• 締切済み

「慣性力」を”見かけの力”と定義しているのは何故?

ddtddtddtの回答

  • ddtddtddt
  • ベストアンサー率56% (177/314)
回答No.7

 #4です。 >・・・そもそもプリンキピアでは,その定義3において「物質の固有力」という言葉によって慣性力に相当する力を実在のものとして説明しているのは良く知られた事実である.」  事実です。たぶんこれだと思います。 「物質の固有力とは、各物体が、現にその状態にあるかぎり、静止していようと、直線上を一様に動いていようと、その状態を続けようとあらがう内在的能力である」  これを取ってきたのは以下のURLで、プリンキピアで具体的には何が行われているのか雰囲気を知るためには、非常に参考になると思います。   http://fnorio.com/0159Principia/Principia.html  ニュートンは、今日ニュートン力学と言われるものをつくったわけではありません。ニュートンはあくまで「ニュートンの力学」をつくったのであって、それに後年の解釈を加えたものが、現在のニュートン力学です。なので上記URLにある、次の解説は妥当だと思います。 「・・・これらの諸量は力学法則と表裏一体の関係にあり、それらを通してしか定義・認識できないものです。だから、これらだけを取り出して定義しても曖昧なところがあるのは仕方が無いことです。なにはともあれ、それらの量が法則の記述に必要なものであることが初めて認識され、特に重要な質量、加速度、力、運動量がここで初めて明確に導入されたのです」  「物質の固有力」に文句はありませんよ。これは「重い(質量の大きい)物体ほど速く動かせない(正確には加速度が小さい)」という経験事実について述べたものです。ただこれは「今日的な意味での力」ではないというのが、現在です。今だったら「物質の固有の能力」とでも言われ、それは運動方程式F=maと第一法則(慣性法則)に集約されます。  ではニュートン自身はどう思っていたのか?。ニュートンは「物質の固有力」を第一法則の根拠にしてました(現在では第一法則と第二法則である運動方程式を認めれば良いとなります(^^;))。上記URLには残念ながらのっていませんが、プリンキピア冒頭の総則に当たる部分で、ニュートンは次のような態度を取ります。 「私は自然の数学的関係だけについて述べる。なので私が衝撃とか圧力とか重力とか言っても、それらは全て現象を説明するための数学的用語であり、現実の物理力として重力などを導入したのではないという事を注意して欲しい」  これがニュートンの公式態度です。つまり慣性力も数学用語であり、それが実在するかどうかは問わないと。そもそも見かけの力かどうかという問題がない訳です(^^;)。しかしニュートンは最後の錬金術師・魔術師でもあります。「重力は神のエージェントが伝える」と思っていたのがニュートンだと、自分は思っています。神のエージェントとは天使の事です。翼の生えた綺麗な人というイメージとは、だいぶかけ離れますが。17世紀生まれのニュートンは、そうした己の信念が、既に時代にそぐわないのを認識し、注意深く本当に信じているところを隠していたと思われます。だからニュートンが、慣性力を実在の力と考えていた可能性は濃厚ではあります(^^)。  さて慣性力に対する今風の解釈ですが、前回言いたかったのは、慣性力に発生源は見当たらないが、その発生理由は明確ですよね?という事です。発生理由は、観測者が勝手に走り出したからです。でも観測者が勝手に走り出す事は、いつでも出来ます。そんな人間の恣意性に自然が左右されるわけない、という経験事実(もしくは思い?)を表すのが、「見かけの力」です。だって観測者がどんな状態にあろうと、観測される方の物理的状態が変わるわけないじゃないか!。特に観測される方は、慣性系にいるんだぜ。「見てるだけ」の観測者の物理的状態が、時空を越えて被観測側に伝わるとでもいうのか?、というところでしょう。  ところで慣性力の発生源もじつは明確なんです(^^;)。それは観測者の背負ってるロケットパックです。ただし現実に発生する力は、慣性力と同じ大きさで逆向きの力ですよね?。なので慣性力はやっぱり慣性力で、見かけ上のものだというのが今風の解釈です。  これと似た話として、遠心力の解釈があります。近代実証主義の開祖と言われるマッハ先生に関する逸話です(音速のマッハ単位で有名)。マッハ先生はもちろんニュートンの過激な信奉者で、経験事実が全てだと言います。観測できない推測などは無意味だ!と。  スペースコロニー上のアムロ君の感じる人工重力は慣性力なのですが、その発生源もはっきりしてます。それはスペースコロニーの回転に由来し、建設当初に回転初動を与えたであろうバーニアロケットの推進力が、その発生源です。ただし現実に発生した力は向心力であって、遠心力と逆向きです。それが角運動量保存則により、アムロ君の生きた時代にまで残ったわけです。よって遠心力は見かけの力と解釈されます。  ところがマッハ先生は言います。  「スペースコロニーとアムロ君が止まっていて、宇宙全体がぐるぐる回転したとしても、遠心力が発生しないとお前らは言えるのか?」 ・・・と(^^;)。もちろん誰一人として実証実験はやれないし、論理的な反証も不可能です。だからマッハ先生は言います。 「経験事実が全てだ。だから慣性力は実在する。といっても良いが、そもそも力が実在するかどうかなどという形而上学的問題に物理学者は関わるな。力とは質量×加速度で観測されるものだ。それだけだ。その発生源など問うてはいけない」 ・・・と(^^;)。ここまで過激な論理性を持っていたために、マッハ先生の言葉には絶対に無視しえない意味がありました。マッハ先生の遠心力は、その後明らかとなった、相互作用の伝搬速度の有限性という観点から現在では「やり過ぎだ」とみなされています。物理もしょせんは実証科学です。

octopass
質問者

お礼

丁寧にご解説頂きまして,本当にありがとうございます.すべて読ませて頂きました.つまりニュートン力学では”慣性力”ではなく”能力”なのですね.もちろん,慣性という性質であることは存じ上げておりましたが,能力という表現はとてもしっくりきました. また,この質問をするに至った経緯の一つに,物体を押したときに手に感じる抵抗力が確かにあって,その実際に感じる抵抗力は質量の大きさや加速度に比例するから,つまりそれは慣性力を実際に感じているではないか,と思った次第です.でも,思ったのですが,その実際に感じる抵抗力は慣性力ではなくて,単に,手が物体に作用する力に対する反作用力であるのかなと思いました. ただ,人工重力のことに触れられていますが,等価原理に則ると,(人工では無い)普通の重力も慣性力になりますよね.重力と慣性力が等価ということは,重力も見かけの力となってしまいませんか?

関連するQ&A

  • 慣性力が見かけの力って嘘ですよね?

    プリンキピアにハッキリと実際の力であることが示されています。 最近の物理教育では「見かけの力」だと教えているのでしょうか? だとしたら、ニュートン力学の否定ではないでしょうか?

  • 遠心力は見かけの力って嘘ですよね?

    プリンキピアにハッキリと実際の力だあることが示されています。 最近の物理教育では「見かけの力」だと教えているのでしょうか? だたしたら、ニュートン力学の否定ではないでしょうか?

  • 慣性力について

    慣性力というものは実際に働いている力なのでしょうか。それとも見かけ上の力なのでしょうか。慣性力の反作用の力は無いから、運動の第3法則「物体Aが物体Bに実在の力を作用させるとき、物体Bは物体Aに、同一直線上に大きさが等しく逆向きの力を作用させる。」により慣性力は実在の力ではないとも思ったのですが、物体Aとか物体Bが慣性力を考える際にどれに当てはまるものがない・・・・。参考書にも詳しくのっていない。慣性力が実際に働いている力なのかどうか。どなたか教えていただけませんでしょうか。よろしくお願いします。

  • E.マッハは慣性系の定義はなんだと言っているのか?

    マッハの力学を拾い読みしたのですが、慣性系の定義はなんだといっているのでしょうか? 私とって非常に読みづらくわかりにくい本です。根気が続きません。 力と質量の定義は何といっているかわかったような気がしますが、慣性系はわかりません。 教えてください。よろしくお願いします。

  • 慣性力について

    物理を解く際に、非慣性系を考える上では、「慣性力」を考慮して考えるので、感じる•感じないなどの感覚などは必要ないと思うのですが、気になったので質問させていただきました。 慣性力はよく「見かけの力」と書かれていますが、実際に感じることはないということでしょうか。私が「見かけ」という言葉に対しての理解がないのかもしれません。 例えば、電車に乗りブレーキがかかると、後ろに下がる力は電車に乗る誰も(非慣性系にいる)が実際に感じる力ただ思うのですが、これも「見かけの力」なのでしょうか。 ですが、加速度aを持つ人(非慣性系)から見ると、慣性系で静止している人は慣性力がかかっているとして計算します。こちらは「みかけの力」だな、とわかります。慣性系で静止している人は力を感じていないので.. 遠心力などもそうです。 非慣性系を考える際に、運動方程式を立てるための辻褄合わせのために作った「力」なので「見かけの力」などという言い方なのでしょうか。

  • 慣性力、粘性力、レイノルズ数

    お世話になります。 流体力学の勉強をしていて、下記の事が分かってないと気づきました。 どなたか分かりやすく教えて頂けませんでしょうか。 (1)慣性力とはどういうものなのかイメージ出来ません。「見かけの力」とか言われてますが、イメージしづらいです。 私は「加速度を伴う時に発生する力、式はma」と認識していたのですが、それで良いのでしょうか? (2)粘性力は、管の中の流体の場合、F=μSdu/sxと認識しています。Sは管と流体の接触面積、μは粘土[Pa・s]です。この認識で良いのでしょうか? (3)レイノルズ数: R=ρUL/μ で表されますが、これは慣性力と粘性力の比を示していると聞きました。 なぜこれが慣性力と粘性力の比になるのかが分かりません。 数式でそうなる事をフォロー出来きたら理解できると思うのですが。。 お手数ですが、どなたかご教示頂けませんでしょうか。

  • 地表は慣性系?

    慣性系とは 慣性の法則が成立する座標系 (つまり物体に何も力を加えなければ、物体は動かないでいられる座標系) 慣性系の座標では外力を受けない限り、運動状態を変えない 慣性系に対して等速度運動する座標系もまた慣性系とみなせる とありますが、 例えば、細かい力(地球の自転による力とか、空気抵抗とか、摩擦力とか) を無視した地表の座標系を考えたとき、その座標系は慣性系といえるのでしょうか? その座標系の中では物体は常に重力がはたらいているのに 慣性系ということはできるのでしょうか?

  • プリンキピアでは遠心力は実在する力?

    ニュートンのプリンキピアには、「遠心力は実在する力」だと書かれていると言う人がいますが、本当なのでしょうか?それが本当なら、ニュートン力学の遠心力と矛盾しませんか?ニュートン力学では遠心力は見かけの力だとされています。プリンキピアでは遠心力は実在する力だと書かれているなら、両者は矛盾しませんか?それとも、ニュートン力学とプリンキピアは別物でしょうか? お詳しい方、どうかご教授頂ければ幸いです。

  • 慣性力を観測する人について

     高校物理の慣性力について質問です.理解の仕方でつまづいています.  以下不正確な表現があれば申し訳ございませんが、助言をいただけましたら幸いです.  1.教科書では,加速度aで運動する電車の中で静止している質量mの物体の力のつりあいを理解するには見かけの力-maがはたらくとすればよい,と記述されています.誰がそう考えれば「よい」のでしょうか.電車の中の人ですか,外の人ですか.中の人だとすると,はたして電車の中にいる人が,加速度aで運動する非慣性系にいて物体に見かけの力-maがはたらいている,と自分で分かるのでしょうか.加速度aは非慣性系にいて知り得る値ですか.それとも電車の中では力のつりあいが成り立つための何らかの力がはたらいているとだけわかり,後で電車の外から教えてもらってその大きさがmaとわかる,ということですか.ストーリーが読み取れません.  2.遠心力について.教科書では,半径r角速度ωで回転している円盤上でばねに取り付けられた物体が回転しているとき,円盤とともに回転している観測者は,ばねの弾性力とそれにつりあう遠心力が物体にはたらいていて,遠心力の大きさはmrω2(乗)と考える,とあります.r,ωは,観測者が非慣性系にいて知り得る値ですか.それとも観測者は,自分が物体と一緒に半径r角速度ωで回転していると予め知った上で,大きさmrω2(乗)の遠心力がはたらいていると考えることができるのでしょうか.  上記1,2について,a,r,ωは慣性系から観測されますが,それらを非慣性系でも観測できるように教科書が読めてしまうので,納得しにくいです.

  • 力の単位、ニュートンの定義で質問です。

    力の単位、ニュートンの定義で質問です。 すいません、適当なジャンルがわかりません。 「1ニュートンは、1キログラムの質量をもつ物体に1メートル毎秒毎秒 (m/s2) の 加速度を生じさせる力と定義される。」 と、あります。 重力加速度が9.80665(m/s2)の世界のバネばかりと、 1kg(kgfですか?)の物体を 重力加速度がジャスト1(m/s2)の世界にもって行って、測定すると、 バネばかりが0.101972kgを示すということでしょうか? また、ニュートンは重量の単位でもあるのでしょうか? 「この物体の重さは1Nです」なんて表し方もあるのですか? また、重力加速度って比例するのでしょうか? さっきの例ですと、 重力加速度が4.903325(m/s2)の世界では、0.5kgを示しますか?