連の原爆開発プロジェクトである『ヴォロジノ計画』がスタートしたのは45年8月20日であり、ソ連初の原爆『タチヤナ』の核実験が成功したのは49年8月29日のことでした。ソ連はスパイを潜入させ、アメリカから技術情報を入手しながらも、完成するまで4年もかかっています。 以上の経緯から、現在の日本の研究施設や関連工場、情報の蓄積、先端技術を活用して、開発に着手すれば、1年余りで核兵器を開発することができるでしょう。 元来、攻撃目標に対する爆弾の投下やミサイル攻撃の命中精度ば悪かったために、破壊力の大きな核兵器が開発されたという経緯があります。ミサイルの命中精度は、発射したミサイルの半数が目標から何m以内に着弾するかという『半数必中界(CEP)』という単位で示されます。北朝鮮のノドンの場合、CEPは、2.5kmと言われていますが、イラク戦争などに登場した精密誘導弾などのCEPは数mです。誤差がほとんどなければ核兵器でなくても、目標を確実に破壊できるわけで、もはや都市を丸ごと破壊させるような1メガトン(広島型の77倍)といった巨大な破壊力は不用になっています。せいぜい1キロトン(広島型の13分の1)程度の核爆弾や核弾頭で今は充分なのです。 日本が核兵器を開発する過程において、新設しなければならないのはロスアラモス研究所に相当する核兵器組み立て施設です。開発する核兵器はプルトニウム爆縮方式であることは既に述べましたが、それは小型化を前提としたものです。 北朝鮮の核兵器は従来の技術のため小型化するのが困難と言われ、長崎に投下された5tほどの大型爆弾と推定されています。核兵器先進国の米・露においては、核兵器の核である金属プルトニウムの球体は、ゴルフボール大です。 北朝鮮と違って日本は、核兵器の小型化の諸問題を解決させる能力があり、小型核兵器を作るこは充分可能です。 以上のような状況のなかで、日本が開発する核爆弾は米軍の『B57戦術機用小型原爆』が参考になると思われますが、同時に政治的兵器としてのミサイルに搭載する核弾頭も製造されることになるでしょう。 また、北朝鮮を目標とした効果的な核兵器という点で考えれば、地下の金正日執務室やノドン・ミサイル基地を直撃する『地中浸透核爆弾』を製造する必要があります。アメリカでは、数年前から『ロバスト・ニュークリア・ぺネトレーター(強力核地中浸透弾)』の研究のため、毎年1500万ドルの予算が認められ、開発が急がれています。 長崎型爆縮方式について、無知な軍事評論家達は、核実験しなければ完成しているかどうか分からない、と解説しています。そのため、北朝鮮や日本には核実験場がないため、完成させることが困難だといいます。しかし、核実験には『ホット・ラボ』と『コールド・ラボ』という2つの方式があり、前者がいわゆる核爆発実験であるのに対し、後者は核爆発を伴わない核起爆装置の実験です。爆縮型の原爆は起爆装置の完成が、核兵器の完成を意味するのです。 1993年7月、パキスタン陸軍のアスラム・べグ退役参謀長は、『パキスタンは1987年に一線を超えた。起爆装置を開発し、原爆実験に成功した。実験はコールド・ラボ状態で行われ、大成功を収めた』と語っています。 コールド・ラボ実験は、核物質以外は完成した核兵器を使用して、核起爆装置を爆発させ、衝撃波の画像処理を行う超高速測光機やハイテク・センサーなどで、その成否を検証するものです。 核実験は軍事技術的な確認と同時に、核保有を全世界に周知させるという政治的側面もあります。しかし、ホット・ラボ実験をしなくても、核保有している実例はイスラエルにもあります。 大型の核爆弾であれば、米軍のB52のような爆撃機を必要としますが、小型核爆弾であれば、航空自衛隊が保有する『F15J』要撃戦闘機に搭載可能です。 当初、F15戦闘機は制空戦闘を任務として設計されたため、核爆弾搭載用にはできていませんでした。その後、米空軍は複座式のF15D(航空自衛隊の場合はF15DJ)に核爆弾携行能力を追加し、核搭載用のF15Eを新たに配備しました。日本が開発する時に参考になるのは『B57戦術機用小型原爆』と推定される理由は、F15J/DJが携行できるものにしなければならないからです。B57核爆弾の全長は、3.02m、直径0.38m、重量が230kgです。これにロケットを追加し、投下距離を延長させることも可能です。 一方、核弾頭を搭載するミサイルは、文部省宇宙科学研究所(現在の独立行政法人・宇宙航空開発機構)が開発し、昨年5月小惑星探査機『はやぶさ』を打ち上げた『ミュー5(M-V)』を利用することになるでしょう。『ミュー5』は、3段式の固体燃料ロケットで、2段式に改良する必要があるかもしれません。
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- sudacyu
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日本政府が本気になって、研究者・企業が一致協力すれば、核実験をしない場合は(ですから必ず爆発するとは限りませんが、99.99パーセント爆発するでしょう)、時期によっては1ヶ月で可能です。 自衛隊のミサイルは、防衛用で2000キロの射程はありませんから、人工衛星発射用ロケットを使うことになります。 ちょうど、人工衛星打ち上げの予定があって、ロケットの組み立てが完了していれば、これを使用出来るので、1ヶ月でミサイルに改造できます。 人工衛星打ち上げ用ロケットであれば、衛星軌道に1トン以上の衛星をうちあげていますから、2000キロはなれたところに、数トンのものを打ち込むことは可能です。 爆弾が巨大(2トン以上になるとおもいます。)になってもいいのですから、プルトニウムを使用する必要はなく、ウラン235を使えます。現在の設備でも爆弾として爆発する最低限の臨界量に濃縮することは、何とか可能でしょう。兵器としての性能・効率は限りなく低くなりますが。 戦術核の影響は、広島・長崎から2000キロ以内の日本人が生きて繁栄?しているところから、判断してください
お礼
仕事が終わって帰ってきたころいつもこのサイトに入れない状況で、お礼が遅れてしまいたいへん申し訳ありませんでした。たいへん参考になりました。ありがとうございました。
お礼
このサイト入れないどころかパソコンが固まってしまい、たいへんお礼が遅れてしまいまい申し訳ありません。ご回答を読ませていただきいろいろと考え込んでしまいます。今や当事者のうちどちらかが全く無傷ですむ戦争というものは存在せず、「消耗」されるものの中に大量の人命が含まれることを考えるとやはり、いかなナショナリズムや愛国心をもってしても戦争は絶対に避けなければならないと感じた次第です。軍事テクノロジーはその目的のためにこそ使って有用かと思います。最近友人の葬式に出席してそう思います。ありがとうございました。